「龍が如く3」のキーマン「峯義孝」が東城会を駆け上がるまでの物語が描かれる。それが「龍が如く3外伝 Dark Ties」だ。

 「龍が如く3」、「龍が如く 極3」では東城会若頭補佐および直系白峯会会長として登場する峯。東城会の大幹部だが、峯はたたき上げの極道ではなく、もともとはベンチャー企業の会長であった。ある意味で中途入社組のようなものだ。

 そんな峯が、なぜ東城会の幹部へ昇りつめることができたのか――。この部分が「龍が如く3外伝」で描かれる。

 「東京ゲームショウ2025」のセガブースでは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC用アクションアドベンチャー「龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties」がプレイアブル出展されており、序盤部分を先行してプレイできた。そのレポートをお届けしていく。

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金も地位も手に入れた男の心に残った空虚感

 貧しい孤児の出身で、お金を稼ぐためにITベンチャー企業に勤めていた峯。「龍が如く3外伝 Dark Ties」の冒頭では、雨が降る高速道路、車窓から外を見ながら「俺はどこで間違ったのか」「ずっと独りだった」と過去を振り返る。「俺の欲しかったものは金でも地位でもなかった」と話すのだ。

 そして場面は過去に移る。東城会六代目会長である堂島大吾が襲撃されるところを目撃した峯は、「命を投げうつような『絶対的な絆』」が存在するのか、それを確かめたくなった。それが峯が極道の世界へと足を踏み入れるきっかけになる。

堂島大吾が襲撃される現場を見た峯は「絶対的な絆」に興味を抱く

 極道の世界へと足を踏み入れるために、峯は錦山組の神田強を利用する。神田は、本作では若衆だが、「龍が如く3」では東城会若頭補佐、直系三代目錦山組の組長になっている。神田は大出世しており、この神田の出世に影響しているのが峯だと考えられる。

 本作の中で描かれる神田は“下衆な男”という言葉がぴったりな男だ。刑務所から出所するやいなや、迎えに来た子分たちを張り倒しお金を奪う。しかも奪ったお金で神室町を訪れ、よりによって風俗街を目指す。しかも、入った風俗店では奪ったお金では足りなかったのか、「値段が高すぎる」と文句を言い、欲望のままに道を歩いている女性を襲うというシーンまでが描かれている。

 峯の介入によって、未遂に終わったのだが、峯から投げ渡された50万円を恥も外聞もなく、地面に這いつくばって拾った上、早速風俗店に向かおうとする。欲望のままというか破廉恥というか、ここまで清々しい表現は珍しい。

部下から金銭を巻き上げ風俗街に向かう神田峯から投げられた50万を這って拾う

 峯を演じるのは中村獅童さん。クールで多くを語らない峯を静かに演じている。神田は「龍が如く3」、そして「龍が如く 極3」に続き宮迫博之さんが演じる。そのあまりにも下衆さを感じさせる演技は見事だった。

 冒頭に登場したのはこの2人のキャラクターだが、その対比がクッキリと出ている。どちらかのキャラクターだけだと単調になりそうな物語が、この2人が交わることでバランスが取れている印象だ。序盤のプレイでは姿を見ることはできなかったが、松田賢二さんが演じる新キャラクター「碇新平」が本作の物語にどう関わってくるか。注目したいところだ。

峯と神田のやりとり。ギャップのある2人だからこそストーリーがより輝くのだろう

 また、僅かな時間ながらも街遊びも体験できた。体験できたコンテンツは「プリントサークル」と「カラオケ」だ。

 「プリントサークル」はゲームセンターで写真を撮ってシール化できる、プリクラ的なコンテンツだ。

 いくつかのフレームが用意されており、フレームを選んだ後ポーズをとる。ポーズ中は静止しないので、ベストショットを狙うためには撮影のタイミングも重要だ。最後に、撮影した写真を1枚選んでコレクションすることができる。平成に流行した“プリ帳”を思わせる要素もあった。また、「1人でプレイする」という選択肢があったため、誰かと一緒に撮影することもできるのかもしれない。

プリントサークルで写真シールが集められる。懐かしの“プリ帳”を思い出させる

 「カラオケ」はシリーズお馴染みの、音楽にあわせてボタンを押すリズムゲームだ。今回プレイできた楽曲は「ばかみたい」。

 「だめだね だめよ だめなのよ」というフレーズは印象的で、これまでのシリーズ作品では桐生はもちろん、他のキャラクターたちも歌ってきた名曲だ。盛り上がる直前でプレイ時間の制限となり、最後まで峯の雄姿を見ることができなかったのが残念だ。この楽曲も含めて、製品版が楽しみである。

クールな峯が歌い上げる「ばかみたい」。時間の関係で最も盛り上がっているシーンが見られなかったのが残念だ

 本作は「龍が如く」の伝統である人間ドラマ、ケンカアクション、街遊びという要素を内包している安定した一作と感じた。奇をてらわずに王道の「龍が如く」のアクションアドベンチャースタイルで峯の人間ドラマを体験できる。

 峯は「龍が如く3」、「龍が如く 極3」ではキーになるキャラクターの1人。そんなキャラクターの背景を補完する形で本作の魅力がより引き立つだろう。本作は「龍が如く 極3」に同梱され、どちらからでもプレイできる。本編からプレイするか「龍が如く3外伝 Dark Ties」からプレイするか。どちらの順番でプレイしても感じ方は異なるだろうし、プレイ順は悩ましいところだ。

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