東京ゲームショウ2025でひときわ目立つElectronic Arts(EA)の『Battlefield 6』のブース。赤レンガの壁を突き破る戦車や、天井から吊り下げられた攻撃ヘリの模型などが目を引く。ステージでは最大64人のマルチプレーヤー試遊が可能。東京ゲームショウへの出展は10年ぶりという。2025年10月10日に発売を予定する本作の特徴や開発の経緯などを、EAの副社長で「Battlefield」シリーズのゼネラルマネジャーであるByron Beede(バイロン・ビード)氏に聞いた。

EAの副社長で「Battlefield」シリーズのゼネラルマネジャーであるByron Beede(バイロン・ビード)氏

EAの副社長で「Battlefield」シリーズのゼネラルマネジャーであるByron Beede(バイロン・ビード)氏

――東京ゲームショウに10年ぶりに「Battlefield」が帰ってきました。シリーズ最新作『Battlefield 6』のTGS2025に対する意気込みと、展示までの経緯を教えてください。

バイロン・ビード氏(以下、ビード) まず一つ強調しておきたいのが、日本とアジアのマーケットは、私たちにとって極めて重要だということです。本当に大きな存在だと考えています。

 本作は「Battlefield」らしさとは何かを追求することから始めました。開発当初からユーザーの声を徹底的に聞き、ユーザーと一緒に開発して作っていくんだという気持ちをずっと持っていました。

 その象徴的な取り組みが「バトルフィールドラボ」です。ベータテストを含めて、世界中で延べ数百万人のプレーヤーに参加してもらい、さまざまなフィードバックを受けました。もちろんアジア、そして日本のプレーヤーの方々にも多数参加してもらっています。

 その貴重なフィードバックをゲームに反映して今、東京ゲームショウ2025のステージに立つことができました。TGSがアジアや日本のゲームファンにとって、どれほどの価値があるかは私たちも理解しています。TGS2025への参加は、開発のマイルストーンの一つとしてずっと以前に決めていました。今回ここに戻ってきたことを本当にうれしく思っています。

「プレーヤーの意見を聞く『バトルフィールドラボ』の役割は重要だった」と語るビード氏

「プレーヤーの意見を聞く『バトルフィールドラボ』の役割は重要だった」と語るビード氏

――東京ゲームショウ2025(TGS2025)の『Battlefield 6』のブースは、赤レンガの壁を突破する戦車や、吊り下げられた攻撃ヘリの模型という目を引く演出です。ステージ上では64人のマルチプレーヤー対戦ができ、さらにシングルプレーの試遊台も用意。ブース構成のコンセプトは?

ビード 「Battlefield」らしさをどうプレーヤーに伝えるかという観点からデザインしています。ジェット機が飛び交い、戦車も走る巨大な戦場。最大64人によるマルチプレー。そして革新的な破壊表現です。

 ゲームだけでなくエンターテイメントの世界を見ても、Battlefieldシリーズほど全面的に戦闘を表現したものはないといえるほどユニークなIP(知的財産)だと自負しています。

 プレーヤーの皆さんもご体験があるかもしれません。対戦中にビルの影に隠れて安心していたら、相手の砲撃でビル全体が崩れて自分の姿があらわになってしまったり、良い戦闘ポジションを確保できたと思ったら、突然床が崩れて落ちてしまったり……。ステージや環境が絶えず変化するプレー体験は、Battlefieldならではです。

TGS2025の「Battlefield 6」のブース

TGS2025の「Battlefield 6」のブース

ブースでは最大64人のマルチプレーヤー試遊を楽しめる

ブースでは最大64人のマルチプレーヤー試遊を楽しめる

――本作の開発は、DICE、Ripple Effect、Criterion、Motiveという4つのスタジオによる共同制作です。なぜ共同制作というスタイルになったのでしょうか?

ビード マルチプレーやシングルプレーなど、さまざまな要素を高いレベルで融合させるためです。1社だけではなく、各スタジオの強みを統合することで、どのモードをプレーしてもクオリティーの高い体験を提供できると考えたのです。

 しかし、バラバラになってしまっては意味がありません。Battlefieldをベストな形で表現するにはどうすればよいのか、チームで絶えず検討しました。

ユーザーの声を反映した精神的後継作

 そこでも明確な指針となったのは、バトルフィールドラボが得たユーザーからのフィードバックです。どのような体験にファンは価値を感じているのか。それを中心に置いたからこそ、ブレずに本作を作れたのだと思います。

 ファンの方々は『バトルフィールド3』『バトルフィールド4』の2タイトルを一番のバトルフィールド体験として挙げることが多かった。『Battlefield 6』はこの2作品の精神的後継作だと考えています。

――本作の対応プラットフォームはPC、PlayStation 5、Xbox Series X|Sです。マルチプラットフォーム開発の難しさはありましたか?

ビード ビデオゲームのユニークなところは、多数のプレイヤーが一緒に楽しい体験ができること、一緒に遊ぶことだと思うんです。

 最大64人で対戦するためには、クロスプラットフォーム開発が前提です。技術的にはハードルが高いのですが、プレーヤーがプレイステーションでプレーしても、PCでプレーしても、その体験を邪魔するような形ではいけません。そのような考えで開発しました。

――eスポーツへの展開は考えていますか?

ビード まずは、このゲームを正しく適切な形で仕上げて出すことを重視しています。それがすべてのスタートです。

 BattlefieldのIPとしての可能性に限界はないと思っています。eスポーツにも、もしかしたら参入するかもしれません。しかし、たとえそうするにしても、まずはプレーヤーが何を望んでいるか、何を求めているかを聞いていかなければいけません。ユーザーの声を聞き、共に一つのジャーニー(旅)をする。それを私たちは大事にしたいと思っています。

(文/永井 学、写真/木村 輝)

▼関連リンク
日経クロストレンド「東京ゲームショウ2025特設サイト」
東京ゲームショウ2025公式サイト(クリックで公式サイトを表示します)

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