9月16日のリリースから早くも10万本を突破した疑心暗鬼ホラー『No, I’m not a Human』、圧倒的な高評価を得た宇宙空間ホラー『Mouthwashing』など、数々の話題作を提供している気鋭のパブリッシャー「CRITICAL REFLEX(クリティカルリフレックス)」。

本記事では、そんなインディーゲーム界における新星の魅力と、ハードコアゲーマーのみならず多くのプレイヤーに支持される理由を探って行きたいと思います。

“非常に好評”不安ホラー『No, I’m not a Human』売上10万本突破!終了時セーブや1日目スキップ実装のパッチも配信 | Game*Spark – 国内・海外ゲーム情報サイト

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9月25日からの東京ゲームショウ2025ではリアルに再現された「ドア」の体験型コンテンツも用意されます。

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◆続々と話題作を提示する「CRITICAL REFLEX」の魅力と支持される理由『Mouthwashing』

CRITICAL REFLEXはキプロス・ニコシアに拠点を置く独立系ビデオゲームパブリッシャーで、2020年に「実験的で雰囲気重視、ジャンルを超えた作品」に焦点を当てたレーベルとして設立されました。

同スタジオの代表・リタ・レベデヴァ(Rita Lebedeva)氏は、開発者のビジョンを長期的に支援し“ファンによる、ファンのための”プロジェクトを実現するパブリッシャーと位置付けています。そのことを証明するように『Mouthwashing』『No, I’m not a Human』や『Buckshot Roulette』などの「不気味」かつ「シュール」で、個性的なインディー作品を多くリリースしています。

『No I’m Not a Human』

ではその魅力と、多くのプレイヤーに支持される理由は一体なんなのでしょうか。

1. 個性的で“尖った”実験的なタイトル

『Buckshot Roulette』: ショットガンを使ったシンプルなロシアンルーレットのルールに、アイテムを駆使した戦略性と運の要素が融合した中毒性のあるゲーム性、そして「闇のゲーム」というダークな世界観にマッチした重厚なテクノサウンドが素晴らしい

『Mouthwashing』: 宇宙船の乗組員が巻き込まれる極限状況下の人間心理を巧みに描いたストーリー、印象的なローポリゴンビジュアル、強烈な登場キャラクター、グロテスクなホラー描写など、極めて秀逸な短編ホラーゲーム

『No, I’m not a Human』: 終末世界を舞台に「人間か化け物か」を見極めるシンプルで特異なゲームシステム、他に類を見ない不気味なイラスト調のビジュアル、などプレイヤーの精神を蝕むような恐怖を味わえる

上記作品のように、世間の常識にとらわれない挑戦的なインディーゲームを積極的にパブリッシングしており、それがプレイヤーに強烈な印象を残す独特なゲーム体験に繋がっているのは間違いないでしょう。

2. 開発者のビジョンを尊重する姿勢

単にゲームを販売するだけでなく、開発者が持つ独自のビジョンを理解し、そのゲームが持つ魅力を最大限に引き出すことを重視しています。これにより、ゲームの個性が失われず、より洗練された形で世に送り出されます。

3. 熱心なコミュニティへの貢献

代表のリタ氏自身が日本のゲーム文化に大きな影響を受けており、日本市場を重視していることも注目すべき事柄です。翻訳家のNicolith氏をはじめ、丁寧な日本語ローカライズを実施したり、東京ゲームショウやBitSummitといったイベントに積極的に出展したりするなど、日本のファンを大事にしている点が魅力です。

ちなみに、「BitSummit the 13th」ではリタ氏がなんと『Mouthwashing』のアーニャのコスプレ姿で登壇。サービス精神旺盛なところも素敵です。

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4.尖ったサブレーベル「CR Channel」

他にも、ホラー&ダークなゲームに特化した「CR Channel」を立ち上げ、よりニッチなホラーファンにもアピールしています。深夜に偶然見つけてしまった“呪われたテレビ放送”をコンセプトに、恐怖を掻き立てるゲームを紹介しています。このように、さまざま角度から貪欲に「ホラーゲーム」にコミットする姿勢と情熱が非常に魅力的に映ります。

5.ゲーム界における「オルタナ的存在」

ゲームだけに留まらず、音楽、漫画、小説、映画…およそ「カルチャー」すべての領域において、分かりやすく商業的で主流なもの/万人向けではないニッチなものに大別できます。

このメインストリームと反主流派的なオルタナティブの関係は、とくに1980年代より発展した「オルタナティブ・ロック」が有名で、メインストリームとは異なる潮流や多様性を生み出しました。

個人的に、その「オルタナティブ性」が内包する反抗精神や独創性、そして既存の枠に囚われない自由な発想がCRITICAL REFLEXの持つ最大の魅力であり、ゲーム業界における「オルタナ的存在」として熱狂的な支持を集めている理由だと思う次第です。

◆東京ゲームショウ2025にも出展予定

こうして飛ぶ鳥を落とす勢いのCRですが、このたび東京ゲームショウ(TGS2025)での出展が決定!CRITICAL REFLEXブースにて「No I’m not a Human」「TROLEU」「Eclipsium」など、全19タイトルものインディーゲーム試遊ブースや、体験型イベント「リアルバックショット・ルーレット」も開催。ゲームをリアルに再現した、白熱の心理戦が楽しめるようです。

また、『No, I’m not a Human』の「人間か化け物か」を見極める「ドア」を会場内に再現。リアルな恐怖を体感できる体験型コンテンツとなりそうです。

CRITICAL REFLEXが過去最大規模でTGS 2025に出展!リアル『No, I’m Not a Human』ドア&『Buckshot Roulette』で不気味な世界に入り込もう | Game*Spark – 国内・海外ゲーム情報サイト

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◆コレでもう“CRマニア”!?隠れた名作ゲームをご紹介

CRITICAL REFLEXが世に知られ出したのは、やはり『Mouthwashing』や『Backshot Roulette』などの功績が大きいかと思われますが、それらの作品以外にも隠れた名作を多くリリースしています。ということで、最後はCR謹製のオススメゲームをざっくりとご紹介!

★『Aeon Drive』

まずは、2021年に発売されたこちらの『Aeon Drive』です。本作は、『ロックマン』風のレトロな横スクロールACTゲームで、執筆時点でSteamレビューは「やや好評」となっています。

プレイヤーは、ソロまたは最大4の人仲間とともに「ネオバルセロナ」のネオン溢れる数々のエリアを全力疾走し、時空を捻じ曲げるスキルを使って、サイバーパンクな世界を駆け抜けていきます。

本作の特徴は、日本のアニメチックなビジュアルとスピード感のあるアクションが融合したプラットフォーマーが楽しめること。とくに、アクションは「テレポーテーションダガー」と「瞬間移動」の2つが独特で、これらのスキルを使って敵やダメージゾーンをくぐり抜けながら1ステージを制限時間30秒以内のクリアを目指していきます。

CRがパブリッシングしたデビュー作として、粗削りな部分も多々見られますが、個性的で尖ったインディー作品を見出したいという気概をこの頃から感じることができます。

★『Lunacid』

続いては、2023年に発売されたダンジョンクロウラー『Lunacid』です。本作は、執筆時点でのSteamレビュー数は8,651件となっており「非常に好評」ステータスを獲得している高評価タイトル。

古き良き時代の『キングスフィールド』もしくは『シャドウタワー』の影響下にあるホラーARPGであり、プレイヤーは混沌と病が渦巻く大井戸に放棄され、闇に包まれたダンジョン世界を探索していきます。

「ローリング回避」が存在しないため殴打、防御、バックステップで敵を打倒するスリル、強力な部位破壊システムと属性による攻防の駆け引きが特徴的。

また、75種類以上の武器、37種類以上のユニーク呪文など豊富な選択肢も魅力的で、隠された秘密の通路や宝のある部屋など、『Lunacid』のダンジョンは常に新しい発見に満ちており、「あの頃」遊んだ懐かしくも新鮮なダンジョンクロウラーです。

★『How Fish Is Made』

3作目は、これぞまさに“CRっぽさ”が凝縮したような短編ホラーゲーム『How Fish Is Made』のご紹介です。本作は、2022年1月Steamにて無料配信され、現時点でのSteamステータスは「圧倒的に好評」を得ているタイトル。※リリース時点ではCRITICAL REFLEXは関わっていなかった

主人公はなんと「イワシ」です。魚の。プレイヤーはイワシを操作してピチピチと跳ね回り、ヒラメやほかの魚たちと会話しながら広大な珍世界を探索するストーリー重視のゲームです。

もう普通のゲームではないので考えるのは辞め、すべてを感じるままにプレイするべき、哲学の領域に片足を突っ込んでいるとんでもない作品です。

あっ!カーリー船長だ!!

また、無料DLC「The Last One and Then Another」を収録。DLCでは「巨大な存在」になるために、肉の塊や仲間の魚を吸収しつつ転がっていきましょう。何を言ってるか分からない?それが正常だ!さらに『Mouthwashing』の、あのキャプテン・カーリーも特別出演します!さあ、究極のパワーファンタジーを生きろ。

という感じで、とにかく全編において「CR節」に合致する作品であり、かなり人を選んでしまう作品でもあります。

★『TELEFORUM』

最後は2023年に発売された『TELEFORUM』という作品で、メディアの未知の側面を探求するファウンドフッテージスタイルのホラーゲームです。現時点でのSteamステータスは「非常に好評」となっています。

プレイヤーは、とあるジャーナリストに扮して周囲を探索し、男性の死に関する真相を突き止めていきます。

アナログなVHSの粗い映像スタイルがこのゲームにしかない、言い知れぬ不気味な雰囲気を作り出しています。1周30分程度と短いながらも完成度の高いポイント&クリック式のテキストホラーです。

このように色々見てきましたが、気になる作品はありましたか?CRITICAL REFLEXの素晴らしい点は、2DアクションからダンジョンRPG、果てはシュールな短編ホラーまで扱うジャンルの幅が広く、かつ深いこと。とすれば、万人受けはしないかもしれませんが、きっと「尖った」誰かに刺さるはず。そういった姿勢や印象がハードコアゲーマーの心を掴んで離さず、支持される所以なのではないかと思います。

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