東京ゲームショー2025のインディーゲームコーナーに大きなブースで出展していたのがPARCO GAMESだ。PARCO GAMESは、ファッションビル「PARCO(パルコ)」を全国に展開するパルコのゲーム事業で、インディーゲームのパブリッシングを行っていく。今回は会場でPARCO GAMESを運営するパルコゲーム事業開発部部長の西澤優一氏に話を聞いた。
パルコゲーム事業開発部部長の西澤優一氏
PARCO GAMESは先月、8月25日に3つのゲームのパブリッシングを行うことを発表、正式にPARCO GAMESを立ち上げた。パルコゲーム事業開発部部は元々は店内のイベント運営やグッズ販売を行うノウハウのゲーム開発に活かせないか、というのがスタートだという。準備は2年前から進めており、先月事業の発表、そしてゲームショウへの出展で、大きくユーザーへアピールしていく。
ブースのイメージは「空港」。待合室を経て、ゲーム世界に旅していく
地球の歩き方とコラボしたパンフレットなど、ノベルティも充実
PARCO GAMESの大きな柱になるゲームが、アドベンチャーゲーム「南極計画」というゲームだ。Steamで2025年冬の発売を予定している。価格は未定。日本のゲーム開発社RexLaboと、PARCO GAMESの共同開発で進めている。
さらにもう2本、アクションアドベンチャー「Constance」をプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/PC向けに11月18日より配信する。価格は未定。11月25日にはアドベンチャーゲーム「The Berlin Apartment」をプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/PC向けに配信する。こちらも価格は未定だ。
「Constance」と、「The Berlin Apartment」はドイツのbtfという開発会社が制作している。2024年の東京ゲームショウのインディーコーナーに出展していたのをPARCO GAMESが声をかけ、パブリッシングが実現したとのこと。日本語ローカライズでPARCO GAMESが協力しているという。これら3本のゲームは会場で遊ぶことができる。
PARCO GAMESは理念として「パルコならではのリアルな場、多様なメディアを連携・越境しストーリーやキャラクターの魅力、世界観を拡張することで革新的なゲーム創出に貢献します」というものがある。パルコという店舗を「ゲームの魅力を感じさせる場」にしたいのだという。
今回のブース設計はその思想が色濃く出ていた。ブースデザインのコンセプトは「空港」。待合から、ゲームの世界に飛び立つという意味合いと、PARCO GAMESはパブリッシングを日本国内に限らず、世界に行っていくのが目標で、「世界への出発点」というイメージでブースを設計したとのことだ。
待合室、というところがユニークで、ゲームショー会場にはあまり見られない座ってゆったりできる空間を用意し、彼らの先にゲームをプレイしているユーザーが見えるようになっている。これはパルコを訪れるお客さんがくつろいでいる先の景色だと感じた。他のゲームメーカーと異なり、プレーヤーを”眺める”空間を用意することで、ゲームを知らない人にもその世界を感じさせる試みだろう。
さらにパンフレットに「地球の歩き方」とコラボし、自社タイトルを紹介しているところも面白い。他にもノベルティをいくつか置いており来場者が手に取れるようにしていた。積極的に配るのではなく、お客さんが興味を持って手に取る。パルコゲーム事業開発部部は、店内のイベント運営やグッズ販売を行う部署が母体となっている。パルコという空間から、異なる文化の魅力を紹介し、それによりパルコそのものの魅力も膨らませる。パルコがゲームに参入するというのはどういうことか、実際の店舗とゲームはどのような乗効果を生み出せるか? 今回の出展からは、PARCO GAMESならではの可能性の一端を感じることができた。
出展タイトルにも目を向けていこう。「南極計画」は宇宙服のような装備のキャラクターが極寒の地をさまようサバイバルアドベンチャー。主人公は子供で、たった1人南極の地をさまようこととなるという。木材を集めたり、必要なアイテムをフィールドを探索し収集、生き残るために前進していく。
一見非常に過酷でハードな設定だが、丸っこい体感服のデザインや、短い手足を動かして進む姿。ペンギンの赤ちゃんを抱っこするとその暖かさで体温が上昇するなどほのぼのとした要素も取り入れられている。また狐のような生き物に乗って移動する要素もある。ちょっと奇妙で楽しいゲームになりそうだ。ただし天候はランダムでシビアなところもあるとのこと。
ゲームの舞台は“未来の南極”であり、設定年代は現在より900年後。開発者は未来の南極を予想しフィールドを設定している。最初は何もわからないままフィールドを探索し、徐々にバックストーリーが明らかになっていくという。会場ではゲームの要素が確認できる体験版をプレイできる。PARCO GAMESはインディーゲームにとどまらず今後も挑戦を行っていくとのこと。
「Constance」は「メトロイドヴァニア」といわれるジャンルのアクションアドベンチャー。スピーディーで激しいアクションで、フィールドを探索していく
【The Berlin Apartment】
「The Berlin Apartment」はベルリンのアパート内を探索する一人称アドベンチャー。部屋の中の記憶を探っていく