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 アプライドの「QT DIG∞AP」(型番:Sengoku-441238)は、eスポーツチーム「QT DIG∞」(旧Sengoku Gaming)とタッグを組んだゲーミングPC。福岡県に拠点を置くPCショップと、eスポーツチームが生み出した“BARIKATA”な1台だ。

 市場に出回っているゲーミングPCのほとんどは価格が20~40万円台(スペックによってはそれ以上)で、軽い気持ちで購入できないところが悩みといえるだろう。そんな中、本機は15万4800円と比較的リーズナブルな価格で販売している。

 この「ゲーミングPC=高い」というイメージを覆す価格はもちろん、最新ゲームでもひと通り遊べる性能が魅力だ。そんなQT DIG∞APのレビューをお届けしよう。

 試用機のスペックは上記の通り。本稿では、アプライドのゲーミングPC「Katamen-443817」を用意。型番は異なるものの、構成はQT DIG∞APと同じだ。

3基のアドレサブルRGBファンが
フロントで輝くミドルタワーPCケース

 QT DIG∞APのPCケースは、Segotepの「LUX S BLACK」を採用。Micro-ATXに対応するミドルタワーモデルで、クリアパネル仕様のフロントで光る、3基のアドレサブルRGB LEDファンが特徴的だ。

 左側面の強化ガラスパネルも内部を美しく魅せるためのニクイ演出。マグネット式なので、ツールレスでパネルが開閉できる点も気が利いている。初心者でも快適に扱える親切な設計が魅力的だ。

 内部にホコリがたまっているかどうかを逐一チェックできることもガラスパネルのメリット。PCを長く使うにはメンテナンスも大事なので、ガラスパネルの採用は英断であると褒めたい。掃除、マジ大事よ。

 PCケースの天面には、USB Type-Aが3基(USB 3.0が1基、USB 2.0が2基)、オーディオ出力、マイク入力を配置。ゲーミングに必要な端子がそろっている印象だ。デスクの下に置いてもアクセスしやすい点も評価できる。

 ただし、天面にインターフェースがあるPCは、端子にホコリがたまりやすいという欠点もある。使わないときは保護キャップを装着しておくなど、ホコリ対策を考えたほうがいいかもしれない。

 背面インターフェースを見ると、USB Type-Aが6基(USB 3.2 Gen 1が4基、USB 2.0が2基)、有線LAN(1GbE)などを確認できた。USBの数は多くないが、必要十分といったところだろう。

 本機をじっくり鑑賞してみて、ゲーミングPCらしい派手なビジュアルと初心者にも優しい設計が印象に残っている。エアフローにこだわった設計や拡張性の高さも含めて、QT DIG∞APはPCゲームデビューにうってつけのモデルであると感じた。

PCケースの内部はすっきり、拡張性は十分

 QT DIG∞APの内部はケーブルの主張が控えめで、全体的にすっきりとしているように見える。主要なPCパーツは背面寄りで、天面とサイド側はわずかながらスペースを確保している。

 製品ページによると、CPUクーラーの高さは約160mm、水冷ラジエーターは約280mm(前面)、ビデオカード対応長は約350mm。つまり、PCケースの拡張性が高いので、将来的にもっと大型のビデオカードや簡易水冷クーラーに換装したくなっても大丈夫だろう。

 マザーボードはASRock「B550M Phantom Gaming 4」。2020年に発売したモデルで、Ryzen 3000〜5000シリーズに対応する。ビデオカードでゲーミング性能を引き上げているので、最新ゲームでも活躍できるだろう。

 試用機のビデオカードはZOTAC製のGeForce RTX 5060 Ti搭載ビデオカード。デュアルファンを備えるコンパクトモデルで、ビデオカードを支えるステーがなくても運用できる点がいい。気になる性能については後述のベンチマークパートで紹介する。

 右側面のパネルを開けてみると、きれいにまとまった裏配線。恥ずかしながら筆者のPCは配線が雑すぎて人様にはお見せできない……。それと比べるのもおこがましいほど、QT DIG∞APのケーブルレイアウトは職人技というべきか、見惚れてしまうほどの美しさがあった。

 ドライブベイは3.5/2.5インチ兼用と3.5インチ用が1ヵ所ずつ、2.5インチは3ヵ所あった。これならストレージの拡張も余裕だろう。

 最近のゲームは100GB以上のストレージ容量を要求してくるため、標準構成の1TB M.2 SSDのみだと物足りないのではないかと感じている。老婆心で述べさせてもらうが、BTOメニューのオプションで2TBや4TBのSSDに変更することをオススメする。もちろん、価格は上がってしまうが、あとから変更すると手間もかかる。

 ちなみに、CPUやCPUクーラー、電源ユニットなどもカスタムできる。オプションによっては、さらに“つよつよ”のゲーミングPCが作れるわけだ。これぞBTO PCのメリットだろう。

Ryzen 5 5700X&RTX 5060 Ti 8GBを搭載

 ここからは、QT DIG∞APのスペックを見ていこう。試用機のCPUはAMD「Ryzen 7 5700X(8コア/16スレッド、最大4.6GHz)」で、GPUはNVIDIAのGeForce RTX 5060 Ti(VRAM 8GB)だ。

 Ryzen 7 5700Xは、3年前に発売したCPU(ソケットAM4対応、Zen 3アーキテクチャー)だが、2万円台という手頃な価格帯で現在も定評がある。

 GeForce RTX 5060 Tiは、2025年4月に登場したばかりの最新GPU(Blackwellアーキテクチャー)。リアルな映像美を描写する「レイトレーシング」に加え、高解像度かつ高フレームレートが見込める「DLSS 4」に対応する。

 一般的に、RTX 5060 Tiは主にフルHD(1920×1080ドット)のプレイに適しているが、設定次第ではWQHD(2560×1440ドット)でのプレイも可能としている。

 フルHD(1920×1080ドット)はもちろん、タイトルや画質設定次第ではWQHD(2560×1440ドット)でも快適にゲームが遊べる。なお、標準構成ではVRAM 8GB版だが、BTOメニューでは16GB版(+1万5000円)に変更できる。

 メモリー容量は32GB(16GB×2)。試用機にはDDR4-3200で動くモジュールを搭載していた。最近はDDR5メモリーが主流になっているが、前世代のDDR4もまだまだ現役だ。作業内容にもよるが、DDR5とDDR4の性能差はそこまで大きくない。ゲーミングならさほど困ることはないだろう。

 SSDはモニタリングソフト「CrystalDiskInfo 9.7.2」で詳細を見ると、キオクシアの「EXCERIA PLUS G3」の1TBモデルであることが確認できた。しっかりとPCI Express 4.0×4で接続している。

 定番ベンチマークソフト「CrystalDiskMark 9.0.1」で確認してみると、シーケンシャルリードは最大5000MB/s、シーケンシャルライトは最大3900MB/sと公称値に近い速度だった。動画などの大きいファイルを扱う際にその速さを実感できるはずだ。

3DMarkで見るとWQHDゲーミングでも戦えそう

 ここからはQT DIG∞APのゲーミング性能をチェックしていく。まずは、定番のベンチマークソフト「3DMark」(Ver 2.32.8454)から。3DMarkにはいくつかのテストがあるがまとめてご覧いただこう。

 フルHDの「Fire Strike」や、WQHDの「Fire Strike Extreme」と「Time Spy」も健闘。ゲームや画質設定にもよるが、WQHDゲーミングも期待できそうだ。

 一方で、4Kの「Fire Strike Ultra」や「Time Spy Extreme」、レイトレーシングを盛り込んだ「Port Royal」、重量級の「Speed Way」や「Steel Nomad」では、かなり苦しい結果に。

 重量級のゲームタイトルについては、解像度はWQHDやフルHDに下げるか、レイトレーシングなどの特殊効果をオフにして遊んだほうがいいかもしれない。

FFXIVは4Kでも「快適」に遊べる?

 実際のゲームタイトルでもベンチマークしてみよう。検証したゲームはMMORPGの「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」(以下、FFXIV)、バトルロワイヤルシューターの「Apex Legends」、ハンティングアクションの「モンスターハンターワイルズ」の3つ。

 FFXIVの検証は公式サイトで配信している「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークツール Ver 1.1」(以下、FFXIVベンチマーク)を使用。「快適」以上の評価なら、グラフィック設定を変更しなくても遊べることになる。

 解像度はフルHD・WQHD・4Kの3パターン、画質プリセットは「最高品質」、表示は「フルスクリーン」、DLSSは有効にして計測した。

 フルHDでは1万8880スコアーを叩き出して最高評価の「非常に快適」で、平均フレームレートも136fpsとかなり高い。WQHDでも「とても快適」という結果だったので、スムーズにプレイできるだろう。

 4Kも「快適」評価で平均フレームレートは69fpsと及第点。とはいえ、最小フレームレートは47fpsなので、やや物足りないと感じるシーンがあるかもしれない。不安な場合は、WQHDまで下げよう。

Apex Legendsは4Kでも3ケタ台のフレームレート

 続いては、Apex Legends。画質は「最高設定」にして、マップを動き回った際のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。解像度はフルHD・WQHD・4Kの3パターン。

 フルHDは上限の190fpsに張り付き、高リフレッシュレートのゲーミングディスプレーとの相性は抜群だ。WQHDと4Kも3ケタ台のフレームレートだったので、快適に遊べるだろう。

モンスターハンターワイルズはフルHDがオススメ

 モンスターハンターワイルズはベンチマークソフトを使用。グラフィックプリセットは「高」、DLSSのアップスケーリングモードは「バランス」、フレーム生成は「ON」、レイトレーシングは「OFF」に設定した。解像度はフルHD・WQHD・4Kの3パターン。

 モンスターハンターワイルズは重量級のゲームだけあって、WQHDと4Kは最高設定だと厳しいと言わざるを得ない。フレーム生成を適用しても60fpsを下回ったので、本機で遊ぶ場合はグラフィック設定を下げるほかないだろう。

 一方で、フルHDは最高設定でも「快適にプレイできます」という評価。平均フレームレートも90fps以上を記録していた。試しにグラフィック設定を「中」に、DLSSのアップスケーリングモードを「パフォーマンス」に下げてみたところ、平均フレームレートは123fpsに上昇し、最上評価の「非常に快適にプレイできます」になった。

 検証してみた結果、GeForce RTX 5060 Ti搭載ビデオカードを採用するQT DIG∞APは、フルHDゲーミングが理想的であると感じた。タイトルによってはWQHDでも快適に遊べるが、4Kはグラフィック設定を最低限まで下げるか、あきらめるかの2択になるだろう。

まとめ:15万円台ながら最新ゲームも快適に遊べるPCゲームデビューにピッタリの1台

 QT DIG∞APは3年前のCPUと最新のGPUを組み合わせたコスパの良いモデルだが、フルHDやWQHDであれば快適にゲームが遊べることがわかった。もちろん、重量級タイトルは画質設定次第だが……。

 Apex Legendsのほか、「リーグ・オブ・レジェンド」や「VALORANT」といったeスポーツ系タイトルはもちろん、名作ゲームのリマスター版なども十分快適にプレイできるだろう。

 昨今のゲーミングPCはスペックの進化に合わせて価格も上がっているため、軽い気持ちで購入できないモデルが多い。そんな中で、15万円台を実現したQT DIG∞APは、PCゲームデビューにもっていこいの1台だ。映えるゲーミングPCをお得に購入したい人にもオススメしたい。

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