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自作PCパーツの4大メーカーのひとつとなっているASRock。他社とは一線を画す斬新なコンセプトの製品や、良好なコストパフォーマンスの製品を送り出し、時には変態と称されることもある。そんなASRockが、マザーボードとビデオカードに加え、最近力を入れているのが電源ユニットだ。
ラインアップはマザーボードでもおなじみの「Taichi」シリーズを頂点に、同社ゲーミングブランドの「Phantom Gaming」、堅牢性が特長の「Steel Legend」、そしてコストを抑えた「Challenger」、「Pro」に属する全15製品が展開されている。
とくに注目したいのが鉄板人気の「Steel Legend」シリーズだ。いまゲーミングPCを構築するうえで最適な容量である750W、850Wに、アッパーミドル~ハイエンド構成のPCにおすすめな容量1000Wが主要ショップに並んでいる(ドスパラ専売モデルで650Wもある)。
そのうえ容量850Wと1000Wモデルには、ケーブルとコネクターまで真っ白なホワイトカラーモデルを用意と、旬なポイントを押さえている。
今回着目したのは、そんなSteel Legendシリーズに新たに追加された容量1200Wモデルの「SL-1200G」(ブラック)と「SL-1200GW」(ホワイト)だ。
電源ユニットの出力選びでは「システム消費電力の2倍が望ましい」という定説がある。電力の変換効率は、出力容量の50%負荷時が最も高くなるからだ。それを踏まえると「容量1200Wも必要?」と思うことだろう。
確かに、AMD Ryzen 5/7、Intel Core Ultra 5/7や、AMD Radeon RX 9060/9060 XT、NVIDIA GeForce RTX 5060、RTX 5070といったミドルレンジのパーツ構成なら、電源ユニットの容量は850Wで十分になる。
しかし、CPU、ビデオカードともに最新アッパーミドル~ハイエンドを組み合わせたり、CPUやビデオカードの将来的なアップグレードを見据えたりすると、1000Wクラスを選ぶのが理想的と言える。高効率な50%運用が500W台となるからだ。
さらにPCパーツにおいては、電力供給の後方互換が確実に用意されるため、電源ユニットは故障しない限り使い続けることがほぼ確実。そのため最適解のひとつ上の容量となるSL-1200Wという選択肢は十分ありと言えるのだ。
鋼の堅牢性と、良いとこ取りのスペックを持つSteel Legendシリーズ
Steel Legendシリーズの電源ユニットは、耐久性に妥協なしの「10年保証」、次世代モンスターGPUへの対応も安心の「12V-2×6コネクターを2基搭載」、大容量モデルでは貴重な「ホワイトモデルを用意」と、素直に買いと言えるポイントが詰まっている。そのため発売からわずか数ヵ月で、自作PCを組むうえでの定番製品のひとつになっている。
ケーブル過熱保護機能が省かれるなど、ハイエンドモデルの「Taichi」と「Phantom Gaming」からコストダウンされた点は確かにあるが、そのぶん「SL-1200G/GW」は3万円台半ばという価格で、容量1200Wとしては手が出しやすくなっている。
80PLUSとCybeneticsのダブル認証
高い変換効率に加え、最新規格のATX3.1、PCIe5.1に準拠
電源ユニットを選ぶ際のひとつの指標となる認証は、高い変換効率を示す80PLUS認証に加え、80PLUSとは別の評価基準でより厳しくテストし静音性も評価されるCybenetics認証も取得している。
「SL-1200G/GW」は、「80PLUS GOLD」、「Cybenetics PLATINUM」 、「Cybenetics LAMBDA A」の認証を取得している。出力容量が増加するとこれらの認証は取得が難しくなるが、「SL-1200G/GW」は1200Wにもかかわらず、1000Wと同じ認証をしっかり取得している。
1200W電源ユニットの選択肢は増えており、なかには3万円を切っている製品もある。しかし、「SL-1200G/GW」は、価格以上と言える付加価値を満載している。
具体的には、最新規格のATX3.1、PCIe5.1への準拠、Cybenetics認証の取得、2基の12V-2×6コネクター搭載、扱いやすい奥行き150mm仕様、10年保証、映えるホワイトモデルのラインアップ、そして発売開始時で3万円台半ばの価格設定などだ。スペック表や製品写真だけ見ても、非常に魅力的な製品に映るはずだ。
「Steel Legend SL-1200GW」を実検証
ここからは実際に「SL-1200GW」を使ってPCを組み、性能をチェックしていこう。インテル「Core Ultra 9 285K」および、ASRock「Radeon RX 9070 XT Steel Legend 16GB」といった構成でPCを構築した。
ミドルタワーにスムーズに組み込み、ケーブルを取り回しできた
「SL-1200G/GW」は、容量1200Wながら奥行きが150mmとコンパクトになり、扱いやすくなっている。昨今人気のMicro ATX規格の小型PCケースにも対応できるだろう。
実際に組み込んだのは、E-ATX規格にも対応するFractal Designの大型ミドルタワーPCケース「Define 7」なので、電源ユニットの搭載スペースにはかなり余裕を残していた。SATAケーブルなど、使用するコネクターが1~2つになることが多いケーブル類も、余剰分を取りまとめて収納可能だろう。
各種電源ケーブルの長さ、ならびに取り回しへの影響度大な硬さも好感触だ。なかでも、ケースボトムからトップへ背面配線する必要のあるCPU 8ピンケーブル(650mm)は、高さ475mmとなる「Define 7」でも、PCケース背面のリア側を取り回しながら、スムーズに接続できた。
ケーブルはほどよい硬さで、ケース標準装備のマジックテープや結束バンドで、まとめながら円滑に取り回せた。
ケーブルが太くなる24ピンケーブルのケース背面での取り回し、マザーボードへの接続ともにスムーズに行なえた。ザッと組んだだけだが、CPU 8ピンケーブル、PCIe補助電源ケーブル、SATAケーブルいずれも円滑に配線できた。
PCケース前面に引き出す必要があるPCIe補助電源ケーブルも同様だが、その仕様を高く評価できる。多くの製品が1本のケーブルに、2つの8(6+2)ピンコネクターを備える分岐タイプであるのに対し、「SL-1200G/GW」は1本のケーブルに1つのコネクターだけを備える。これにより、Radeon RX 9070 XTといったPCIe 8ピン(6+2ピン)コネクター×2採用ビデオカードでも美しく配線できる。
ファン動作音から、高負荷の長時間駆動まで実動チェック
各種電源ケーブルの長さや取り回しなど、組み立てに際して気になるところがなかった「SL-1200GW」。ここからは電源ユニットのキモとなる実動テストに進んでいこう。
「SL-1200GW」への電源供給は、実使用と同じく壁のコンセントから電源タップを経由している。また、冷却ファンの動作モードは、常時回転する「iCool」機能をオフに設定し、さまざまなテストを実行した。
Core Ultra 9 285KやRadeon RX 9070 XTをベースに組んだPC全体の消費電力は、24スレッドのCPUがフルロードされるCG系ベンチマーク「Cinebench 2024」実行時で330W前後になる。CPUのみでは総容量の3割に届かないが、CPUとビデオカードに高負荷のかかるゲームプレイでは、「モンスターハンターワイルズ」で490W前後、「Cyberpunk 2077」だと510W~530W台に達した。
電力指標のTGPが304WとなるRadeon RX 9070 XTで500W超えなので、同じくTGPが300WとなるGeForce RTX 5070 Tiや、TGP360WのGeForce RTX 5080を組み合わせるなら、1200Wの選択肢は正解だろう。
高負荷状態での+12Vの推移を確認
次は650W近くの出力が1時間連続する「OCCT:Power」実行中の電圧推移を確認してみた。ASRockマザーボード「Z890 Steel Legend WiFi」上のセンサーが読み取った各種データを「HWiNFO64 Pro」で記録したほか、24ピンやCPU 8ピン×2コネクター、PCIe (6+2)ピン×2コネクターの+12Vラインにデジタルテスターを取り付けて、その変動を記録・抽出した。
なお、テスターでの結果は1つにまとめているが、1台のテスターで記録しているため、各コネクターの計測ごとに「OCCT:Power」を実行している。そのため予備テストと「HWiNFO64 Pro」記録時をあわせると、「SL-1200GW」に8時間連続して650W前後の負荷をかけたことになる。
テスト中の「CPU Package Power [W]」は最大でCore Ultra 9 285のPower Limitに迫る246.4Wで、平均は235Wに。さらにビデオカードの「Total Board Power (TBP) [W]」は310W台を何度か記録しているが、テスト中は平均は304Wで、極端な変動はみられない。
+12Vは、マザーボード上センサーの「+12V [V]」と、GPUのRadeon RX 9070 XTの「+12V SOC Input Voltage [V]」をモニタリングした。「+12V [V]」は、最大値として12.096Vという値が残っていたが、テスト中は11.904Vで安定しており、グラフはほぼ横一線となっている。「+12V SOC Input Voltage [V]」も同様で、12Vを下回ることはなく安定した推移となっている。
各コネクターのデジタルテストでの推移も、12Vを大きく下回ることなく、Core Ultra 9 285Kの24スレッドと、Radeon RX 9070 XT 16GBに安定して供給できている。
常時回転でも静音性に不安なし
計8時間におよぶストレステストで、エラーや気になる変動はなく、Windows 11が怪しい挙動をすることも一切なかった。
続いて静音性を確認しよう。「SL-1200G/GW」は、低速回転でも多くの風を送れる135mmの大型ファンを内蔵する。そのうえファンのブレードには、高静音と効率良い風の流れを実現するASRock独自の「Striped Axial Fan」が採用されている。
これにより、「iCool」機能をオフにした常時回転の状態でも、騒音値は34.4dBAだった。計測はビデオカードとラジエーターのファンは停止させ、電源ユニット背面のスリットから30cmの位置で行なっているが、ほぼ無音と言える。
高負荷時も計測すると、出力負荷率が27.5%程度となる「Cinebench 2024」の実行中は、アイドル時とほぼ同じで、負荷率が50%に近くなる「Cyberpunk 2077」でも35.4dBA。負荷率50%を超える650W前後の出力が続く「OCCT:Power」実行時でも36.5dBAだった。
「Cyberpunk 2077」と「OCCT:Power」実行時は、ビデオカードのファンが動作している状態でこの数値なので、「SL-1200G/GW」の動作音が気になることはないだろう。
使用シーンで変わるので一概に言えないが、ここで使用した「SL-1200GW」でコイル鳴きを感じることはなかった。
実可動に勝るテストはなし
「Cyberpunk 2077」を長時間プレイ
最後に12時間近くゲームをプレイしてみた。消費電力が500Wを超える「Cyberpunk 2077」を12時間ほどプレイしたが、Windows 11を含めてその動作は安定していた。休日の実使用に近い長時間ゲーミングを楽しんだが、静かな深夜~明け方の間も、「SL-1200GW」のファン騒音やコイル鳴きを感じることはなかった。
さらに電源ユニットの温度をサーモグラフィーで確認してみた。すると排気スリットから撮影した内部温度は最高60度台に達していたが、冷却ファンが備わっている下側は40度台になっていた。マザーボード底面側とPCケース正面からみて右側からも確認したが、とくに不安を感じるような温度ではなかった。
1200Wでも鋼鉄の信頼は揺るがない
「SL-1200G/GW」は買い!
「SL-1200G/GW」のケーブルはほどよい長さと硬さで、PCIe補助電源ケーブルはケーブル1本につきコネクターも1つで非常に組みやすかった。
そのうえ、高負荷時の安定した電力供給、常時回転の低負荷時を含めて静かだった冷却ファン、そして不安をまったく感じない内部温度で、「SL-1200GW」の実使用での安心感は非常に高かった。
電源ユニットの新たな評価基準となるCybenetics認証を取得しており、保証も上位モデルと同じ10年を実現。そしてシックなオールブラックモデルだけでなく、ホワイトモデルの用意と、多くの推しポイントがある。
アッパーミドル~ハイエンドPC構成に組み合わせる電源ユニット容量の理想のひとつとなる1200Wを、3万円台の予算で叶える「SL-1200G/GW」は、これから一式を組み立てる人や、電源ユニットの交換を検討している人にとって、良い選択肢となるだろう。
「触って納得」のスムーズなケーブル取り回し!ASRock「Steel Legend SL-1200GW」で組んだPCは高負荷長時間運用も静かで快適そのもの
