Riot Gamesが、新作格闘ゲーム『2XKO』のアーリーアクセス版を2025年10月8日にリリースした。同社は東京ゲームショウ2025で“初参戦”。出展ブースには『2XKO』の試遊台を数多く展示した。本格始動が見えてきた同作の開発の経緯や今後の活動について、ゲームディレクターのShaun Rivera氏に話を聞いた。

『2XKO』のゲームディレクターのショーン・リベラ氏
2025年10月8日、対戦格闘ゲーム『2XKO(ツーエックスケーオー)』のアーリーアクセス版がリリースされた。本作は2019年に開催された「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)10周年感謝祭」で、『Project L』として発表されたタイトル。同社の世界的なヒットタイトルである『League of Legends』のチャンピオン(キャラクター)たちが2対2で戦うチームバトル形式の格闘ゲームで、いよいよ本格始動が見えてきた。
2025年9月25~28日に開催された東京ゲームショウ2025(TGS2025)でRiot Gamesはブースを初出展し、『2XKO』の試遊台を数多く用意してアピールした。本作の開発の経緯や今後のeスポーツにおける展開の構想について、TGS2025に来場していたゲームディレクターのShaun Rivera(ショーン・リベラ)氏に聞いた。

東京ゲームショウ2025のRiot Gamesブースは『2XKO』の試遊台を多数設置。日本のゲーマーにアピールした
――League of Legends10周年感謝祭では、さまざまなジャンルのゲームタイトルの開発が発表されましたが、対戦格闘ゲームもラインアップに入っていました。それが今回、『2XKO』として本格的に始動しようとしています。タイトルの発表当時、対戦格闘ゲームのジャンルの人気は今ほどではなく、やや落ち込んでいた時期でもありました。なぜ、ラインアップの中に対戦格闘ゲームを含めたのでしょうか?
ショーン・リベラ氏(以下、リベラ) まず根底にあったのは、我々は対戦格闘ゲームが大好きだということです。『2XKO』の開発には、対戦格闘ゲームの祭典である「EVO(Evolution)」の創設者の一人であり、『Rising Thunder(ライジングサンダー)』(※1)の開発者であるTony Cannon(トニー・キャノン)氏が携わっています。
※1 『Rising Thunder(ライジングサンダー)』は、かつて開発されていた対戦ロボット格闘ゲーム。2016年にRadiant EntertainmentがRiot Gamesに買収された際に開発中止が決定。2018年に開発最終版をベースにした『Rising Thunder Community Edition』がフリーソフトとして配信された
その『Project L』は当初、1対1の対戦格闘ゲームとして開発していました。しかし、テストプレーでの周りからの評価は、「まあまあ楽しい」というもの。その評価は我々にとって満足できるものではありません。もっとワクワクしたものを出さなければならない、と作り直しました。
より面白くするためによりどころとしたコンセプトは、「ゲームは友人と一緒に遊ぶことが楽しい」ということです。対戦プレーや協力プレーなどを友人同士でするのは最高の経験です。そこで現在のような2対2のタッグ戦のゲームスタイルになりました。もちろん、毎回遊ぶ時に友達が一緒にいるわけではないので、デュオだけでなく、ソロでも楽しめるようにデザインしています。

『2XKO』のプレー画面。タッグパートナーが画面外からアシスト攻撃でサポート。2人のチャンピオン(キャラクター)を2人のプレーヤーで操作する協力プレーも可能
――日本は対戦格闘ゲームが世界で最もプレーされている市場です。その市場に対して『2XKO』はどうアピールしていきますか? 競合タイトルも多い。レッドオーシャンに飛び込むという側面もあると思います。
リベラ 確かに対戦格闘ゲームの歴史は日本から始まりました。日本には数多くのプレーヤーが集まっています。我々のチームは対戦格闘ゲームが本当に大好きで、日本市場の競合タイトルはライバルだとは考えず、一緒に対戦格闘ゲームを盛り上げていきたいと思っています。
『2XKO』を多くの人にプレーしてもらえるような施策はいろいろ用意しています。基本無料ですから試してもらいやすいですし、チーム戦であったり、これまでにない新しい経験ができます。
通信時のラグの少なさやチート対策システムなど、技術レベルも高い水準にあると自負しています。トニー・キャノン氏は対戦格闘ゲームをオンラインで快適にプレーすることを目的としたGGPO(※2)の開発者でもありました。他にもRiot Gamesが『VALORANT(ヴァロラント)』などの競技タイトルで培ってきた業界最高水準のチート対策システムを完備しており、安心してプレーできます。
※2 GGPOは、格闘ゲームをオンラインでプレーする際の通信時のラグなどを軽減し、快適にプレーすることを目的としたミドルウエア。開発したのはEVOの創始者の一人であるトニー・キャノン氏。GGPOは商用の格闘ゲームタイトルの通信部分にも数多く採用された。2019年10月からMITライセンスに基づいてオープンソース化されている
『2XKO』はゲームをリリースして終わりと言うことはなく、ゲームを出してからが本番です。プレーヤーの意見や各種データのフィードバックを反映して、より良いゲームになるよう日々アップデートしていきます。
『League of Legends』のバトル部分を格闘ゲームに
―─タッグバトル形式の対戦格闘ゲームは、メインストリームにはなかなかなり得なかったわけですが、その点はどうでしょうか?
リベラ タッグバトルとしてだけではなく、対戦格闘ゲームとしての面白さも十分兼ね備えています。プレースタイルをカスタマイズできる「フューズ」というシステムを用意しており、2人のチャンピオン(キャラクター)を交代しながら操作する戦い方だけでなく、1人のチャンピオンで戦い、もう1人はアシストだけに専念するなど、さまざまな組み合わせが可能です。

『2XKO』の対戦モードは2対2で交代しながら戦うタッグバトルが基本。1人のチャンピオン(キャラクター)を主軸に戦い、もう1人はアシスト中心にするなどのカスタマイズも可能
――『2XKO』は『League of Legends』と同じ世界観とキャラクターを使用したスピンアウトタイトルです。『League of Legends』のプレーヤーやファンからの流入を考えているのでしょうか。もしくは逆に、『2XKO』に限らず、多くのゲームに『League of Legends』の世界を落とし込んでいくのでしょうか
リベラ 『2XKO』はあくまでも対戦格闘ゲームを愛し、プレーする人たちのために開発しています。対戦格闘ゲームのプレーヤーの中には『League of Legends』を知らない人も多いでしょう。
もし知らないとしても、『League of Legends』のチャンピオンは格好良く、ユニークで、多彩な技を持っています。チャンピオンそのものに魅力があり、個性豊かです。対戦格闘ゲームプレーヤーもきっと引かれると思います。『2XKO』でチャンピオンを気に入ってもらえれば、そのチャンピオンのことを調べたくなると思います。
『2XKO』では、『League of Legends』の世界観のうち、バトルの部分によりクローズアップしています。もちろん『League of Legends』の戦いは対戦格闘ゲームにそのままでは落とし込めませんので、対戦格闘ゲーム向けの技にアレンジしています。
例えば、『League of Legends』のチャンピオンの技には、時間の経過とともに徐々に体力を奪っていくものがあります。しかし、対戦格闘ゲームにはあまりそぐわないので、『2XKO』では採用していません。
――『2XKO』のオリジナルキャラクターがリリースされ、それが『League of Legends』に逆輸入されることはあるのでしょうか?
リベラ 現在、『League of Legends』には160以上のチャンピオンが存在します。『League of Legends』のファンからは、『2XKO』に自分のお気に入りのチャンピオンを出してほしいという要望がたくさんあります。ですので、数あるチャンピオンを差し置いてオリジナルキャラクターを出すのはちょっとハードルが高いですね。
『2XKO』のアーリーアクセス版リリースのトレーラーの中では、1シーズンで5人のチャンピオンを追加することを発表しています。まずは、『League of Legends』のチャンピオンをできるだけ多く、『2XKO』で登場させることが目標です。
もちろん新しいチャンピオンが追加されると対戦バランスが崩れる可能性がありますから、その都度、バランス調整をしていきます。バランス調整は、「チャンピオンと共に遊ぶ」「チャンピオンとして対戦する」「チャンピオンを相手にチームとして対戦する」「観戦も楽しめる」という4つの観点から検証し、あまり使われていないチャンピオンを使ってもらえるような調整もしていきます。
――『2XKO』が他の対戦格闘ゲームのビジネスモデルと大きく異なる点は、基本無料モデルという点だと思います。対戦格闘ゲームの多くはフルプライスのパッケージとしてリリースされています。基本無料モデルはプレーしてもらいやすい一方で、マネタイズができるかは未知数です。どのくらいのアクティブユーザー数を見込み、損益分岐点などの設定はあるのでしょうか
リベラ 先ほど言ったように、『2XKO』でまず対戦格闘ゲーム業界をもっと盛り上げたいと思っています。そのため、一人でも多くのプレイヤーが遊んでくれることが第一の目標です。まずは多くの人に遊んでもらえるようにしていきたいです。プレーヤーが楽しんでくれること、それだけでもうれしいんです。
――Riot Gamesのタイトルの多くはeスポーツとして世界で大会が開かれています。『2XKO』もeスポーツタイトルとして展開されていくのでしょうか。
リベラ Riot Gamesは、『League of Legends』や『VALORANT』で世界規模の大会を運営しています。『2XKO』でも、もちろん大型大会を開催したいと思っていますが、それだけではなく、小さなコミュニティー大会を支援するプログラムも提供したいと思っています。支援できるところは支援して、みんなが楽しめるようになることを願っています。
◇ ◇ ◇
『2XKO』は、これまでの対戦格闘ゲームではなかった基本無料モデルで、まずプレーしてみるという取っつきやすさがある。Riot Gamesは基本無料モデルで『League of Legends』や『VALORANT』を世界的な看板タイトルに成長させてきた。『2XKO』が対戦格闘ゲームのメジャータイトルの一角に食い込むこともあり得るだろう。
もちろん、あまたある対戦格闘ゲームの一つとして埋もれてしまう可能性もある。しかし、『VALORANT』のように、かつては一部のマニアしかプレーしないと言われていたタクティカルシューティングゲームを一気にメジャージャンルに引き上げた例もある。『2XKO』にも人気タイトルに押し上げるだけのポテンシャルを筆者は感じている。
(c)2025 Riot Games, Inc.
(写真/木村 輝)
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