気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、David Vinokurov氏開発、PC/Linux向けに9月18日にリリースされた冒険隊ローグライク『Heroes Against Time』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、仲間を集め、最強の冒険隊を編成し、危険に満ちた魔法の森を突き進むローグライク。英雄はそれぞれ異なる能力を持っているので、能力の相乗効果(シナジー)を把握するのが攻略の鍵になります。慣れてくると、1プレイ10分ほどで気軽に遊べるのも特徴。日本語にも対応しています。
『Heroes Against Time』は、880円(10月3日までは20%オフの704円)で配信中。
――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
David皆さんこんにちは、David Vinokurovです。私はイスラエル出身の独学のソロ開発者で、もう7年以上ゲームを作り続けています。
ストラテジーゲーム、特に『XCOM』や『シヴィライゼーション』が大好きですが、子どもの頃は『HALO』のようなFPSもよく遊んでいました。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
David本作は、仲間を集めて最終ボスを倒すことを目指すローグライクゲームです。1回のプレイは5〜10分程度で、チームを編成して強化しながら進めていきます。冒険の途中で出会う仲間はそれぞれ独自の効果やシナジーを持っており、お互いのステータスを高め合います。ただし、背後から迫ってくる霧には要注意です。時間が経つにつれて進めるマスが制限されていくのです…。
本作の大きな特徴は、何時間も続けて遊んでも楽しいし、逆に5分だけ遊んでも十分楽しめるように設計されていることです(平均的な1プレイの長さは5分ほどです)。この点で多くの既存ローグライクとは一線を画しつつ、ジャンルの魅力である「挑戦」「緊張感のある意思決定」「ときに出現する強力すぎるビルド」の楽しさをしっかり残しています。
また、異なるプレイスタイルでクリアすることで、異なるカラーパレットを解放することも可能です。20種類以上のパレットが用意されていますよ!
本作は元々、AI VtuberのNeuro-samaが主催したゲームジャム(短時間でゲームを開発するコンテスト)への応募作として誕生しました。コンテストは3日間にわたって行われ、当時開発した作品は「楽しさ」部門で2位を獲得しました。その時はそれで満足していたのですが、1か月後に「このシンプルでユニークなアイデアを本物のSteam作品にしたい」と思い立ち、開発を本格的に始めたのです!
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
David本作は、有名なRPGの定番的な要素から大きくインスピレーションを受けています。最初のキャラクターが「勇者」であったり、HPが999の「神」ボスとの戦いが用意されていたりします。さらに、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』からも影響を受けており、チェンジリングやオウルベアといったキャラクターが登場します。
最近影響を受けたものとしては、インディーゲームコレクションの 『UFO 50』 があります。小規模なレトロ風インディーゲームでも、遊ぶ・攻略する楽しさがしっかり味わえるのだと強く感じさせてくれました。また、ユニット同士が強化し合うオートバトラー系のゲームからも影響を受けています。
――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Davidゲームジャムの時、作ったゲームは「海の海賊」がテーマでした。しかし、その内容は配信者への内輪ネタやジョークでいっぱいで、とてもプロフェッショナルなゲームとして完成させることはできませんでした。それもあって、フルゲーム化を試みた時、海をテーマにした良いキャラクター効果やイベントがどうしても思いつかなかったのです。
そこで代わりに、「魔法の森」をテーマにして、勇者や盗賊、パラディンといったクラシックなRPGキャラクターに加えて、魔盾戦士のようなユニークなキャラクターを登場させることにしました。これがとても上手くハマったのです! ただし、ひとつ問題がありました…。
それは、キャラクターのドット絵を自分で描くために、適切なアートスタイルを見つけなければならなかったことです!様々な手法を試し、色々な作品からインスピレーションを受けましたが、どうしても「これだ!」という見た目や雰囲気は得られませんでした。
諦めかけたその時、最後にもう一度だけ挑戦してみることにしました!すると偶然、「これは面白いかもしれない」と思えるキャラクターを描けたのです。それが剣術師でした。その後、魔盾戦士を描いてみたところ、特に良い仕上がりになり、「これこそ自分のアートスタイルだ!」と確信しました。そこから勢いに乗り、「勇者」セットの他のキャラクターたちも一気に描き上げることができたのです。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
David面白い体験がありました。ある配信者は本作というゲームが理解できず、なんと15分でプレイをやめてしまったのです(!!!)。一方で、別の配信者は完全にハマってしまい、夜遅くまで何時間もプレイし続けてくれました。
これは「ゲームの序盤をもっと分かりやすくしたほうが良い」というフィードバックなのかもしれませんし、単純に「合う人と合わない人がいる」だけなのかもしれません。私はどちらにしても前向きに捉えており、自分にとってすべてが良いフィードバックだと考えています!
また、プレイヤーからは多くの細かい改善要望も届いており、それらは今後数日間で実装していく予定です!
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
David今後は、より快適に遊んでいただけるように、様々なQoL(快適性向上)機能や改善を実装していく予定です。
それに加えて、本作は「このコンセプトがプレイヤーにとって本当に面白いのか」を試す、ちょっとした実験作でもありました。リリースされたばかりなので、実験はまだ続いています! ぜひ皆さんのフィードバックをお聞かせください。
もし本作が良い反応を得られたら、さらにコンテンツを追加したいと考えています(例えば、独自のシステムや敵が登場する新しいマップなど)。そして、続編をどんどん作ってこのコンセプトをさらに掘り下げていくのも面白そうだと思っています。そうした作品は、今作と似たスタイルでありつつも、キャラクターの能力や効果を増やして、より奥深いゲームプレイを実現できるでしょう。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Davidもちろんです。本作をより多くの人に知ってもらえるのは大歓迎です! さらに本作はローグライクですので、リプレイ性がとても高いのです。配信者がプレイしていても、実際に自分で購入して遊んでみたくなると思いますよ。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Davidどうか遠慮せずに海外ゲームへのSteamレビューを書いてください!ゲーム開発者として、地球の反対側にいる誰かが、自分が全力を注いで作ったゲームを楽しんでくれたと知るのは本当に心に響きます。もし気に入らない部分があっても、それは改善すべき点を知るための貴重な情報になります!
そして私は昔から日本のアニメ、ゲーム、マンガに強く影響を受けてきました(弐瓶勉さんの「BLAME!」や浅野いにおさんの「おやすみプンプン」が特に好きです)。ですので、日本のクリエイターの皆さんに伝えたいのは、「どうかこれからもクールでクリエイティブな作品を生み出し続けてください」ということです。皆さんは私にとって大きなインスピレーションなのです。
――ありがとうございました。
◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
