マジックのカードやデッキをクールという観点から語り、味わい尽くすのが「今週のCool Deck」の目的。さて、マジック史上でもドでかいクールなセットがやってくるぞ、そう『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』だ。世界中の数えきれない人々が「最高にクールだ」と感じているスパイダーマン。そのクールなキャラクター達と世界観をカード化すれば、カード1枚1枚すべてが最高にクールなものになることは間違いなし。クールなカードの怒涛のラッシュなわけだが、その中でも……

このカードにはやはり反応してしまう。《》──これはカード名とフレイバーテキストが合わさることで完成する。
「……大いなる責任が伴うのだ!」
大いなる力には大いなる責任が伴う。スパイダーマンは偶然授かったスパイダーパワー=大いなる力を何のためにどう使うのか?それが作品のメインテーマの一つと言えよう。数々の失敗や困難に直面し、スパイダーマン=ピーター・パーカーは大いなる力には大いなる責任が伴うということを学ぶ。大切な人を失うなどの悲劇を経て、己の使命や責任を果たすために力を使う、その姿こそがヒーローであり、最高にクールなのだ。
《》は、エンチャントしているクリーチャーを強化するオーラで、それにつけられているオーラや装備品1つにつき+2/+2修正を与える。オーラをベタ張りすることを肯定するカードが度々作られるが、これはその最新版である。オーラや装備品で大いなる力を得たクリーチャーは、その責任としてコントローラーの代わりにダメージを受けることになる。タフネスを高められたりプロテクションや破壊不能といった具合に、ダメージに対する耐性を持ったクリーチャーを用意できれば、プレイヤーへのダメージを完封することもできるかもしれない。カード名と元ネタがしっかりとデザインに落とし込まれた、これぞクールな1枚だ。
エンチャントでクリーチャーを強化するというのは、リスクが伴う。そのクリーチャーをカード1枚で除去されてしまった場合、オーラと併せて2枚以上の損失になり、数で負けることになる。それでもこの戦術を好むプレイヤーがいるのは、それがクールなゲーム体験であるからだ。非常に強力なクリーチャーを作り上げて対戦相手をノックアウトするのは楽しい、リスクを乗り切ったという達成感もある。もしそのリスクを極力抑えながら、途方もなく強大なクリーチャーを作りだす方法があるなら……それはクールなデッキと呼ぶに値するはずだ。今回紹介するのは大いなる力をクリーチャーに授ける、パイオニアのこのデッキ!
Fumiaki Satou – 「嵐の伝令コンボ」
Pioneer Spark!! ONLINE 7th -MTGArena- 2-1 / パイオニア (2025年8月30日)[MO] [ARENA]
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-土地(21)-
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-クリーチャー(17)-
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-呪文(22)-
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-サイドボード(15)-

《》!このクリーチャーは戦場に出た時に墓地のオーラを好きなだけ自分のクリーチャーに貼り付けることができる。それらのエンチャントはターン終了時にすべて追放されるため、そのターンこっきりの使い捨てとなってしまうが、それでも3マナであらゆるオーラをまとめて戦場に戻すというのは豪快極まるクールさ。伝令自身が速攻を持つため、これしかクリーチャーが居なくともオーラを付けて攻撃を仕掛けられるようになっている。
この伝令のためにオーラを墓地に落とし、一気に釣り上げるのがこのコンボデッキ。墓地にオーラを送るのは《》《》そして名カード《》で捨てる、あるいは《》で切削し、クリーチャーを手札に加えるついでに落とすという手法を用いる。これらのサポートパーツは単体で見ても十分なカードパワーを持ち、コンボ以外の勝ち筋も担っているのがクールだ。税血を《》でコピーできるようになればクリーチャー主体のデッキに致命的な打撃を与えられ、相手がアンサーを持たなければ勝負ありだ。


さて、少々勿体ぶった肝心のコンボであるが、《》で墓地から拾うオーラは2種類。まずは《》。これをつけたクリーチャーに+20/+20の修正を与えるという、まさしく必殺のオーラ。ただし大いなる増量には大いなる疲労が伴うのだろう、これを付けたクリーチャーはタップ状態になってしまう。これではせっかく伝令で貼り付けても攻撃できない……しかしそこは抜かりがない。《》と共に《》をつけることでこの問題を解決するのだ。
《》はクリーチャーに、タップすることでそのパワー分のダメージを与える能力をもたらす。パワーが20増加したクリーチャー、タップさせられる能力の解決前にタップして対戦相手本体にダメージを飛ばすことでノックアウト!クールすぎる一撃必殺、伝令が速攻を持っているのも噛み合っており美しい。《》がなかったり、クリーチャーの起動型能力が封じられているような状況であれば、《》で無理やりアンタップして殴るという動きもある。
いずれにせよ《》《》のようなまともに唱えるには重すぎるエンチャントを、《》でお手軽に運用するというのはこれぞコンボデッキの流儀。まあゲームがグダりにグダって、《》を素出しして勝つ……とかいう本来意図していない光景も、それはそれで最高にクールだ。
《》1枚で決まるコンボに見えるが、墓地には2種類のエンチャントが必要ということで、それほど簡単に決まるコンボではない。だが、難易度がある程度高い方がコンボデッキはプレイし甲斐があり、クールな体験ができるというもの。オーラでパワフルなクリーチャーを作りだし、大いなる力で勝利しよう。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! With great power comes great responsibility!!
