近藤銀河氏・高島鈴氏をゲストキュレーターに迎えたビデオゲームを紹介する展覧会「Under Commons」が10月25日より神奈川・Art Center NEWで実施される。
目次
本展では、近藤銀河氏・高島鈴氏をゲストキュレーターに迎え、個人や小規模チームによって制作されたビデオゲームを紹介するもの。5つの作品がプレイ体験と資料展示を通じて取り上げられ、それぞれのテーマと洞察に迫る。無料スペースにて、LGBTQゲーム「Caper in the castro」(1989 CM Ralph)も本邦初展示となるので、ぜひチェックしよう。

以下、発表情報をもとに掲載しています
開催概要
「Under Commons」
会期:2025年10月25日(土)~11月16日(日)12:00-20:00
※24日(金)内覧会(招待者のみ入場いただけます)
ゲストキュレーター/セレクター:近藤銀河、高島鈴
総合キュレーター:藤本一郎
メインビジュアル:遠藤麻衣
<概要>
「Under Commons」は、近藤銀河氏と高島鈴氏をゲストキュレーター/セレクターに迎え、ビデオゲームを実際にプレイできる形で紹介する展覧会である。「ビデオゲーム」という言葉からは、年々拡大を続ける巨大な市場を持つ産業としての姿が想像されるかもしれない。だが、ここで集められた作品はより小規模で個人的なものであり、それぞれがきわめて具体的なテーマを表現している。
この背景には、ゲームエンジン=制作環境の発達によって、個人や小規模チームでもゲーム制作が可能になったという状況がある。もちろん「ゲームエンジン」以前にもこうした試みは存在していたが、エンジンの進化によって表現の自由度は飛躍的に高まり、さらに配信プラットフォームの整備が大きな追い風となって、多様な作品が可視化されるようになった。
しかし、こうした作品を単に「個人的なテーマのゲーム」と呼んでしまうと、個々のゲームが成立する背景や構造、文脈の複雑さを捉えきれないだろう。自分や仲間が生きる世界についての具体的な問いに応えるために作られたゲーム。自らの実存を探求するために作られたゲーム。生存し、その報告を行うため、自分や自分と似た人々の欲望のため、あるいはコミュニティの安全や持続性のため、そして自分たちの未来や過去のために作られたゲーム。本展は、各ゲームが提示する問題設定やテーマの具体性、そしてそこから立ち現れる豊かな洞察を核としている。
なお、「Under Commons」というタイトルは、Fred MotenとStefano Harneyの同名のマニフェスト、そしてそれを引用したJack Halberstamの論集「失敗のクィアアート」から着想を得ている。大学と国家が共犯関係を結び、公的領域における知識生産を独占するなかで、搾取される下部構造──すなわち抑圧された者たちによる知識生産──が生産全体を揺るがすにはどうすればよいのか。知識生産における「革命」はどのように実現されうるのか。本展はこうした問いに共感しつつ、「知識生産」という概念を引き受け、さらに発展させてビデオゲームの機能として再定義した。すなわち、ビデオゲームを「支配的な知識生産のモードに挑戦するための、特殊な知識生産の技法」であると位置づけている。
こうした信念と呼応するように制作されたメインビジュアルは、アーティストの遠藤麻衣氏によるものであり、本展で紹介する5作品の中心的なキャラクターがそれぞれの世界を超えて一つの場所に集結している。
(藤本一郎)
会場:Art Center NEW(みなとみらい線「新高島」駅B1F
料金:一般1,000円、大学生800円、高校生以下無料、障がい者手帳提示で同伴者1名まで無料
主催:一般社団法人Ongoing
助成:公益財団法人野村財団、神奈川県マグカル展開促進補助金
お問合せ:[email protected]
特設サイト:https://artcenter-new.jp/under-commons/
出展作品
「ファミレスを享受せよ」(2023月刊湿地帯)
深夜のファミレス「ムーンパレス」に閉じ込められた客たちと会話を重ね、失われた時間と記憶の意味を探る本作。安部工房や宮沢賢治、P.オースターなど、文学作品からの影響を感じさせる美しい会話劇は、静謐な筆致のグラフィックと穏やかな音楽と調和し、唯一のゲーム体験となる。


「Sephonie」(2022 MelosHan-Tani,MarinaKittaka)
記憶が地形として立ち上がる島・セフォニーを舞台に、出自もセクシュアリティも異なる三人の科学者が調査を進める。本作は、グローバル化とローカルな生のせめぎあいを描きながら、差異を抱えたまま共に生きる可能性を探る思索的なSFゲームである。


「Milky Way Prince-The Vampire Star」(2020 EyeGuys,Lorenzo Redaelli,”Published by Santa Ragione”)
ロレンツォ・レダエリによる半自伝的作品「Milky Way Prince」は、恋愛の陶酔と崩壊を描く親密で痛切な物語。性愛と依存、理解とすれ違いのはざまで生まれる「生の手触り」を、インタラクティブな体験として描き出す。


「VA-11 Hall-A:Cyberpunk Bartender Action」(2016 Sukeban Games)
近未来都市グリッチシティの小さなバー「VA-11 Hall-A」を舞台に、バーテンダーのジルが客たちとの会話を通じて日常を過ごすADVゲーム。事件も恋愛も劇的な展開もないが、仕事や家賃、ささやかな幸福といった現実的な営みが丁寧に描かれている。


「A HERO AND A GARDEN」(2022 npckc)
破壊の物語を回復の物語へと反転させる本作は、待つこと・向き合うことの意味を描く。勇者・姫・魔女のステレオタイプな役割を脱構築しながら、ゲームは癒しと赦しのプロセスを内包する物語へと変化していき、ジャンルの形式を問い直しながら、クィア的な自己再生の寓話を紡いでいく。


「Caper in the castro」(1989 CM Ralph )
無料スペースにて、世界初のLGBTQゲーム「Caper in the castro」(1989 CM Ralph)の本邦初展示も同時開催。
※この展覧会は、神奈川県マグカル展開促進補助金の助成を受けて実施しています
Analgesic Productions LLC, (C) 2014-2025 SUKEBAN GAMES, (C) npckc. All rights reserved., 月刊湿地帯, Nuki and Sune characters from Milky Way Prince – The Vampire Star (C) Lorenzo Redaelli, Published by Santa Ragione
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