プラチナゲームズ開発の『NINJA GAIDEN 4』やコジマプロダクションの『OD』を筆頭に、日本でも存在感を増してきたXbox Game Studio。今回はTGS2025に関連して、品川にある日本マイクロソフトのオフィスにて、複数メディア合同でXbox Asiaマネージングディレクター である元SIEの加藤芽奈氏に今回の発表内容だけでなく近年のMSについて聞いてきました。
【画像】日本におけるXboxの展望とは?
なお今回インタビュー内容は、マイクロソフトによるTGS2025で発表される内容を口頭で伝えたものをベースにしています。「Xbox Tokyo Game Show 2025 Broadcast」の発表内容と合わせてお読みください。
Xbox Play Anywhereを表現するROG Xbox Ally
――昨年にかけての1年で得られた経験はなんですか?
加藤:日本のパートナーと深く付き合っていく中で、「Xboxは、我々は何をしたいのか?」という話を数多くしています。その中で、様々なデバイスへの展開は歓迎されており、様々なパートナーへの共感をいただいています。
――今回の発表の中で注目しているタイトルはありますか?
加藤:既発のタイトルですが、『ドラゴンクエスト』や『モンスターハンター』などアイコニックと呼ばれるタイトルがXboxに来るのが楽しみですし、喜ばしいことです。
――『Age of Mythology』や『Forza』の日本をテーマにしたコンテンツの発表が重なったのはなにか理由があるのでしょうか?
加藤:開発やアップデート情報は「ここが良いであろう」と判断したタイミングで発表しています。また日本のファンの声が大きいことに加え、我々としてもファンの声を積極的に開発スタジオへ届けているのもあって、今回は特に多くなりました。
――ROG Xbox Allyの販路拡大や、価格に対する考えを聞かせてください
加藤:ROG Xbox Allyは、OEMのパートナーであるASUSのプロダクトとして発売されるため、我々が全てをコントールしているものではありません。しかし、こういった携帯機をパートナーと一緒に世に出せるのは力強いと思いますし、待ち望む声も頂いているため幅広いユーザーにお届けしたいと思っています。
――Obsidian Entertainmentの『Avowed』の日本語対応が遅れたことや、『Gears of War: Reloaded』の日本語音声などが中途半端というように、1stパーティタイトルで日本のユーザーにやや残念なニュースが続きました。今後は不十分なローカライズに対してどう対策するのでしょうか?
加藤:それらの判断は基本的にスタジオ側でしています。我々としては日本のユーザーにより訴求したいので、(開発側に)お願いし、ニーズを含めてコミュニケーションを取れればと思っています。
――今年の7月あたりにXbox関連スタジオのレイオフやタイトルの開発中止が続きゲーマーの間で大きな話題となりましたが、今後の方針はどうなるのでしょうか?
加藤:我々としてはレイオフ等関係無くユーザーへ真摯にどう届けるのかを考えています。Xboxが目指す「ユーザーがいるところに様々な形で届けましょう」というのは大きく変わりありません。
――ドイツのgamescomのようなイベントではXboxブースが大規模で盛り上がっていました。現状TGSで大規模ブースを展開することは考えているのでしょうか?
加藤:毎年検討しています。しかし、現状としては大規模なものを用意するのは難しいというのが現状です。細かく分散する方法もありますが、グローバルに展開するXboxにおいて効果的に展開するのに効果的な形がいまのTGSの形だったということです。
――日本におけるXboxのコミュニティはかつてのXbox One時代より増えたように感じますが、より多くのユーザーを獲得するための取り組みを教えてください
加藤:ずっと話している内容ではありますが、PCユーザーが非常に増えてきているだけでなく、コンソールを遊ぶだけでないユーザーもいます。そのため今回の携帯機みたいな訴求の仕方もありますが、Windowsを筆頭とした様々なデバイスに展開することによって、マーケットシェアという観点で無く、とにかく「皆が持つデバイスにXboxを載せていきましょう」ということです。
――Steam Deckを筆頭とした様々なポータブルゲーミングPCが登場していますが、Xbox Allyならではの体験とはなんですか?
手に取るとよくわかりますが、持った感触がコントローラーのようであるように、ハードのデザインに関して非常に力を入れました。そのため、実際数字で見る重さより遙かに軽く長くプレイ出来るものとなっています。また、起動画面がXboxのものとなっているために、ゲームへスムーズに誘導出来ることも含まれます。
――ここ1年における日本向けのXbox Game Pass展開はどうでしょうか?
加藤:Game Passは日頃どういった形で入っていただくのかパートナーの皆様とお話させて頂いて、タイトルに向いた一番良い形でGame Passに入っていただくのがパートナーだけでなくユーザーさんにとっても一番良いのかなと思っています。日本のゲームだけでなく、世界中のゲームを遊んでいただくのがGame Passだと思っているので、ラインナップとしては充実しているのかなと思います。
特にファーストパーティーのタイトルが充実しておりボリュームも増したかなと思っています。これに関しては日本のユーザーの皆様にとっては、これまで遊んだ事が無いコンテンツに触れる良い機会なのではないかと思います。
――『Clair Obscur: Expedition 33』『Hollow Knight: Silksong』を筆頭としたヒットタイトルは日本のユーザーにも受け入れられているのでしょうか?
加藤:日本のユーザーの趣向も少しずつ変わって来ているのかなと思います。最近は、Game Passを通じて世界中の様々なゲームに触れて頂ける機会が増えていると思うため、グローバルにヒットしている作品も多くプレイして。
――加藤さんご自身のゲーム歴を教えてください
加藤:今現在非常に忙しくて、なかなかヘヴィゲーマーとまではいきませんが、かねてから『スーパーマリオブラザーズ』からさまざまな作品をプレイしてきました。
いま個人として遊ぶゲームは『テトリス』などのカジュアルゲームが多いのですが、完成品よりも開発中のものの方が触る機会も多いですね。
――今回のTGSを通じて伝えたいものは何ですか?
加藤:今回はROG Xbox Allyだと思っています。これは我々が体現したいXbox Play Anywhereを表現したものであると思っています。それは、どこでも持ち運んでプレイ出来ることや、コンソールの本体からすんなりとシームレスに移行して遊べることなどです。
――KOJIMA PRODUCTIONSの『OD』やコーエーテクモゲームスの『ニンジャガイデン4』のように、Xbox Game Studioが日本のゲーム会社に絡む機会は増えるのでしょうか?
加藤:まさに2つのタイトルを中心となって動いているメンバーが日本にいるので、そのメンバーが中心となって様々なパートナーシップは考えていきたいと聞いています。
――ありがとうございました。
Game*Spark G.Suzuki
