クリエイターへのインタビュー記事がメインのゲームメディア「I.N.T.」が9月12日に発表および公開された。

同日、同メディアの編集長およびディレクターとして参加していた、ゲームメディア「ゲームゼミ」を運営する作家/編集者のJiniさんが、編集長辞任を自身のnoteで発表(外部リンク)。

その理由としてJiniさんは、「I.N.T.」運営の株式会社ワイソーシリアス代表・斉藤大地さんがプロデュースを担当したゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE』の制作を巡るパワーハラスメントや給与未払いといった問題を挙げている。

ゲーム開発者のインタビューのみで構成されるメディア「I.N.T.」

「I.N.T.」は、数万字にわたるインタビューのみで構成されるゲームメディア。

RPG作品『バルダーズ・ゲート3』のディレクターへの単独取材記事など、ゲームクリエイターにフォーカスした読み応えのある記事が、英語・中国語・韓国語で公開されている。

Jiniさんによれば、「I.N.T.」はもともと、斉藤大地さんの企画「Indie Intelligence Network」が前身。

世界各地のゲームクリエイターへのインタビューを重ねつつも、掲載先のメディアが日本以外に見つからなかったため、Jiniさんとともに掲載メディアとなる「I.N.T.」が企画されたという。

『ニディガ』を巡るパワハラや給与未払いで「I.N.T.」は公開延期へ

しかし、「I.N.T.」公開直前の4月に、ゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE』の企画/シナリオを担当したにゃるらさんが、前出の株式会社ワイソーシリアス代表・斉藤大地さんのパワーハラスメントを告発。

『NEEDY GIRL OVERDOSE』トレーラー

Jiniさんはこの件について、斉藤大地さんとにゃるらさんとの間で係争が解決することを望み、「I.N.T.」公開を延期。サイトのブラッシュアップを続けていたが、8月には『NEEDY GIRL OVERDOSE』主要開発者のとりいさんもパワーハラスメントや給与未払いを告発した。

問題が深刻化していることを鑑みて再度公開延期を進言したものの、斉藤大地さんはこれに反発。結果、Jiniさんは「I.N.T.」編集長を辞任し、「I.N.T.」は日本語版を除いて公開に至ったという。

『NEEDY GIRL OVERDOSE』企画/シナリオ担当のにゃるらもコメント

9月15日、『NEEDY GIRL OVERDOSE』企画/シナリオ担当のにゃるらさんも、自身のnoteでこの問題について言及(外部リンク)。Jiniさんの問題提起に感謝の意を示しつつ、今回の事態によって「I.N.T.」日本語版が公開されていないことを残念だとコメントした。

また、『NEEDY GIRL OVERDOSE』を巡る問題については現在も、株式会社ワイソーシリアスに対して、弁護士を通じた契約面や支払額計算の根拠開示依頼を行なっていると説明。

しかしながら誠実な返答がなく、「まずはスタッフやファンコミュニティにも安心してもらうため、仮に訴えを否定するにしても説明責任があるように思えます」と述べている。

なお、「I.N.T.」については、ワイソーシリアス日本語Xアカウントからは告知が行われていない。一方で、英語圏向けには9月8日に告知投稿が確認できる(参考リンク)。

KAI-YOU編集部_ゲーム部門

KAI-YOU編集部_ゲーム部門

ポップポータルメディア「KAI-YOU」の編集部(2013年3月15日より運営開始)。
重要性の高いニュース記事に加え、クリエイターへのインタビューや発表会、展覧会などのイベントレポート、独自の視点・切り口からのレビューやコラムなども多数配信。ポップカルチャーと現代社会が相互に影響し合う歴史を記録しながら、シーンの最先端にある新たな価値観や才能を発掘・発信している。

ゲーム部門では、コンシューマーゲームやソーシャルゲーム、ストリーマー、プロゲーマーを筆頭とするe-Sportsシーンといったデジタルゲームから、カードゲーム、ボードゲーム・TRPGといったアナログゲームまで、それぞれの領域で独自の進化を遂げるゲームカルチャーを発信している。

ゲームメディア「I.N.T.」公開と同時に編集長が辞任 背景に『NEEDY GIRL OVERDOSE』を巡るパワハラ問題

Write A Comment