瑞起は、9月25日から28日まで開催中の「東京ゲームショウ2025(TGS2025)」の瑞起ブースにて、大規模イベントでは初となる「X68000 Z2」の展示を行なった。

 「X68000 Z2」は、1987年にシャープから発売されたパーソナルワークステーション「X68000」の、いわゆるミニチュアリメイク品となる「X68000 Z」に続く製品として2025年2月6日に発表された。「X68000 Z」では初代「X68000」を復刻したが、「X68000 Z2」では「X68000 SUPER」と「X68000 XVI」を復刻する。筐体サイズは「X68000 Z」から約1.5倍となり、フロント&サイドパネルと天板、パワースイッチ、基板を取り替えることで、本体の見た目と仕様を「X68000 Z SUPER」と「X68000 Z XVI」で使い分けることが可能だ。

 「X68000 Z2」はクラウドファンディングサイト・kibidangoにて、2025年2月8日から支援の募集を開始。最終的には約3億4千万円を集め、2月28日に終了した。同サイトでは現在、「X68000 Z2」専用モニターをクラウドファンディング中なのだが、前回のクラウドファンディングを見逃してしまった人向けに「X68000 Z2」の2ndロットへの支援も併せて募集している。支援し損ねたという人は、この機会にアクセスしてみてはいかがだろうか。

 今回、東京ゲームショウ2025の瑞起ブースにて「X68000 Z SUPER」実機と「X68000 Z XVI」のモックアップ展示が行なわれているとのことだったので、現時点での進捗度合や発送時期などについて、瑞起 取締役 商品企画部 部長の米内雄樹氏に話を伺った。

他のお客さんの対応にあたるなどの忙しい中、短時間ではあるがインタビューに快く応じてくれた米内氏

――先日、京都で行われたBitSummitなどでも展示されていた「X68000 Z XVI」ですけれど、これだけの大規模イベントでの展示は今回が初ですよね。

米内氏:そうですね。その時よりは、量産に近づけたモデルになっていますけれど、これからまだ細かな調整は行ないます。今後、最後の微調整を行わないといけないのですが、申し訳ないことに今日は調整済みではないモデルを設置しているというのが正直なところです。

――SNSなどでは、流れてくる「X68000 Z XVI」の写真を見て、「“XVI”が“X VI”になっているのはおかしくない?」といった意見が出ていましたが、これは調整前モデルを使用したことによるものなんですね。

米内氏:そうなんです。なので、当然ながらそういった部分は調整を加えますので、完成品ではガッカリさせることはないと思いますので安心してください。また今回は、色味をかなりオリジナルのモデルに合わせてあります。以前に展示していたモデルは色味が入っていなかったんですが、今回の展示では色味を中心にチューニングしているので、かなり良い感じでチタンブラックが表現できていると思います。

――つやの感じなど、かなり実機に近い印象を受けますね。これは、再現するのにかなり苦労したのでしょうか。

米内氏:はい。何度も何度もトライして、ようやく現状に到達したというところです。

――これなら、支援者は納得して受け取ることができますね。

米内氏:そう思ってますし、今回のテーマである“見た目の再現度”というところを「X68000 Z」からより近づけたいというのがコンセプトとしてありましたので、実際その部分に非常にこだわって進めています。

テーブルからの光が筐体に反射している部分の色合いなどが、チタンブラックの雰囲気に近いことがわかる

――これまではYouTubeチャンネルの「Z-CLUB部室放送」がメインでしたけれど、東京ゲームショウ2025に展示したことで大勢のお客さんに生で見てもらえる機会ができました。「X68000 Z」と比べた大きさもわかるようになりましたよね。

米内氏:そうなんです。本当はここに実機を並べられれば、より大きさの違いが分かったんですが……実機は、あまり持ち運びすると壊れちゃうかもしれないと思ったので止めました(笑)。

――SoCに関しても、「X68000 Z SUPER」は「X68000 Z」と同じですが、「X68000 Z XVI」ではパワーアップしてますよね。

米内氏:はい、新しいSoCを乗せています。このあたりも、まさに開発中ではあります

・「X68000 Z SUPER」や「X68000 Z」のスペック詳細ページ

――「X68000 Z XVI」ではいろいろと機能も増えていますが、これはユーザーサイドからの要望が大きかったのでしょうか。または制作側が最初からやろうとしていたことだったのでしょうか。

米内氏:ユーザーからの要望が、我々としては一番意識しているところです。ただ、それが実現できるかどうかも大事で、やってほしいと言われることと我々ができること、そのバランスを取りながら研究しつつ、時にはご意見やアイデアをいただきながら進めています。やはり過去を振り返ってみても我々だけで突き進むというよりは、X68000というのは皆様が大事にされてきた“文化もの”でもあるので、私たちとしてはユーザーの皆様の意見をしっかり聞きながら開発していくつもりです。

――最後に、気になる「X68000 Z XVI」の発送時期に関しては、具体的にはいつ頃になりそうでしょうか?

米内氏:クラウドファンディングのページでは秋頃にお届けとなっていますが、今のところは11月中の発送を考えています。秋ギリギリですが、このタイミングであれば冬休みや年末年始に間に合いますので。

――そうなると、「X68000 Z XVI」用エミュレータの開発進捗も気になるところです。こちらはどんな感じでしょうか。

米内氏:そちらも鋭意開発進行中なので、続報が出るまで今しばらくお待ちください。分かり次第、「Z-CLUB部室放送」にてお伝えできるかと思います。

――わかりました。お忙しい中、ありがとうございました。

背面のMIDIポートとUART、HDMI、USBポート部分。右下のPOWERは、ITXボードの電源スイッチとなる今回撮影したモデルには、ITXボードは入っていなかった。これはTGS2025用の展示品だからであって、米内氏から「みなさんこだわっているところなのは分かっているので、もちろんちゃんとやります」との説明があった正面と側面の「X VI」表記に関しては、TGSに持ち込んだバージョンだけの仕様で、調整後のモデルでは修正されているとのこと。これを聞いて、ホッとした人も多いことだろう

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