作家/ゲームジャーナリストのJiniさんが、新規ゲームメディア「Interacrit(インタラクリット)」の設立を発表した(外部リンク)。

Jiniさんは9月12日、新設したゲームメディア「I.N.T.」のローンチと同時に編集長辞任を発表。その理由に、運営企業の株式会社ワイソーシリアス代表・斉藤大地さんによる、ゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE』をめぐる諸問題を挙げていた。

「Interacrit」は、Jiniさんが「I.N.T.」を通して得た挑戦と反省を引き継ぎ、ゲーム文化を変えるための取材と批評を展開する、完全自己資本メディアとして始動する。

ゲーム開発者のインタビューのみで構成されるメディア「I.N.T.」

「I.N.T.」は、Jiniさんと斉藤大地さんが企画したゲームメディア。RPG作品『バルダーズ・ゲート3』ディレクター単独取材記事など、インタビュー記事のみで構成されるWebメディアだ。

9月12日に公開されたものの、Jiniさんは同日で編集長を辞任。その理由として、斉藤大地さんが『NEEDY GIRL OVERDOSE』制作中に起こしたとして告発されているパワーハラスメントや給与未払いなどを問題視。

Jiniさんは当事者間での解決を要請したものの、それが叶わず「I.N.T.」公開が強行されたため、編集長を辞任したと明かした。

なお、「I.N.T.」は現在、英語/中国語/韓国語で記事が公開されているが、日本語では公開されていない。

ゲーム開発者に寄り添う新たなメディア「Interacrit」

Jiniさんは自身のnoteで、「Interacrit」設立の理由を2つ挙げている(外部リンク)。

一つは、ゲーム業界をめぐる搾取や暴力などの問題。これまでも報道で暴かれていたこれらの問題を、Jiniさんは「I.N.T.」の取材を通してゲーム開発者から直接ヒアリング。彼らの不安や恐怖を実感し、さらに表沙汰になっていない事案も存在することにも思い至ったとのこと。

もう一つは「I.N.T.」で起きたことを通して、自身も「パブリッシャーとのトラブルの当事者」になったこと。「もう二度と味わいたくないほどキツい」と語るほどの苦悩を体験したことで、苦しむゲーム開発者たちに寄り添った立場で協力できるのでは、と考えたそう。

この2点から、「Interacrit」は「人間性に基づく取材」と「美意識に基づく批評」を通し、開発者の創造性や作品の歴史的/社会的な意義にフォーカスするメディアを志向。

あくまで告発からは距離を置き、開発者に対する敬意と憂慮を芽生えさせることで、ゲーム文化に変化をもたらしたいと、Jiniさんは綴っている。

なお、Jiniさんが現在運営するゲームメディア「ゲームゼミ」は、将来的には「Interacrit」ブランドに統合していく予定だという。「ゲームゼミのアップデート版」として、「Interacrit」を位置付けるようだ。

asada_kadura

フリーライター・編集者。1991年生まれ、東京都出身。早稲田大学 文化構想学部卒。
VRとVTuberがきっかけで執筆活動を開始し、Webエンジニアを経て、2022年に独立。XR/VTuber/ソーシャルVR(メタバース)/AIを中心に取材・執筆活動を行っている。
プライベートではVRChatに入り浸る。プレイ時間は4000時間程度。

ゲームジャーナリストJini、完全自己資本の新ゲームメディア「Interacrit」設立

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