Microsoftは東京ゲームショウ初日の9月25日19時より、「Xbox 東京ゲームショウ 2025 ブロードキャスト」を配信した。配信で発表された個々のタイトルについては速報でお伝えしているほか、サラ・ボンド氏へのインタビューやXbox ROG Ally試遊レポートなど、個別取材は別項にてお伝えしているのでそちらを参照いただきたい。本稿では配信について解説していく。

【【TGS2025】Xbox 東京ゲームショウ 2025 ブロードキャスト】

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日本タイトルと日本コンテンツを集めに集めた「Xbox 東京ゲームショウ 2025 ブロードキャスト」

 長さは約50分ほど、ラインナップは全25本という選りすぐった内容の配信だったが、日本のゲームファンにとっては驚きの内容ばかりだったのではないだろうか。元々東京ゲームショウでのXboxの配信は、日本のゲームファンに向けた、日本のタイトルが多めに発表されるのが通例となっているが、今回は日本は日本でも、“日本をモチーフにしたコンテンツ”がこれでもかと集められており、その集めっぷりに嬉しくなったゲームファンも多いだろう。

【Forza Horizon 6】

ついに「Forza Horizon 6」は日本が舞台に

 恒例となってるXbox Gaming CEOのフィル・スペンサーのウェルカムスピーチでは、日本を含む、アジアに対する創造性と情熱について最大限の賛辞と感謝を贈りつつ、Xboxが、XboxプラットフォームとXbox Game Passを通じてユーザーを繋ぐことに注力し、アジアのゲームコミュニティのゲームへの愛情、積極的なフィードバック、エネルギーがXboxの原動力となっていることを報告。配信では、日本のスタジオの新作、日本モチーフのコンテンツ、若手クリエイターの新しいアイデアによるタイトルが公開されることを予告。その後に行なわれた発表は、まさに日本尽くしの内容だった。

【フィル・スペンサー】

配信は録画だが、25日には、コーエーテクモブースでのテープカットに参加するなど、今年も来日していた

 配信では、レッドカンパニーの伝説的なタイトル「Gungrave Gore」のフルリメイクとなる「Gungrave Gore: Blood Heat」を皮切りに、最大のサプライズとなった日本が舞台となる「Forza Horizon 6」まで、25タイトルがお披露目された。16タイトルがアジアタイトルで、国産は9タイトル、日本モチーフのコンテンツも含めると日本関連の発表は過半数を超える。ラインナップは以下の通り。

【日本タイトル】
Gungrave G.O.R.E. Blood Heat(韓国開発)
ダブルドラゴン リヴァイヴ
零~紅い蝶~REMAKE
モンスターハンターストーリーズ
モンスターハンターストーリーズ2
モンスターハンターストーリーズ3
HOTEL BARCELONA
ドラクエI・II
ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン
NINJA GAIDEN 4

【日本コンテンツタイトル】
Microsoft Flight Simulator 2024: World Update 20: 日本
Age of Mythology: Retold Heavenly Spear
Call of Duty: Black Ops 7
Forza Horizon 6

【そのほかの海外タイトル】
007 First Light
Sudden Strike 5
Fallout 76
Hitman: World of Assassination
Mistfall Hunter
Winter Burrow
マトリックス・ゼロ
Rhythm Doctor
Project Evilbane
Starsand Island(星砂島物語)
アニモ

 日本のゲームファンにとってありがたかったのは、各タイトルのリリース時期の告知に合わせて、XboxやPC以外のプラットフォーム、それはつまりプレイステーション 5やNintendo Switch 2のロゴも表示され、手持ちのコンソールで遊べるかどうかがすぐにわかるようになっていたことだ。たとえば、初公開された「Gungrave G.O.R.E. Blood Heat」はPS5、「零~紅い蝶~REMAKE」はPS5とSwitch2でもリリースされることがわかる。

【対応プラットフォームがわかる新設仕様】

PS5やSwitch2など、ライバルプラットフォームのロゴが表示されるのは新鮮だ

 Xboxは、PCから分化したゲームプラットフォームだけに、元々独占志向はそれほど強くなかったが、もはや発表において独占かどうかをまったく意識しなくなりつつある。もちろん、過去にE3などの機会において、エクスクルーシブタイトルの多さを誇っていた時期も存在するが、Xbox Play AnywhereをXboxの基軸にしてからは、いかにXbox本体のインストールベースを増やすかから、いかに多くのスクリーン、デバイスに展開していくかにシフトしている。

【Starfield】

Xboxプラットフォームの代表的な独占タイトルのひとつ「Starfield」。PS5版の噂が出ては消えるが、どうなるだろうか

 Xbox Presidentのサラ・ボンド氏が語っていたが、Xboxが自ら手がける、あるいはパートナーが手がけるタイトルを、いかに多くのゲーマーに届けるか。そのためには、ライバルとされるゲームプラットフォームを表記することを厭わない。今回の配信では、それをまさに有言実行していたといえる。

【サラ・ボンド】

日本のゲームファン待望の日本コンテンツ

 日本のゲームファンとして嬉しいのは、日本タイトルがXboxにも展開することよりも、日本人に馴染み深い、日本をモチーフにしたコンテンツが多数発表されたことだろう。今回、タイミングが良かったということもあるだろうが、ファーストパーティーのAAA、4タイトルが日本向けのコンテンツを提供することを発表した。以下、発表された内容を見ていこう。

 まず、「Microsoft Flight Simulator 2024」および「Microsoft Flight Simulator 2020」向けの無料アップデートコンテンツ「World Update 20: 日本」。

【World Update 20: 日本】

 「World Update 20: 日本」は2つのコンテンツで構成されている。1つは、広島、京都、大阪、札幌、東京などのエリアが含まれた2万平方キロに及ぶ23の地域の地表データがアップデートされる。手作業、つまり自動生成ではないコンテンツとして5つの空港が精密データとなり、大阪城、福岡タワーなど、67カ所のPOI(注目地点)も盛り込まれる。

【World Update 20: 日本】

 もう1つは、日本の航空ファンには、まさに待望となるYS-11がついに実装される。日本航空機製造が開発した双発ターボプロップエンジン方式の旅客機で、実際のデータを取り込み、コクピットから客室まで完璧に再現されている。このYS-11は、他の航空機と同様、有料コンテンツとなるが、 「World Update 20: 日本」は精密化された日本をYS-11で飛ぶ、この夢を実現できる素晴らしい機会を提供してくれるアップデートだ。

【Local Legend 22: NAMC YS-11】

  「Age of Mythology: Retold Heavenly Spear」は、「Age of」シリーズの神話モチーフ作品「Age of Mythology」のリメイク作品の有料拡張コンテンツとなる。単なる新勢力や神話ユニットの追加に留まらず、12のミッションで構成される新規キャンペーンが追加される。

 キャンペーンでは、農家の娘として生まれたヤスコが、田畑から出土した魔法の槍を手にしたことによって始まる物語が描かれる。槍を守護する「アカリ」の導きを得て、槍の秘密を解き明かし、太陽神アマテラスを幽閉して神の座を奪おうとしているカゲマサの陰謀を阻止していく。「AoM」は欧州神話の神々がモチーフとなっていたが、日本が新勢力として登場することで、オリジナルにはなかった新たな楽しみ方が産まれそうだ。

【Age of Mythology: Retold Heavenly Spear】

  「Call of Duty: Black Ops 7」では、マルチプレイ用マップに、日本をモチーフとした未来マップが2種類盛り込まれる。「都心」は、2035年の東京を舞台にしており、ネコカフェ、カラオケ、脱線した列車など、日本ならではのギミックを盛り込んでいる。もう1つの「殿(でん)」は、ギルドの拠点として再利用されている郊外の城を描く。こちらは別途レポートもお届けしているのでそちらを参照いただきたい。インタビューでは、2つ以外にも日本舞台のマップが追加されることが明かされている。

【Call of Duty: Black Ops 7】

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 最後の「Forza Horizon 6」は、待望のビッグサプライズだった。新作のたびに次は日本ではないかと噂されてきたが、ついに6作目で日本が舞台となった。前日に行なわれた事前のブリーフィングでは、唯一、詳細がふせられていたタイトルだ。

 公開された1分ほどのトレーラーは、まさにティザーといった内容で、40秒後に出てくる「レジェンド」のプレート、カップ麺の器、招き猫が目に入るまで、早押しクイズのように何がなんだかよくわからない。その後ガレージから見える景色は、雄大な富士山に、美しい湖、桜の枝。山中湖エリア周辺のように見えるが果たしてどうだろうか。

【Forza Horizon 6 – Official Teaser Trailer】

 配信後、さっそく公開されたインタビューでは、「長年にわたる要望を受け、ついに正式発表されました」と誇らしげに書き出している。インタビューは、軽自動車、バン、ドリフト、カスタマイズなど、日本の自動車文化に深く食い込んだ内容となっており、非常に興味深い。ぜひ一読をお勧めする。 次回の情報公開は2026年初頭ということで、非常にたのしみだ。

【Forza Horizon 6】

発表しきれないほど増えてきた国内タイトル。小島監督の最新「OD」の続報はまだか!?

 そして、Xboxが東京ゲームショウの配信で大事にしてきた、日本のゲームファンに向けた国産タイトルの発表は、先述したように9タイトル。韓国開発の「Gungrave G.O.R.E. Blood Heat」も含めると10タイトルで、割合でいうと過去最高クラスだろう。

 ただ、日本ゲームファンの多くは配信を見ながら気付いたと思われるが、今回紹介されたのはXbox向けの全タイトルではなく、極々一部、選り抜いたタイトルだけが紹介されていた。

 たとえば、前日24日に行なわれたセガの配信「RGG DIRECT」において発表された「龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties」は、今回の配信には含まれていなかったし、TGS2025のバンダイナムコエンターテインメントの目玉タイトルのひとつである「ワンス・アポン・ア・塊魂」も紹介されなかった。

【龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties】

【ワンス・アポン・ア・塊魂】

 そしてなんといっても、23日に実施されたコジマプロダクション10周年記念発表会「Beyond The Strand」にてXbox Game Studiosタイトルとして発表された「OD」も、発表会にはフィル・スペンサー氏も駆けつけたほどだが、25日の配信では影も形もなかった。

【OD】

 もっとも、Xbox Oneの時代と比較すると、日本メーカーのゲームタイトルが、Xbox Series X|SやWindows PC(Steamを含む)に展開することはごく普通になってきており、ことさらにそれをアピールするスタイルも過去のものになりつつある。

 筆者としては「OD」の詳報が25日の配信で出ることを楽しみにしていただけに少し残念だったが、ようやく映像が公開されたことで、プロジェクトがしっかり進行していることが確認できたのは何よりの朗報と言えるだろう。いずれにしてもXboxも日本のタイトルが普通に遊べるようになりつつあることは覚えておいてほしい。

【OD – KNOCK Teaser Trailer – [CERO] 4K】

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Xboxの関心は、多くのデバイス、多くのスクリーンでXboxタイトルをプレイして貰えるか

 さて、今回の配信では日本のゲームファンを大いに沸かせてくれたが、Xboxはこれからどこに向かうのだろうか? Xboxユーザーなら誰しもご存じの通り、MicrosoftはもはやハードウェアとしてのXboxにまったくこだわっていない。ゲームコンソールXbox Series X|Sは、Xboxをプレイするための選択肢のひとつに過ぎない。これはPS5やSwitch2との決定的な差別化要素だ。

【Xbox Play Anywhere】

Xboxにおいてゲームコンソールは選択肢のひとつに過ぎない

 「Forza Horizon 6」は、今回の配信では発売プラットフォームは明らかにしなかったが、当然PS5でもプレイできるようになる。「Forza Horizon 5」、「Age of Mythology: Retold」、「Gears of War Reloaded」(日本発売中止)、「Microsoft Flight Simulator 2024」(12月8日発売予定)など、すでにMicrosoftは、ゲームプラットフォームの聖域とされるファーストパーティータイトルを次々に他のゲームプラットフォームでリリースしている。 「Forza Horizon 6」がその例外になるとは思えないし、余談だが「Starfield」のPS5版が突然発表されても(念のため追記すると、噂はあるがまだ発表されていない)、筆者はまったく驚かない。繰り返しになるが、Xboxにおいて独占へのこだわりは完全に過去のものとなっているからだ。

【PS5にMSFSがリリースされる時代】

Microsoft最長のフランチャイズ「Microsoft Flight Simulator」がプレイステーションでプレイできる

 10月16日発売予定のXbox ROG Allyで遊ぼうと考えているゲームファンもいるだろう。今回Xbox ROG Allyで「Forza Horizon 5」をプレイしたが、1080pでヌルサクだった。Xbox独自の携帯型ゲーム機への最適化、NPUとAIを駆使したパフォーマンスアップは驚異的で、まず間違いなくSteam DeckやROG Ally以上のインパクトをゲーミングPC界隈にもたらすはずだ。

【ASUSブース】

 あるいはもはやゲームコンソールでなくてもいい。Xbox Cloudと、Xbox Game Pass Ultimateを組み合わせることで、iPhoneをはじめとしたスマートデバイスで楽しむこともできるし、2025年4月にアップデートされたXboxリモートプレイを駆使することで、場所や時間を問わず、いつでもどこでも自身のXbox本体にインストール済みのゲームをプレイする事ができる。Xboxタイトルをどう遊ぶかは、ゲーマーに委ねられている。

 現在のXboxは、単なるゲームプラットフォームではなく、ハードウェア、サービス、テクノロジーの垣根を越えて、極めて高い浸透力を備えたエンターテインメントプラットフォームに進化している。気付けば多くの家庭や学校、オフィスにWindowsマシンが存在しているのと同じように、気付けばゲームファンのすぐ近くにXboxが存在している状況になっている。

 しかし、ゲーマーは何かを強制されるわけではなく、どのゲームをどのデバイスでどう楽しむかは、あくまで我々に委ねられている。この居心地の良い距離感、言い換えれば日本へのおもてなしをゲームファンのひとりとして享受しつつ、「The Outer Worlds 2」から始まる怒濤のXbox新作ラッシュを存分に楽しみたいところだ。

【Xbox Play Anywhere対応タイトル】

今回発表された中でXbox Play Anywhereに対応するのは16タイトル。「ドラクエ I & II」、「ロマンシングサガ 2」のように国産のマルチ展開するタイトルも、複数のプラットフォームでプレイしたい場合はXbox版がオススメだ

【Xbox Game Pass対応タイトル】

「NINJA GAIDEN 4」がXbox Game Passに対応するのは嬉しいところ。発表されたばかりの「Forza Horizon 6」も、すでに対応が予告されているAmazonで購入ASUS ゲーミングPC ROG Xbox Ally XASUS ゲーミングPC ROG Xbox AllyAmazon/楽天で購入Xbox Series X RRT-00015Amazonで購入楽天で購入

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