9月25日、「東京ゲームショウ2025(TGS2025)」のマウスコンピューターのブースにて、一般社団法人日本eスポーツ協会(JESU)とマウスコンピューターのトークセッションが開催された。大阪・関西万博でのイベントなど、JESUが関わってきたeスポーツへの取り組みについて、またこうした取り組みを支えてきたマウスコンピューターの活動について語られていった。

 登壇者はマウスコンピューター代表取締役社長の軣秀樹氏、JESU副会長の越智政人氏に加え、DetonatioN FocusMe所属のプロゲーマー、板橋ザンギエフ選手の3人が、eスポーツにおけるそれぞれの視点からトークを展開。本稿ではこのトークセッションの内容について詳しく紹介していきたい。

【【TGS2025】G TUNE |NEXTGEARブース <ビジネスデイ Day1> 東京ゲームショウ2025】

マウスコンピューターブース。正面には大型ステージが設営され、その裏側には「G TUNE」や「NEXTGEAR」など、同社が展開するゲーミングブランドのPCが多く展示され、ゲームの試遊が行なえるようになっているMCはeスポーツキャスターの平岩康佑氏が務めたJESUを20年支えるマウスコンピューター

 冒頭、軣社長から、同社がゲーミングシーンを盛り上げるために掲げる3つのミッションとして「最新のゲーミングを実現するスペック」、「プロフェッショナルに応えるハードウェア」、「ゲームを愛する全ての人を応援する」を紹介。その中でも特に「ゲームを愛する全ての人を応援する」ことが、今回のテーマに繋がるとして、JESUとの取り組みを紹介する流れとなった。

 今回のトークセッションでは3つのトークテーマが用意され、最初はマウスコンピューターとJESUの歩みについて、越智副会長より説明があった。

冒頭、軣社長より、同社がゲーミングシーンを盛り上げるために掲げる3つのミッションを紹介したマウスコンピューター代表取締役社長の軣秀樹氏JESU副会長の越智政人氏

 JESUの発足は2018年、様々なeスポーツの普及のために活動を行なっている団体として紹介。近年の大きなトピックとしては、昨年の日本オリンピック協会(JOC)への準加盟の承認に加えて、今年6月に日本スポーツ協会にも加盟した事を挙げ、eスポーツが“スポーツ”であるという事が認められたきっかけの1つとした。

 現在JESUの支部は全国で38あり、この38の支部が地方自治体とも連携を取って、eスポーツ競技大会の普及などを通して、高齢者、障碍者福祉や地域、企業交流、地方創世、教育分野など幅広く活動を行なっており、現在では毎週末にどこかの地域で何かのイベントが共催されている状況だという。

 eスポーツの社会意義としては、年齢や性別、障害などハンディキャップの壁を越えて誰でも参画できるスポーツである点を強調。共生社会の実現にベストなソリューションであるとした。

 こうしたイベントにおいて、使用されるPCは全てマウスコンピューターの「G TUNE」などのゲーミングPCが貸与されており、越智副会長はこうした活動のためには「G TUNE」が欠かせない存在だと語る。

 マウスコンピューターは2020年9月からJESUのオフィシャルスポンサーとなっているが、国内メーカーの中からマウスコンピューターとタッグを組んだ決め手を聞かれると、越智副会長は、20年ゲーム業界に携わっているが、2000年初頭くらいからPCでオンラインゲームを楽しむ文化が根付き始めたと当時を回顧。その段階で既にマウスコンピューターは「G TUNE」を発表しており、こうしたゲーミングPCをけん引してきた長い歴史を知っていた。そこでラブコールを送ってみたところ快諾され、2020年9月からオフィシャルスポンサーになったと経緯を語る。

 これを受けて軣社長は「プレッシャーで押しつぶされそうだ」と笑いながらも、日本におけるeスポーツの振興を通して、国民の競技力の向上及びスポーツ精神の普及を目指し、これをもって国民の健康とともに社会経済の発展に寄与するというJESUの考えに共感した、と話した。

 JESUとの連携を通じて、eスポーツをもっと盛り上げなければならない、eスポーツがもたらす社会の価値を広く伝えたい、さらには競技力の向上と競技環境の整備なども支援したいなど、常々思っていたところで声がかかったという。また、今後もJESUと連携してeスポーツをもっと盛り上げていきたいとその思いを語った。

 ここでMCの平岩氏から板橋ザンギエフ選手に、最近の学校にはゲーミングPCがあるなど、環境が充実していると話を振られると、「自分が10代の頃にあったらめっちゃよかったのに」と思う一方で、時代が進んでいると感じるとコメント。

 続けて学生たちの参加する大会について聞かれると、大会に向けてゲームに取り組んだ結果、勝ったり負けたりはあるが、その経験が社会に出ていく中で活きてくるし、こういう点こそスポーツに通じる物があると感じているので、今の学生さんたちにも一生懸命やってみてもらいたいと、学生へのエールを送った。

プロゲーマー代表として、DetonatioN FocusMe所属の板橋ザンギエフ選手も登壇地方イベントがどこかで毎週開催!その縁の下には「G TUNE」が!

 続いてのテーマは「eスポーツが社会にもたらす価値」について。地方創世については、全国38支部での活動例をいくつか紹介。例えば三重支部では、商店街で大会を実施することで地域活性化を狙ったり、岩手支部ではPCをローカルエリアネットワークで繋いでゲームを楽しむ「LANパーティ」を開催し、結果的に文化祭のようなイベントに発展していったほか、兵庫では温泉地でのeスポーツ大会の実施など、地域交流やコミュニティ強化に貢献し、社会的認知を広げられていると実感できているという。こうしたイベントが毎週末、全国のどこかで行なわれているそうだ。

 このように毎週各地でイベントがあると、その都度、JESUが手配を行ない、マウスコンピューターのゲーミングPC「G TUNE」を各地に貸与して運営を行なってもらうのだが、「G TUNE」はパフォーマンスはもちろんのこと、デザイン性も優れていることから、貸与先からはイベントに拍が付くので助かっているという声も聞かれるという。

 地域交流や高齢者/障害者福祉など、eスポーツが社会課題の解決の1つに繋がっているが、デリケートなイベントだからこそ、信頼性の高いPCが重要になる。この点について越智副会長は、全国でイベントが頻繁に行われるため、壊れにくい事は大事だが、精密機械なので故障してしまう場合もあるので、すぐに相談できるサポートが必要だとした。続けて会場ではPCを出したりしまったりといった設営、撤収作業が発生するため、こうした作業のしやすさも重要になるという。

 そこでマウスコンピューターはJESUの貸与用に専用の梱包箱を開発。設営、撤収作業がスムーズに行なえるようになった。加えて、専用梱包箱の堅牢性の高さと、輸送周りの専用システムの構築で、輸送時のトラブルや故障が激減したという。また、現地で不慣れな人でもPCのセットアップができるように簡易セットアップマニュアルを整備したことで、現場でのイベント運用がより円滑になったとして、マウスコンピューターのサポートを絶賛した。

 加えて国内生産と24時間365日のサポート体制があるので、地方イベントで何かのトラブルがあっても安心して利用できるが、今のところトラブルが起きたという話はほとんど聞かないとしており、順調のようだ。

JESUの全国地方支部は設立時11支部だったが、現在は38支部となっており、各地に支部ができているマウスコンピューターは2020年9月からJESUオフィシャルスポンサーとしての活動を開始

 これに軣社長は、人とPCを近づけるという理念が元になって、お客様にもっと寄り添うという考えに繋がり、その結果として、お客様ごと、それぞれのニーズに応える製品を提供しているのが現状と自身の考えについて言及。

 また、JESU向けの専用梱包箱については、なんと軣社長が設計した物だとカミングアウト。ハードルは高かったが現地でPCが壊れて迷惑をかけたくなかったので、頑張って開発したと裏話を披露した。加えて、eスポーツの現場に信頼性と安心感を提供していきたいと自身の考えを披露した。

 ここで地方創世について板橋ザンギエフ選手に話が向くと、JESU創設当初の頃の自身の思いを語り、当時はゲームで地方創世なんてどうするんだろう、とあまりピンと来ていなかったとコメント。続けて、最近は各地でゲームのコミュニティなどもできていたり、温泉地の大会など面白そうなイベントなど色々広がりが感じられて、自分としては見てもらえる人が増えたり、認識してもらえる機会が増えていて、解像度が上がってきており、ありがたいと自身の体験を語った。

 これに軣社長は、プロの方に向けては安心してゲームに集中してもらえるPCを提供しているが、プロの選手に使ってもらうだけでも、信頼と安心感が得られると思っているという。地方にいくほど、まだeスポーツが主軸になっていない面もあるので、プロの選手の実際のプレイを見てもらえるような機会が増えていくことで、新たな未来への窓が開いていく可能性をもたらすとし、「地域の発展に貢献していければうれしい」と話した。

板橋ザンギエフ選手は「温泉地の大会で優勝したら、温泉に入れるなんてのがあったら最高ですね!」とユニークなコメントで会場を笑わせていた単なるハイエンドPCというだけではない?安定性も重視したJESU公認モデルの開発経緯

 ここで、話は大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)にて、7月23~24日に行なわれた日本eスポーツ連合主催の「JAPAN ESPORTS CONNECT:未来をつなぐeスポーツの力」について話が及んだ。

 プロ選手や人気ストリーマーによる対戦、体験コーナー、展示などを実施したが、2日間で来場者約2万人、配信視聴者も多数で盛り上がったという。こちらのイベントにおいてMCを担当した平岩氏は「めちゃくちゃ盛り上がったイベントだった」とし、さらにゲーム未経験者の方も楽しんでもらえて、一体感もあり、すごく思い出に残るいいステージだったと振り返った。

 こちらのイベントについても開催の話を聞いた軣社長は即答で協賛を提示したという。ここでも「G TUNE」に加えて、iiyama製のゲーミングモニター「G-Master」を40台以上用意して貸与した。

大坂・関西万博にて、7月23~24日に開催された「JAPAN ESPORTS CONNECT:未来をつなぐeスポーツの力」イベントは大盛り上がりを見せ、来場者は2日で約2万人だが、この裏にも「G TUNE」が活躍していた

 ここでJESU公認のゲーミングPCについて言及があった。前述のJAPAN ESPORTS CONNECTにて貸与したゲーミングPCも全てこの公認PCだったという。JESU公認PCについては2021年頃から販売を開始しており、主にフルタワー型デスクトップとミニタワー型デスクトップで、ゲーミングノートPCが用意される場合もある。

 特徴としてはeスポーツ大会運営側の視点で検証がなされている点で、越智副会長は、これからeスポーツをはじめたいという初心者の人が、どのPCを選んだらいいのか分からずに迷っているという声をよく聞くので、その問題をどうにか解決できないかという考えからたどり着いたのが「G TUNE」の公認モデルの販売だったと解説した。現在も購入可能な公認PCとして、今回のトークセッションではフルタワー型「G TUNE FG-A7G80(JESU公認PC)」とミニタワー型「G TUNE DG-I7G70」の2製品を紹介。

 「G TUNE FG-A7G80(JESU公認PC)」はCPUにAMD Ryzen 7 9800X3Dを搭載、GPUはハイエンドのNVIDIA GeForce RTX 5080、メモリ容量は32GB(16GB×2)、ストレージは2TBのGen4×4接続NVMe SSD、電源容量は1,200Wで価格は539,800円。「G TUNE DG-I7G70」はCPUにCore i7 14700Fを搭載、GPUはミドルハイエンドのNVIDIA GeForce RTX 5070、メモリ容量は32GB(16GB×2)、ストレージは2TBのGen4×4接続NVMe SSDが2基、電源は750Wで価格は354,800円となる。

JESU公認モデルとしてマウスコンピューターで販売するゲーミングデスクトップはフルタワー型とミニタワー型、他にもゲーミングノートなどタイミングによってラインアップは異なる

 設計サイドのこだわりとして、軣社長は単に高性能のPCを用意すればいいわけではないと語り、eスポーツの現場で最適化された思想で設計するべきとし、プロ選手などプレーヤーの視点からヒアリングを重ね、操作性や反応速度を重視した設計を意識して開発したという。また、大会などを運営する側の視点でみた場合においても、視聴者に最高の画質が出せるパフォーマンスの高さは必要だが、安定した配信で運営を支えるような性能なども考えて、開発、設定したと公認モデルについて解説。また、5年間延長保証を付ける事で、より安心して長期利用もできるとして、JESU公認PCの魅力を語った。

 ここで板橋ザンギエフに話を振ると、選手目線では、しっかり満足のいくプレイがちゃんとできるゲーミングPCを選ぶようにしているが、イベントを運営する側の目線として、安定性も考えるというのは自分の中にはない考えだったので斬新だったと驚きの表情を見せる。続けて、イベントや大会などに耐えうるマシンをちゃんと選んで貰っているおかげで、円滑な進行ができているというのは「選手目線で見てもありがたい」とコメントした。

 最後は、JESUとマウスコンピューターが描くこれからの未来というテーマ。板橋ザンギエフは学生や若者の活躍を見ていると、今後も想像を超える進化も期待できるんじゃないか、とした。続けて越智副会長は、eスポーツのさらなる競技普及と、地方創生や活性化といった活用法など、その両面から今後もJESUとしての活動を継続し、マウスコンピューターと共に推進していきたいとした。

 軣社長はマウスコンピューターが21年前に立ち上げた「G TUNE」ブランドが今も多くのユーザーに愛されているという自負はあるが、一方でゲーミングシーンが大きく変化しているようにも感じるという。

 現在は、誰もがプロ選手などeスポーツの主役になれるようになってきているが、この背景には業界をけん引してきたJESUの存在が大きいと考えているとコメント。このような日本のeスポーツをはじめとしたゲームシーンを、もっと盛り上がるような未来を、JESUと一緒に作っていければと考えているとして、トークセッションを締めくくった。

JESU共催大会の縁の下には「G TUNE」あり

 以上、JESUとマウスコンピューターのトークセッションの内容を紹介した。日本全国にあるJESUの支部が地方自治体と共同で運営しているイベントには常にマウスコンピューターのゲーミングPCがあるという驚き。さらにはそれら製品へのこだわりポイントや、配送、設営、撤収の部分にまで気配りされた専用の梱包箱が用意されているというエピソードは、実際に運営に携わっていないと気が付けない話なので、板橋ザンギエフ選手と同じく、とても斬新で興味深い印象を受けた。

 個人的には2024年6月から代表取締役社長に就任した軣社長が、実はこの専用の梱包箱に開発として携わっていたというエピソードはとても面白く感じられた。トークセッションでも触れられていた、マウスコンピューターの顧客に寄り添う姿勢が、正に形になっているというエピソードだったからだ。そうやって現場で開発や設計に携わっていた人の言葉だからこそ、他のエピソードについても厚みが感じられ、説得力が増す。

 なお、マウスコンピューターでは、9月9日から9月30日まで、TGS2025出展記念として、キャンペーンを実施中。記事の中で登場した「G TUNE FG-A7G80(JESU公認PC)」の一部パーツをカスタムしたTGS出展記念モデルを含む、複数のTGS出展記念モデルを期間限定大特価モデルとして販売しているほか、最大7万円引きセットモデルセールなどを用意している。

 マウスコンピュータのゲーミングブランド「G TUNE」のデスクトップをお得に買うならチェックしてみてはいかがだろうか。

TGS会にて出展されていたフルタワー型はケース形状はほぼ同等ながら内部パーツが色々異なる「G TUNE FG-A7G70」だった側面パネルがアクリルパネルなので、ケース内がバッチリ見えるのがクールミニタワー型についても、ケース形状はほぼ同等だったが、内部パーツの異なる「G TUNE DG-I7G70」を展示

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