ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド(『LoL』)』の日本公式リーグ『LJL(League of Legends Japan League)』の決勝戦『LJL 2025 GRAND FINAL』が、9月15日に高田馬場・ASH WINDER Esports ARENAで開催された。『LJL』の試合がオフライン開催されたのは『2023 Summer Split Finals』ぶりだ。

 対戦したのは、REJECT(リジェクト)とQT DIG∞(キューティー・ディグ)の2チーム。優勝チームは9月30日より台湾・台北市の『LCP Arena』で開催される『LCP 2026 P&R(昇格・降格戦)』に参加する権利を獲得する。

『LoL Esports』環境の大激変——LCPで問われる日本の競争力

 試合を振り返る前に、2025年の『LoL』eスポーツ環境に訪れた大激変について解説しておきたい。大きく次のような変更点が挙げられる。

●5大地域リーグ制:各地域リーグを「LCK(韓国)」「LPL(中国)」「LEC(EMEA)」「LTA(南北アメリカ)」「LCP(アジア太平洋)」の5大地域に統併合。それに伴って、「LJL(日本)」は他に台湾・香港・マカオ、ベトナム、オセアニア、東南アジアなどを括る新設リーグ「LCP」の下部地域に編入される。

●3スプリット制:全地域において1年を冬、春、夏の3スプリット制に分けて運営。それに伴い『Worlds』、『MSI(Mid-Season Invitational)』に次ぐ新たな国際大会として『FST(First Stand Tournament)』を第1スプリットに対応する形で設立された。

●フィアレス・ドラフト(Fearless Draft)制:BO3(2本先取)やBO5(3本先取)中、それまでの試合で使用されたチャンピオン(キャラクター)が続けて使えなくなる制度をプロシーンに全面導入。

 これらの変更によって、スケジュール面ではほぼ一年を通して競技シーンを絶え間なく楽しめるようになり、地域面ではこれまで細かく散らばっていたリーグを5大メジャーリーグに集中させることで、より競争力が問われるようになった。

 アジア太平洋地域のリーグ『LCP』創立シーズンの日本勢参加チームは、『LJL』 伝統の強豪『SHG(福岡ソフトバンクホークス ゲーミング)』がパートナー・チームに、『DFM(DetonatioN FocusMe)』がゲスト・チームに選ばれた。(ゲスト・チームは成績によって降格戦の対象となる)

 しかし2025シーズン、『LCP』の日本チームは台湾チーム(CFO、PSG)やベトナムチーム(GAM、TSW、MVKE)に対して年間を通して一度も勝利できなかった。3スプリット全期間において8チーム中6位以上の成績を残せぬままとなり、日本勢が『Worlds』に進出できないという苦しい結果を迎える。日本のLoL Esportsファンは、『LCP』でより競争力を発揮できる日本チームの登場を望んでいるはずだ。その中で、来年の『LCP』参加挑戦権をかけた、この『LJL 2025 GRAND FINAL』にはさまざまな期待が集まっていた。

『LJL』新体制、集大成としてのオフライン決勝戦

 そして日本地域の『LCP』編入により、既存の『LJL』もまた、2部リーグとして新たな局面を迎える。今年から『LJL』はオープン大会化され、既存・新規のプロチームに加えて、アカデミーチームやアマチュアチームなど、これまで公式試合に出れなかったニュー・フェイスを迎えることになった。

 大会形式も3スプリット制に合わせて変更され、『LJL FORGE/STORM/IGNITE』の年間3大会を設ける形となった(ただし、メジャーリーグの期間に完全対応はしなかった)。そして3大会の成績に応じたチャンピオンシップ・ポイントをもとに上位6チームが『LJL FINALS』に進出、全試合BO5の変則ダブル・エリミネーション・トーナメントを実施し、年間チャンピオンの座を争う。見事年間チャンピオンに輝いたチームが、『LCP』昇格戦の挑戦権を獲得する。

 『LJL 2025 FINALS』に進出した6チーム(QT DIG∞、REJECT、DetonatioN FocusMe Academy、Burning Core Toyama、VARREL YOUTH、Yang Yang Gaming)は、オープン大会化で多数の新規チームが参加した中でも、年間を通して着実に結果を残したチームたちだ。

 スプリットごとの3大会(FORGE、STORM、IGNITE)を全て制覇した最強の新生チーム・REJECT(以下、RC)。チーム編成の都合でSTORMからの途中参加にはなったものの、既存プロチームとしてRCと拮抗する実力を見せたQT DIG∞(以下、QTD)。『LJL』続投チームとして再編、奮闘し続けたBurning Core Toyama。Momo選手やkkkkkkkkk選手など新たな才能が注目を集めるDetonatioN FocusMe AcademyとVARREL YOUTH。そしてフランス出身のKING NORWE選手を中心に『LJL』へ新規に挑戦、印象を深く刻んだYang Yang Gaming。

 RCは最強チームとしてのプライドを見せつけるようにFINALSトーナメント開幕後、すぐに2連勝を果たしてグランドファイナルに先着、王手をかけた。一方、QTDは初戦でRCに0-3で敗れルーザーズに落ちるが、そこからはVLY戦、BCT戦、DFMA戦を順に制して、グランドファイナルでRCと再び対面することとなった。

『LJL 2025』個人賞と決勝戦の事前予想

 『LJL 2025 GRAND FINAL』は『LJL』でお馴染みのキャスター陣・katsudion、eyes、Revolによるプレショーからスタートした。プレショーの内容は「LJL 2025 AWARDS」と年間振り返り、そして決勝戦の事前予想で構成された。

 新人賞(Rookie of the Year)を受賞したVARREL YOUTH所属のトップレーナー・kkkkkkkkk選手は、高校大会の強豪校として知られるN高の学生で、16歳でグランドマスターに到達した新鋭だ。『Worlds』出場経験もあるapaMENコーチのもと、今年の『LJL』最年少参加者として初挑戦。「自分が受賞すると思っていた?」という質問に堂々と「はい」と答える覇気が印象深く、今後の活躍を期待させる。

 ベストプレイ賞はBCT所属のADC・L1MIT選手。対象プレイは「IGNITE」大会メインステージ第3ラウンドの対RC戦にて、25分頃にバロンピット周りの集団戦で、人数不利の状況からカイ=サの「スーパーチャージ」や「キラーヴォイド」などの移動スキルを使って敵陣に浸透、次々と敵チャンピオンを倒し、ACE(全滅)を獲得した場面だった。ビデオで送られた受賞コメントでは「いけると思ってプレイした」と、韓国籍ながらも日本語でメッセージを伝えてくれた。

 ファン投票で決まる「Showman of the Year」は RC所属のKinatu選手が受賞。投票理由としては「『LCP』でも通用すると期待している」「SNSで有用なゲーム情報を共有してくれる」「顔がいい」といった声が寄せられたようだ。

 ポジションごとのベスト選手を決める「ALL LJL TEAM」は、なんとRCのメンバー5名が揃って受賞。Kinatu(トップ)選手は「レーニングとチームマクロ、そしてスワップなどを研究した成果なのでは」とコメント。Forest(ジャングル)選手とRecap(ミッド)選手はチームの成果であると語り、デュオボットのSamver(ADC)選手とRaina(サポート)選手は互いに「Raina選手と力を合わせて」「No.1 ADCがいるから」と褒め合ってみせた。

 その後行われた決勝戦の勝利予想では、キャスター陣全員がRCによる3-1での勝利を予想。主なコメントとしては「チームとしての完成度/練度の差」と言及された。

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