サードウェーブは9月18日、東京虎ノ門のTOKYO NODEにて、ゲーミングPC「GALLERIA」の新戦略・新製品発表会を開催した。発表会では「GALLERIA」のタグラインが一新され、デスクトップPCのラインナップを全面リニューアル。5年ぶりに新たなケースを採用するなど、大きく進化することが明らかにされた。また、16社からゲストが登壇するなど、盛りだくさんの内容であった。
今回発表された新たなタグラインや新シリーズ・ラインナップについては、別途ニュースで紹介しているので、本稿では発表会で明らかにされた情報や担当者に直接訊いた内容などを紹介していく。
GALLERIAは幅広い創造活動を支えるブランドとして新たなステージへ進む
最初に、サードウェーブ取締役 社長執行役員 最高執行責任者の永井正樹氏が開会の挨拶を行なった。永井氏は、まだゲーミングパソコンという概念すらなかった時代に「GALLERIA」が市場を切り開いたこと、新しい「GALLERIA」が今の時代に相応しい新たな価値を備えていることなどを語った。
【サードウェーブ取締役 社長執行役員 最高執行責任者 永井正樹氏のコメント】
私たちは20年にわたり「GALLERIA」を通じて市場に新しい価値を提案してきた。まだゲーミングパソコンという概念すら存在しなかった時代に、その先駆けとして市場を切り開き、スペックや品質の追求はもちろん、お客様の利用シーンを見据えた製品開発に真摯に取り組んできた。私たちは製品開発に留まらず、秋葉原PCゲームフェスタ、高校eスポーツ選手権などのイベントの開催や協賛、eスポーツイベント施設「LFS」の開設などを通じて、コミュニティと市場に新たな可能性を創出してきた。
これからの未来を切り開くために、探求と挑戦を続ける姿勢は今後も変わらない。GALLERIAは、当社のミッションである“人々の創造活動の可能性を最大限にする”という思いのもと、ゲーム、クリエイション、AIなどの分野において様々なコンテンツや創造に挑む方々が、現実世界と仮想世界の双方においてその力を存分に発揮できる環境を整えていく。本日発表する新製品は、この思いを受け継ぎつつ、今の時代にふさわしい新たな価値を備えている。
続いて、サードウェーブ取締役 上席執行役員 PC統括本部統括本部長の西村祐典氏が事業戦略について説明した。西村氏は、GALLERIAの出荷売上の推移を示しながら、市場の中で確かな存在感を築いてきたと語り、今後のGALLERIAは、ゲームをプレイするユーザーはもちろん、創造活動に取り組むすべてのユーザーに向けて進化を続け、ゲーミングの枠を超えてクリエイティブシーンを含む幅広い創造活動を支えるブランドとして、新たなステージへ進むと述べた。
【サードウェーブエグゼクティブによるプレゼンテーション】
サードウェーブ 取締役 社長執行役員 最高執行責任者の永井正樹氏
サードウェーブ 取締役 上席執行役員 PC統括本部統括本部長の西村祐典氏
GALLERIAの出荷売上の推移。絶対額は不明だが、右肩上がりに成長している
これまでのGALLERIAはゲームやエンターテインメントのためのPCだったが、今後はクリエイティブのためのPCにもなる遂にお披露目! 新「GALLERIA」は4シリーズと1カテゴリ体制
続いて西村氏は、新しいGALLERIAを一挙お披露目。フラッグシップの「Sシリーズ」、スタンダードモデルの「Xシリーズ」、ピラーレスデザインモデルの「Fシリーズ」、コンパクトモデルの「Eシリーズ」、特別生産モデルの「GALLERIA Special Line」という4シリーズ+1カテゴリ体制になることを明らかにした。
【新製品のお披露目】
新製品には布がかぶせられていた
布が取り払われ、新製品4シリーズと1カテゴリがお披露目された今後発売予定のコラボモデルの試作機も展示
発表会の会場には、今回発表された新製品をはじめ、今後発売予定のコラボモデルの試作機なども展示されていた。それらを写真で紹介する。
「逸般の誤家庭」向け? Ryzen Threadripper搭載GALLERIAも近日中に登場
今回の新製品発表会の中で、筆者が最も気になったのが、フラッグシップモデルのSシリーズに「Ryzen Threadripper」搭載製品が登場するというニュースだ。「Ryzen Threadripper(以下、Threadripper)」は、AMDのワークステーション/ハイエンドPC向けCPUで、最大96コア/192スレッドという超弩級CPUだ。非常に高い演算性能を誇り、科学技術計算などのハイパフォーマンスコンピューティングに適した製品である。将棋棋士の藤井聡太王座が、Threadripper搭載PCを将棋の研究に活用していることを知っている読者も多いだろう。
一般的なゲームでは、Threadripperの性能を活かしきることは難しいが、シミュレーションを駆使するエンジニアや4K以上の解像度の動画編集など、高いCPU性能を要求する用途はいろいろある。他社を含め、コンシューマー向けモデルでThreadripperを搭載した製品は珍しく、もちろん「GALLERIA」でも初の採用となる。今回の発表会のプレゼンでは、Threadripper搭載機の詳細についてはほとんど語られなかったので、担当者にいろいろ聞いてみた。
まず、発表時期だが、明言はしなかったものの、文字通り近日中であり、そう待たせることはないというニュアンスであった。Threadripperは、性能レンジの幅も広く、 最新のワークステーション向け「Threadripper PRO 9000 WX」シリーズでは12コアから96コアまで、ハイエンド向け「Threadripper 9000」シリーズでは24コアから64コアまでの製品が発表されている。
何コアの製品を採用するかはまだ公表はできないとのこと。現行最上位の96コア「Threadripper PRO 9995WX」はCPUだけで200万円を軽く超える価格であり、搭載PCの価格は300万円前後になる。車が買えてしまう値段なので、筆者は最上位ではないThreadripperを搭載する可能性が高いと予想している。とはいっても、Ryzen 9 9950X3DとGeForce RTX 5090を搭載したSシリーズ「GALLERIA SMR9E-R59-GL」の価格が999,800円なので、Threadripper搭載Sシリーズは200万円前後になるのではないだろうか。
担当者によれば、Threadripper搭載GALLERIAは、ネットミームでよく言われる「逸般の誤家庭」向けの製品として企画されたものだという。サードウェーブも以前は、ビデオカードを4枚搭載したQuad SLI採用GALLERIAなど、非常に尖った製品も出していたのだが、最近はそうしたチャレンジングな製品が少なくなってきていた。今回、GALLERIAブランドの再定義に伴って、再びそうした一般ユーザー向けではない尖った製品を出して行きたいとのことで、その第一弾がThreadripper搭載製品となる。今後の展開にも期待したい。
【AMD Ryzen Threadripper】
2025年7月に発表された「AMD Ryzen Threadripper 9000」
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