【画像】これぞ3Dアクションというワクワク感のあるステージが登場

 本作は、2002年にプレイステーション 2で発売した「パックマンワールド2」のリメイク作となる。グラフィックスの刷新のみならず、フィギュアのコレクション要素や衣装変更機能、2人での協力プレイ、さらには難易度変更の追加など、現代向けに大幅な改修が行なわれている。

 今回は発売前にゲームを先行で試遊させていただいたので、プレビューとしてお送りしていく。

■ 23年の時を経て──。3Dパックマンの世界が現行ハードで蘇る!

 筆者が「パックマン」シリーズをプレイするのは久しぶりだ。遠い記憶を遡ると、それこそ幼少期に近くのゲームセンターで何度かプレイしたことがある程度である。口をパクパクと開くパックマンが、迷路の中を移動しながらオバケのようなモンスターを食べ続ける。単純そうに見えて奥深く、失敗しては何度もリトライを重ねた記憶がいまだに焼き付いているのがなんだか懐かしい。

 だが、本作「パックマンワールド2 リ・パック」は、そんなレトロゲームマニアたちに広く知られているであろうアーケードのパックマンとは様相が異なる。なんといったって3Dの“アクションアドベンチャー”だからだ。手足の生えたパックマンが多彩なワールドを縦横無尽に冒険していく様子は、かつてアーケード筐体のディスプレイに映し出された黄色の生命体と、明らかに姿形が異なっている。時代の流れに合わせてパックマンの冒険も、また変化してきたわけである。

 本作はタイトルにもある通り、前作「パックマンワールド リ・パック」の2作目となるが、実際のところは前作未プレイでも問題なく楽しむことができる世界観と言えるだろう。物語は、パックマンたちが平和に暮らす「パックランド」にて、島の象徴と言える5つの「ゴールデンフルーツ」がゴーストたちに盗まれてしまうところから全てが始まる。

 ゴールデンツリーに封じられていたはずの邪悪なゴースト「スプーキー」の封印も解かれてしまい、平和な島には暗雲が立ち込める事態に。パックマンはパックランドを守るため、盗まれたゴールデンフルーツの奪還に奔走していくことになる、といった筋書きである。

 作中ではパックランドに住まうキャラクターとパックマンの関係性が、やんわり分かるような物語のムービーシーンを要所的に交えつつ、冒険の道中をステージ攻略として表現。ストーリームービーはあくまでゲームの世界に没入させるフレーバーであり、メインとなるのはもちろんプレーヤーによるステージ攻略だ。

■ 当時のゲームデザインはそのままに、新たなアクションや初心者救済のアシスト機能など新要素が追加!

 パックランドは幾つかのテーマエリアに分かれており、それぞれ4、5ステージが収録されている。拠点のパックビレッジを中心に草原、ジャングル、雪山、火山、海などといった具合にテーマエリアが広がる。ステージ攻略系のアクションゲームとしてはオーソドックスに「1-1」からスタートし、各エリアの最後に待ち受けるボスバトルを経て、目的のゴールデンフルーツを集めていくというのが流れとなる。

 基本的にはパックマンを操作して、各ステージのゴールポイントまでたどり着ければステージクリアだ。比較的シンプルなゲーム性なのだが、突き詰めていくとステージのあちこちに存在するフルーツの収集だったり、タイムアタックだったりと、アクションゲームらしいやり込み要素が備わっているのでしっかり遊び込める。

 ゴールを目指すタイプのアクションゲームには往々にして、操作キャラクターの“特徴的な固有アクション”が、ステージ攻略の要となるもの。本作では3Dパックマンならではのユニークなアクションでステージを攻略していく。敵を蹴り上げる「フリップキック」、離れた敵を攻撃する「パックドット」、助走をつけて高速で走る「パックダッシュ」、跳躍できる「ヒップアタック」と、主に4つの基本アクションを活用する。本作では新たに「スーパーヒップアタック」が登場し、通常のヒップアタック以上に跳躍が可能となっている。

 パックマン単体でのアクション数が豊富なこともあり、始めたばかりのタイミングではアクションを上手く使い分けることが難しいと素直に感じられた。チュートリアルの側面が強いステージ「1-1」では、パックマンの多彩な動きを練習しながらゴールを目指す。当然それだけでマスターできるわけもなく、トリッキーな動きを見せるパックマンを思い通りにコントロールするために、その後のエリアでトライ&エラーを重ねることになった。

 ただ、逆説的に言えば1度覚えてしまうとさまざまな場面で応用が効くので、ピンチ時に機転を効かせた立ち回りがしやすい。確かにステージ攻略型のアクションゲームにしては覚える操作がやや多い。しかしながら、だからこそ操作技術を自然と身に付けていくステップアップ的な面白さを実感できるというもの。コントローラーを巧みに操り、プレーヤー自身すらもパックマンのようにトリッキーに立ち回れると、これがなかなかクセになる。

 とりわけボスバトルでは、プレーヤーの操作テクニックを活かせる場面が随所に見られた。こうしたパックマンの多彩なアクションを、プレーヤーが思い描くように使いこなし、さらにその真価を発揮できるのが、オンラインランキングに対応する「タイムアタック」モードなのだろう。仕掛けが豊富なステージで苦戦していたプレーヤーでも、ゲームクリア後に改めて再挑戦してみると、自分のプレイングが当時から遥かに熟達していることを明瞭に感じ取れるはずである。

 また、クリアまでのアシスト機能といった新要素により、アクションゲームを苦手とするプレーヤーでも最後まで楽しめる工夫がなされているのも嬉しいポイント。原作の雰囲気をそのまま味わいたいという方向けに当時のゲームデザインを尊重しつつも、プレーヤー自身が難易度を調整したり、気軽にクリアを目指すことを選択できるのは、リメイク作として素晴らしい試みだと感じた。

 往年のファンが本作を1本のリメイク作品として楽しむのもオススメだが、「パックマン」はアーケード筐体から続くシリーズ。拠点となるパックビレッジには「ゲームセンター」があり、そこでは昔懐かしい「パックマン」、「パックマニア」、「パックアタック」の3作品をそのままプレイすることができてしまう。

 興味本位で「パックアタック」を遊んでみると、「テトリス」のようなオチモノ系ブロックパズルにパックマンがゴーストを食べる要素が加わって、結構な中毒性だ。限られた試遊時間の中でこれを遊んでしまったのは運の尽きと言うべきか、ほんの触り程度でのプレイだったつもりが黙々と遊び続けてしまった。原作アーケード版の「パックマン」を知らないプレーヤーでも、過去作の一部を本作経由でサクッと触れられるのはニクイ。当時を知るユーザーも「ああ、こんなだったな〜」と、懐かしさに想いを馳せることができると思う。

■ 古参も新規もウェルカム! 「パックマン」らしさが凝縮された、新しい「パックマン」

 「パックマンワールド2 リ・パック」は、シリーズとして見れば間違いなく2作目だ。それでもほとんど独立していると表現しても良いほど、今作から始めても十分楽しめるような作りになっている。アーケードゲーム全盛期の時代にナムコを支えたであろう「パックマン」シリーズは、バンダイナムコエンターテインメントにとっても、象徴と言うべき存在である。

 ゲームの遊び方と触れ方ですら多様化している時代、23年越しに今どきの解釈をプラスしてリメイクされた「パックマンワールド2 リ・パック」は、往年のファンと新規ユーザーの両者がアクションゲームのエッセンスを楽しみつつ、シリーズの魅力を味わい尽くせる良リメイクと言える。

 そして23年前にオリジナル版を遊んでいた現親世代のユーザーが、本作を家族とプレイすることで、時の思い出話に花を咲かせるようなことだってあるかもしれない。パックマンが家族を繋ぐ架け橋になれたら、娯楽としてのゲームにそれ以上素敵なことなどないだろうと思わずにはいられない。

 「パックマン」を知り尽くした古参ユーザーも、今作で初めて「パックマン」に触れる新規ユーザーも楽しめるゲームとなっているので、ぜひプレイしてみてほしい。

PAC-MAN WORLD(TM)2 Re-PAC & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.

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