
サードウェーブのゲーミングPCブランド「GALLERIA」が、東京ゲームショウ2025にブース出展を行なった。場所は幕張メッセ内ホール6。サードウェーブは、9月18日にGALLERIAの新戦略・新製品発表会を行ない、タグラインが一新され、デスクトップPCのラインナップを全面リニューアル。5年ぶりに新たなケースを採用するなど、革新的な進化を遂げた。
東京ゲームショウ2025のブースでは、先日発表されたばかりの新製品や初公開の「ぶいすぽっ!」コラボマウスなどが展示されていただけでなく、ステージでは各種イベントも行なわれていた。初日に行なわれたイベントの中で、新製品発表会では開発表明だけがされていた、GALLERIA初のThreadripper(スレッドリッパー)搭載モデルがついにベールを脱いだ。本稿では、従来のGALLERIAの枠を超える超高性能PCであるThreadripper搭載GALLERIAを中心に、ブースと初日のイベントの様子をお届けする。
サプライズ発表となったThreadripper搭載GALLERIA
Threadripperは、AMDのワークステーション/ハイエンドPC向けCPUで、最大96コア/192スレッドという超弩級CPUだ。非常に高い演算性能を誇り、科学技術計算などのハイパフォーマンスコンピューティングに適した製品である。将棋棋士の藤井聡太七冠が、Threadripper搭載PCを将棋の研究に活用していることを知っている読者も多いだろう。愛称で「スリッパ」などと呼ばれることもあるが、最上位モデルはCPUだけでも200万円を超えるため、普通のPCユーザーには縁遠いCPUでもある。
Threadripper搭載GALLERIAが発表されたのは、9月25日の15時~16時まで行なわれた「GALLERIA Sシリーズ トークショー」というイベントである。トークショーの出演者は、eスポーツチーム「TIE」のPRiZEさんとRuさん、ASRock JAPANの原口有司さん、MCの山野智三さん、サードウェーブの黒川裕大さんの5名である。
最初にMCの山野さんが、3D CG制作や動画編集なども行なっているPRiZEさんとゲーム配信者であるRuiさんに、PCで譲れないポイントについてそれぞれ訊いたところ、PRiZEさんは「ゲームだけでないクリエイティブ性能」、Ruiさんは「CPU」を挙げた。その理由として、PRiZEさんは「ゲームをするだけじゃない、ゲーミングPC、例えば動画編集ができるとか、3D CGを作り出せるのか、自分自身、元々TIEにエディターとしは入って、TUEの選手の加入PVも作っていますので、クリエイティブ性能を重視しています」と説明した。また、Ruiさんは「自分はゲーム配信者としてあくまでゲームのためにシンプルにCPUだと。10年前ぐらいから「バトルフィールド」シリーズをやっていますが、当時はBFは重たいゲームで、グラフィックボードも高級なもの使わないとフレームレートが出ませんでした。『バトルフィールド5』ではリアルタイムレイトレーシングが実装され、すごい綺麗なんですけど、めちゃくちゃグラボの性能がいると。『バトルフィールド6』がもうすぐ発売されますが、リアルタイムレイトレーシングは廃止されてます。高級なグラボじゃないと表現できないというのは平等じゃないよねっていう、みんなが遊べるものがいいよねというのがあって、そうなると4Kでゲームするなら、高性能なグラボも欲しいんですけど、『APEX Legends』や『バトルフィールド』をあくまでフルHDでフレームレートを出すなら、グラボの性能を上げても頭打ちで、CPU性能が高い方がフレームレートが出る傾向に最近なってきてるんで、こういうトレンドを踏まえると、ゲームを4Kでやらないんだったら、CPUをメインで積んでもいいんじゃないかなっていうのが自分の意見ですね」と説明した。
続いて、PRiZEさんとRuさんがステージに置かれていたPCにかけられていた布をめくると、大きなPCが姿を現した。これが初公開となるGALLERIA SシリーズのThreadripper搭載モデルである。Threadripper搭載GALLERIAは、PRiZEさんとRuさんのこだわりポイントを全て満たすマシンだと、山野さんが紹介した。製品開発を担当したサードウェーブの黒川さんは、「Threadripperはコアの数がとても多いことが特徴で、最大64コアで128スレッドです。簡単に言うと、皆さんが使ってるパソコンは自家用車で、これは1トントラックです。最新、最先端の技術をしっかりと皆様にお届けするというサードウェーブの理念に基づいた製品です。CPUが3種類あり、価格は150万円から300万円程度になると思います」」と説明した。搭載されているマザーボードはASRock製であり、マザーボードやCPUに詳しい原口さんが、Threadripper搭載GALLERIAの3つの魅力を次のように紹介した。1つ目は、マザーボードの信頼性と性能の高さだ。Threadripperは消費電力が350Wと大きいが、その2倍の消費電力にも耐える設計になっており、85℃の環境でも理論上は200年の耐久性を持つパーツを使っているとのことだ。さらに10Gbps対応のLAN機能を搭載しており、大容量データも素早く転送できる。2つ目はPCI Expressのレーン数の多さだ。グラフィックスボードを2枚指して、片方でゲームをやり、もう片方でビデオのエンコードをすることもできる。3つ目は、通常のATXマザーボードよりも大きいEATXマザーボードを採用していることであり、メモリスロットも多いため、メモリは特殊な物を使うが、最大1TBのメモリを搭載可能である。また、M.2スロットも多く、付属のオプションカードを使えば最大8枚のSSDを搭載できる。
通常のPCはせいぜい16コアなので、64コアのThreadripperは単純計算では4倍速く処理を実行できることになる。1時間かかるレンダリングが15分で済むようになれば、そのメリットは大きいと原口さんは語った。最後に、PRiZEさんがこのThreadripper搭載GALLERIAを手に入れたらやってみたい夢を3つ紹介した。1つ目は、「3Dモデリング」であり、Cinema 4Dという3G CGソフトを使っているが、スモークや流体のシミュレーションが非常に重く、今までのCPUだと10秒間のスモークのレンダリングに8時間くらいかかるという。それがThreadripperを使えば大幅に時間を短縮でき、映像制作効率が飛躍的に上がることを期待したいとのことだ。2つ目は「8K or 16Kレンダリング」で、今は4Kでのレンダリングや配信が主流になってきているが、将来的にはその上の8Kや16Kでのレンダリングが一般的になる可能性もあり、Threadripperでそうした高解像度のレンダリングをやってみたいと語った。最後が、「After Effectsの重いエフェクト」である。PRiZEさんは、中学2年生のころからAfter Effectsを使っているそうで、レンダリングも当然重いが、途中段階でのプレビューでも元の画像にプラスして調整レイヤーにエフェクトをバンバン重ねると、それぞれの出力に時間がかかり、プレビューするだけでも10分や20分かかるのが悩みだという。Threadripperならそうしたプレビューも高速にできるはずなので是非やってみたいとのことだ。PRiZEさんにとって、Threadripperは夢のCPUであり、それを搭載したGALLERIAを一刻も早く使いたいと熱く語っていた。
なお、肝心の発売時期はまだ明らかにされていないが、担当者に訊いたところ、遅くても年内、そう遠くないうちに発表されるとのことだ。単にゲームをプレイするだけではThreadripperの性能を活かしきることは難しいが、4K以上の解像度での3D CG制作やシミュレーションなど、CPU性能があればあるだけ仕事が捗る分野はたくさんある。Threadripper搭載GALLERIAは、一般ユーザー向け製品とは言いがたいが、PRiZEさんのように登場を心待ちにしている人も決して少なくはないだろう。
GALLERIAの新製品が多数並んだ試遊コーナーも人気
ブースには、先日発表されたばかりのGALLERIAの新製品がずらりと並んでおり、最新ゲームを試遊することができるようになっていた。スタンダードモデルのXシリーズやピラーレスデザインのFシリーズ、フラッグシップのSシリーズなど、各シリーズの製品の展示、デモのほか、VTuberやeスポーツチームとのコラボモデルなどのSGLも一通り展示されており、多くの来場者で賑わっていた。
REJECTコラボモデルの誕生秘話も明かされる
9月25日の13時~14時までは、「REJECTコラボモデル発売記念 特別トークセッション」が行なわれた。出演者は、REJECTのたきしまさん、NANON CREATIVEのminoさん、サードウェーブの黒川裕大さんの3名である。
まず、MCを務めたたきしまさんが、GSLという新しいカテゴリを作った意図について、黒川さんに訊いたところ、黒川さんは次のように答えた。「我々と皆様、パートナー様と色々なことをしていく中で、我々としてはGALLERIAというPCを皆さんにお届けしていくところではありますが、その一環として関係を深めて、製品の認知向上や信頼、あそこのチームとコラボしてるんですか、あの人とコラボしてるんだって、その買う側からすると、信頼というか、納得できると思いますので、そういうところを深めていきたいと考えて、今回のGSLが生まれました」
このコラボPCの側面に描かれているキャラクターは、minoさんが考案したREJECT公式キャラクター「リジェジェくん」だ。minoさんは、今回のコラボモデルのデザインも担当しており、こだわったところとして、「まず、イメージカラーである赤と黒にこだわりました。それから、ピラーレスモデルということで、デザインを詰め込もうと思えば色々詰め込められるけど、そのガラスの中も見たいよねということで、ちゃんと絵も見えつつ、中身もしっかり見えるようなデザインを目指しました」と語った。
ちなみに初期デザインでは、リジェジェくんやREJECTの文字ももっと小さく控え目だったが、やはりもう少し目立たせたほうがよいということで、このデザインになったという。
「ぶいすぽっ!」コラボのオリジナルゲーミングマウスも登場予定!
「ぶいすぽっ!」コラボマウスの展示コーナーも注目を集めていた。「ぶいすぽっ!のメンバー23名のコラボマウスが発売予定とのことで、会場では「小雀とと」「八雲べに」「猫汰つな」の3名のコラボマウスを実際に手にすることができた。
このマウスは、既製品のカラーバリエーションモデルではなく、金型から起こしたオリジナル設計のものだという。以前、コラボキーボードが限定発売されていたが、マウスも近日中に発売したいとのことだ。ポーリングレート最大8,000Hz対応のワイヤレスマウスで、重量は約53.5g。センサーとしてXS-1 Flagship Sensorを採用、バッテリー持続時間も最大100時間対応と、本格的なスペックを誇る。ワイヤレスドングルにアクスタを飾れるようになっているのも面白い。価格や発売時期は未定とのことだが、こちらも楽しみだ。
 
						
			