
Game*Sparkレビュー:『Lumines Arise』光と音のパズルゲーム新章であり決定版。この没入感を浴びてほしい
プレイステーション・ポータブル(以下、PSP)のローンチタイトルとして登場し、今もなお根強い人気を誇る音楽×落ち物パズルゲームシリーズ『Lumines』。その最新作となる『Lumines Arise』が、本日11月11日に発売されました。筆者自身も当時よく遊んでいた作品で、ピアノブラックのPSPを手にプレイしていると、まるで自分がとてもスタイリッシュなことをしているような高揚感を覚えたのを今でもよく覚えています。シリーズはその後、『Lumines II』をはじめ、さまざまな展開を重ねてきましたが、今回の『Lumines Arise』は前作『Lumines Remastered』から実に7年ぶりの完全新作。“久々のルミネス”と言ってしまってよいでしょう。
ということで、今回はその『Lumines Arise』のレビューをお届けします。筆者はEnhanceより提供いただいたキーを使用して執筆しており、プレイ環境はSteam版およびVirtual Desktopを経由したMeta Quest 2によるPCVR版です。
1:ゲームの基本部
今作『Lumines Arise』は、公式サイトやストアページでも“『テトリスエフェクト・コネクテッド』のクリエイター陣が贈る”と紹介されているとおり、『テトリスエフェクト』およびそのアップグレード版『テトリスエフェクト・コネクテッド』の要素を多く踏襲して制作された作品です。たとえば黒を基調とした宇宙的なビジュアルや、「Journey」モードで多彩な世界観と楽曲を巡る構成など、両作の共通点は随所に見られます。
また、きらめく粒子(パーティクル)を用いたエフェクトなどにも『テトリスエフェクト・コネクテッド』や、同じくEnhanceによる『Rez Infinite』とつながる表現が感じられ、それらと地続きの作品と言えるでしょう。余談ですが、筆者は『テトリスエフェクト』を初めてプレイしたとき、「まるで『Lumines』のような『テトリス』だな」という印象を持っていました。ですが、今回の『Lumines Arise』には、むしろ『Rez Infinite』以降に培われた“『テトリスエフェクト』らしさ”が色濃く反映されているように感じます。
各モードの紹介に入る前に、まずは『Lumines』シリーズの基本的なゲームプレイについて説明しておきます。本作は、基本的に2色のブロックが組み合わさった4×4のブロックを使う「落ち物パズルゲーム」です。ブロックの配色はステージごとに変化し、同じ色のブロックを正方形の4×4の形に揃え「スクエア」を作ることで消すことができます。シリーズ最大の特徴は、同色の4×4ブロックを作った瞬間に消えるのではなく、BGMに合わせて左から右へと流れていく「タイムライン」が通過したときにはじめてブロックが消えるという点にあります。この仕組みによって、音楽とパズルが一体となるような感覚が生まれ、他の落ち物パズルと異なる、唯一無二のプレイ体験を味わえます。
また、本シリーズではチェインブロックという、「繋がっている同色のブロックをすべて消す」強いブロックが時々落ちてくるので、それを意識してブロックをつなげながら組んでいくのが大切です。チェインブロックは繋がった時点でのタイムラインを参照するので(言語での説明がやや難しいですが、実際に触ると理解しやすいと思います)結構慌ててブロックを繋げなきゃいけなかったりもするので、そのあたりの忙しさもかなり楽しさに繋がっています。
と、いうことで本作でも『Lumines』の基本的なシステムはほぼ完全に踏襲されており、その根本的な面白さはしっかりと保たれています。それに加え、今作からの新たな要素として「BURST」というシステムが追加されました。画面上部に表示されるゲージの%を消費して発動できるもので、発動中はタイムラインが通過してもスクエアが消えず、大きなスクエアを作りやすくなります。スクエアを大きく形成すると、特典として周囲の異なる色のブロックが消える効果もあり、うまく活用すればゲームの進行がぐっと楽になる、快適な仕組みです(『テトリスエフェクト』におけるZONEシステムに近いです)。
「BURST」を発動すると、ステージのBGMにはフィルターのような効果が加わり、ビジュアル面でも変化が生じます。その演出が非常に印象的で、筆者は「全ステージでBURSTを発動してみたい」と感じながらプレイしていました(何ステージか取りこぼしてしまったので、これから遊びたいです)。
またVR機器を使えばVRモードで遊ぶこともできて、五感がかなり制限されて外の世界からシャットアウトされるので没入感はかなり高く、かなり興奮できる楽しみ方になっています。個人的には「このゲームのためだけにVR機器を買う」という性質のものではないと思いますが、とはいえ「パズルゲームでVRってどういう感じ?」と軽い気持ちで遊んでみると、思っているより相性が良くて驚くと思いますよ。VR機器のコントローラーを用いるより、VR機器+ゲームパッドで遊ぶのがおすすめです(VR対応も”『Rez infinite』以降のモード”と言えるかもですね)。
落ち物パズルゲームとしての基本部分は非常に完成されており、今回の新要素も控えめなもので、正直なところ初代『Lumines』から大きな変化は見られません。『テトリス』にも共通する点ですが、この手のシンプルなパズルゲームには時代を超えて楽しめる普遍的な面白さがあり、自分の腕前が上達していく感覚も得やすく、日常的に長く遊び続けられる魅力があります。筆者自身、『テトリスエフェクト・コネクテッド』を非常に気に入っていて、今でも時々プレイしています。『Lumines Arise』も同様に、長く付き合っていける作品だと感じています。
2:各モードについて
まずは「Journey」モードについて説明します。「Journey」は本作の基本的なモードであり、どちらかというとアーケード的な性格を持っています。とりあえず深く考えずに『Lumines』を遊びたい人が楽しむモードと言えるでしょう。楽曲や世界観が変化する中で、決められた目標を達成するまでひたすら『Lumines』をプレイし続ける内容になっています。
各ステージの切り替わりは以前の『Lumines』シリーズのようにシームレスではなく、楽曲の切り替わりごとに演出とともにステージが切り替えられるという『テトリスエフェクト』的な要素が採用されています。また「Standard」ではステージも最初から最後までぶっ通しで遊ぶ方式ではなく、数ステージ単位で一旦休憩するようなタイミングが設けられています。各ステージの集まりにはそれぞれタイトルがつけられており、コンセプトのある曲のまとまりとなっているのでしょう。
用意されたステージには個性的なものが多く、楽曲ごとにブロックの色や世界観がまるごと変わります。ブロックを消した際の演出もステージごとに異なっており、それが非常に興味深く楽しめるポイントです。視認性にやや難のあるステージもありましたが、それも演出とのトレードオフとも言えるでしょう。ブロックの質感は非常にリアルに表現されており、落下音などの効果音もブロックの種類や質感によって変わるため、とても気持ちよく感じられます。この「気持ちよさ」こそが本作の最大の魅力であり、それは音とビジュアルが驚異的に融合している成果と言えます。
以前の『Lumines』シリーズと同様に、最初の曲から最後の曲まで休みなくプレイし続ける「Survival」モードも用意されています。収録楽曲の数が多いためかなり大変なモードですが、まとまった時間を確保できるなら、一度は体験してみる価値のある内容だと感じます。
次に「PLAYLIST」モードについて説明します。「PLAYLIST」モードは、Journeyモードのステージを自分の好みで並び替えられるモードです。自分のお気に入りのスキンや楽曲を自由に組み合わせて、最も心地よい流れやその時の気分に合わせたプレイ環境を作れます。筆者はあまり使うことはありませんが(メーカーが提案する流れが好きなため)、存在していること自体は嬉しい機能なのは間違いないです。
また、本作にはかなり丁寧なチュートリアルである「TRAINING」モード、そして既存のルールから逸脱したり、基本とは異なった目的をめざす「CHALLENGE」モードも搭載されています。特に「CHALLENGE」モードは非常に面白く、ステージごとにまったく体験が異なるめ個人的には一番長く遊べそうなモードです。
本作にはオンライン対戦モードも実装されていますが、先行キー版ではプレイできなかったため、レビューでは詳しく触れません。しかし、対戦モードはエンドコンテンツとして非常に優秀なコンテンツであり、存在していれば嬉しい要素であることは間違いありません。ただ、パズルゲームの対戦は習熟に時間がかかりがちで、強い相手と当たると一方的に負けてしまうイメージが個人的にはあります。ゲームを習熟するのが好きで、本作を長く遊んでいく中で、自分の腕前を試したいと感じたプレイヤーであれば、きっと遊んでみる価値があるでしょう。
本作には「LOOMII-PON」というガチャ要素もあります。ゲームを進めることで自然に溜まる通貨を使ってガチャを引き、LOOMIIと呼ばれるアバターや称号をカスタマイズできる仕組みです。パズルゲームはプレイが続くと変化が少なく単調になりがちですが、こうした収集要素があることでモチベーションを維持しやすく、個人的にはとても嬉しい要素だと感じています。コンプリートしたくなる楽しみもありますね。
本作は「Journey」モードが終わるとコンテンツが尽きたと感じやすいものの、実際には十分なコンテンツ量があります。今後『テトリスエフェクト・コネクテッド』のようなイベント開催や追加コンテンツの可能性も考えられ、それがなくても現状のボリュームは申し分ないと言えるでしょう。
3 その他、総評
本作は非常に充実したオプション設定が用意されています。例えば、ゲームを簡単にしてリラックスに特化した体験ができる「KIRAKUNI Lumines」モードや、各種演出をカットして視認性の改善に役立つ設定などがあります。演出を思い切り楽しみたい時と、シンプルにパズルゲームとして集中して遊びたい時とでオプションを切り替えられるため、非常に使い勝手が良く好印象でした。
本作の魅力は、他の情報や雑音を一時的にシャットアウトして、音楽とパズルにどっぷり没頭しようとしたときにいっそう際立ちます。つまり本作を最大限に楽しみたいなら、たとえばスマホの電源を切る、可能な限り他の音を遮断するなど、プレイヤー側からもある程度ゲームに歩み寄るといいますか、環境を整える工夫が必要だと思います。もちろんそんなことをせずに「軽く遊ぶ」というのも本作では許容されていますが、できれば一度はヘッドフォンをつけるなどして楽しんでほしいと感じます。
繰り返しになりますが、本作をプレイする中で没入感を本当に追求したいならVRでのプレイはかなりおすすめです。VRなら楽曲や演出の良さをまさに「浴びる」ように味わえ、まるでクラブにいて踊っているかのような高揚感を得られます。VR環境がなくても、部屋を暗くするなどして楽しみ方を工夫することが大切だと個人的には感じます(目にはあまり良くない場合もあるので推奨はしませんが)。クラブにいて体を揺らして音楽に「潜って」いくような感覚を、パズルゲームを遊ぶ中で追体験できるという「Enhanceのゲームらしい」喜びは本作でも更に深化しており、長くずっと遊んでいける、まさに現代の『Lumines』決定版として仕上がっています。
Game*Spark レビュー 『Lumines Arise』 PlayStation5、Steam 2025年11月11日リリース
ファン待望の『Lumines』決定版
GOOD
基本的なパズルゲームとしての面白さ
質感と演出が美しく、没入感が高い
現状でも充分なボリューム
BAD
視認性が悪い瞬間がある
