eスポーツというジャンルが確立され、プロ選手も現れるようになったことで、ゲームジャンルのアイテムが充実してきている。ゲームをプレイする際に操作性が向上する、快適さ、性能をアップするためのデバイスやウェア、家具や設備に至るまで幅広いラインナップがある。

 先日9月3日より5日まで開催されたパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー」では、アウトドア用や業務用の手袋を作っているメーカーがeスポーツ向けの手袋を展示していたほか、ゲーミング防災バックやガジェットポーチなど、ゲーミングアイテムを見つけることができた。かつてはゲームやPC関連アイテムを作るメーカーを中心に開発されていたゲーミングアイテムであったが、近年は様々なメーカーが手がけるようになり、裾野の広がりを感じる。

 今回、老舗手袋メーカーのフジタが作ったeスポーツグローブを実際に確かめることができたので、その着用感をご紹介したい。

フジタのeスポーツグローブラインナップ老舗手袋メーカーならではのノウハウが詰まったeスポーツグローブを体験

 eスポーツグローブ、ゲーミンググローブ、呼び方はいくつかあるが、ゲームをプレイする際に着用するための手袋が各社から発売されている。収縮性に優れ、滑り止めが用いられている場合が多いため、コントローラーやマウスをしっかりホールドできるほか、コントローラーや机など接触する部位にパッドや補強が追加されており、疲労を軽減したり安定度を増したりする工夫が凝らされている。

 手首から指先まで全体をカバーするものから、指先だけ露出しているものなど、プレイするゲームやユーザーの好みに応じて複数の種類が存在しており、プレイスタイルや好みに応じて選ぶこともできる。

 かつてはゴルフ用だったり、ドライビング用だったりと、他のスポーツ用手袋を流用することも多かったが、eスポーツの人気や需要の高まりを受けて専用のものが開発されるようになった。

 今回ギフトショーで体験できたのは、機能性手袋の製造を得意とする縫製会社・フジタの「eスポーツグローブ」シリーズ。コントローラー別に3種類のラインナップがあり、それぞれ「アケコンタイプ」「キーボード&マウスタイプ」「ゲームパッド(コントローラー)タイプ」がある。

 いずれのモデルも、夏は汗でコントローラーが滑るのを防ぎ、冬は冷えてかじかみやすい手指を暖かく保つといった、ゲームの基本操作を確実なものにする役割を担うほか、使用デバイスによって生じる疲労感や衝撃などを和らげ、ベストコンディションを維持したり、怪我を防ぐなどに役立つ。

【アケコンタイプ】

e-Sports Glove(アケコンタイプ):5,800円アケコン対応のため、左右で異なる作りになっている

 「e-Sports Glove(アケコンタイプ)」は、アーケードコントローラー(アケコン)を使用する際に適したグローブ。スティックを激しく操作するのに対応し、スティックで擦れる指のマタ部に、伸縮性を保ちつつ耐摩耗性の高い生地が採用されている。

 また、スティックを操作する左手側は指の長さを長めにとり、スティックの保持性、手指の保護性を高めている。ボタンを操作する右手側は、動きやすさ重視で指を短めにカット。コントローラーに接地する手首から小指球エリアにかけてパッドを備え、クッション性により長時間の負荷を低減するとしている。

 手のひら側には通気孔が空いており、手のひらに籠る湿気を逃して快適な状態を維持する工夫も見られる。

 実際に装着させてもらったが、手によく馴染むというのが第一印象。左手側は、ジョイスティックレバーを操作するために指が長めにカットされており、レバーに触れる部分は指先以外は覆われている状態。展示のアケコンで試した範囲では、激しく動かして指とレバーが擦れても生地がしっかりと保護してくれるのを実感した。レバーの持ち方には色々なやり方があるが、多くのやり方に対応するのではないかと思う。右手側は、実際にアケコンを使用するポジションに手を置くと、パッドが程よいクッションになって安定感を感じた。ボタン操作を激しく行った際も、パッドや生地が手首を保護してくれているのが実感できた。

【キーボード&マウスタイプ】

e-Sports Glove(PCキーボード&マウスタイプ):5,900円キーボードに適した左手側と、マウス操作に適した右手側

 e-Sports Glove(PCキーボード&マウスタイプ)は、PCゲーム用にキーボードとマウスで操作するのに適したグローブ。右手はマウス、左手はキーボードを操作する動作にあわせて、右手と左手でそれぞれ異なる機能をもたせたアシンメトリーデザインなのが特徴。

 右手はマウス操作に最適化され、手のひらには滑り止めのシリコンプリント素材が追加されている。薬指と小指はマウス操作の摩擦から保護するように完全に指を覆う構造で、残りの指はボタンのクリックや操作のためカットされている。

 左手は、キーボードのキー操作のために全ての指がカットされており、手のひら側には通気孔もある。左右の手首側には滑り止めのシリコンプリント付きクッションが設けられており、机との摩擦や衝撃、長時間の負荷を低減する。

 個人的には、長時間タイピングしたり、イラストやレタッチなどの作業をするワーカー向けにも使えるかもしれないと思った。

【ゲームパッド(コントローラー)タイプ】

e-Sports Glove(コントローラータイプ):5,200円

 e-Sports Glove(コントローラータイプ)は、パッドを使用する人向けのグローブ。こちらのタイプは左右対称で、手のひらにはクッション材、コントローラーを保持する薬指、小指以外は操作ボタンを押しやすいようにカットされたデザインとなっている。指や手のひらに通気孔も設けられており、機能性と快適性を両立させている。

 どのタイプのグローブも、ストレッチ性のある素材でフィット感と通気性をアップ。夏は汗で滑りやすくなるのを防ぎ、冬は保温性能で指が動きやすくする。アウトドア用、防災用など様々な手袋を製造しているメーカーによる設計、縫製なので繊細な指の動きも妨げない丁寧な作りなのもポイントだ。

 これらのグローブはクラウドファンディングで成功したことをきっかけに、この度一般販売となった。フジタのECサイトより購入可能だ。

□フジタのECサイト

ゲームをしながら片手で取り出せるガジェットポーチ

 その他のゲーミングアイテムとして目についたのが、キャンプ用品などのデザインや販売をしているグラノクスのガジェットバッグ「toolgazer3」だ。

グラノクスのガジェットバッグ「ツールゲイザー3(3,480円)」と「ツールゲイザー3 エクステンションペンバッグ(2,380円)」

 A5サイズより少し大きめのサイズで、メインスペースにはA5サイズのカバー付き手帳が入るゆとりを持たせた作り。面ファスナー(ベルクロ)で調整可能な仕切りを備え、ゲーミングマウスやモバイルバッテリーなどの周辺デバイスを収納しておくことができる。

 さらに、ハーフサイズのミニポーチ「ツールゲイザー3 エクステンションペンバッグ」と組み合わせると内容量を拡張できる。普段使いアイテムを「ツールゲイザー3」に入れておき、大会など特別な場合にのみ使用するアイテムをエクステンションバッグに入れておくなど、用途に応じてアイテムを選択したり容量を増やしたりできる。

自立し、収納したアイテムを取り出しやすい構造

 自立するので、PCデスクの脇に置いて必要に応じて取り出すなどの際も便利だ。外出の際はそのままカバンに入れて持ち出す、ストラップをつけて肩掛けバッグとして出かけるなども可能。表面にはスマホなどが入れられるスリット、背面にはカード類を収納できるポケットが設けられており、必要なものを全て収納できるといった作りだ。

 実際に使用してみると、見かけ以上に使い勝手がいいのに驚く。特にジッパーは机の上に立てて置いた状態で、片手でスライドさせるだけで開け閉めができるスムーズさだ。ジッパーそのもののスムーズさもだが、ジッパープル(ジッパーを開け閉めするための持ち手)も工夫されており、指一本で操作できる。「片手でゲームを操作しながら、電池が切れたマウスの予備電池をもう片方の手で取り出す」など常に両手が使えるとは限らない、そんな時でも必要なものにアクセスできるという点で、優れている。

 両製品ともカラーバリエーションは、ブラック、ライトグレー、オフホワイト、サンドベージュの3色を予定しており、2025年冬に発売予定だという。

長時間過ごす場所にこそ置いておきたい! アイディアが詰まった防災バッグ

 また、ゲーミングアイテム関連で、最も人目を引いたと言ってもいい展示が、「ゲーミング防災バッグ」だ。

 「なんでも『ゲーミング』をつけてレインボーにすればいいと思っているのかよ!」と心の中で思っていたら、そのままのコピーが壁に書かれていて思わず「これはなんですか?」とブースに駆け込んでしまったレベルでツッコミどころ満載のブースだった。

ブースの前を通る人が心中で叫んでいただろうセリフが壁面に……

 詳しく話を聞いたところ、元々はオフィス用に防災バッグを用意する際、防災バッグの収納スペースがないことに着目し、デッドスペースとなってることが多いオフィスチェアの脚部と座面のスペースに固定するためのバッグを開発したことが製品化のきっかけだったという。コロナ禍でリモートワークが推奨され、ゲーミングチェアがリモートワークに適していると話題になったことで、ゲーミング防災バッグを思いついたとのことだ。

ゲーミングチェアの座面と脚部の余白スペースに収まるサイズ感

 ゲーミングチェアに取り付けるためのものであるのと、ネーミングによるインパクトの効果も想定して命名したとのことで、リリースの際は狙い通り大きな反響があったという。

 バッグは5Lと8Lの2つのサイズを用意。ストラップを使用して、ボディバッグ、ショルダーバッグのようにして持ち運ぶことが可能だ。収納アイテムの種類、内容量などに応じて価格が異なり、展示されていた例ではおよそ2万円〜5万円のものが紹介されていた。

ゲーミング防災セット5L(19,800円):入門セットということで安価で基本的なものを用意

 ネーミングはふざけているが、内容はいたってマジメ。一時避難で避難所に避難することを想定し、エアマットやマスク、下着類などがセットになったものや、停電した自宅で避難生活を送るための充電器や予備の乾電池が充実したまさにゲーマー向けのセットなど、確かにこういう状況ではこのようなアイテムが必要だよね、というカスタマイズされたセレクションとなっていた。

ゲーミング防災セット8L(49,500円)。キャッチコピーがいちいち面白い

 担当者によると、内容物は避難のスタイルやご自身の環境に応じてカスタマイズしてほしいが、例となるものを用意することで「気づき」が得られたり、必要なものを足すだけ、一から揃えなくてもいい状態を提供できるのではないかとバリエーションの理由が説明された。

一見普通の防災バッグに見えるが……光が当たるとレインボーに反射。まさにゲーミング防災バッグだ

 光が当たるとレインボーに反射する外装も、暗い時間帯に避難する際にヘッドライトや懐中電灯の光で反射することで安全性を高めるなど、防災面での機能と、ゲーミング防災バッグという名称に恥じないレインボー感を両立させたものだという。防災バッグそのものも、クッション性のある素材を採用しており、Nintendo Switchなど携帯ゲーム機を収納し、安全に避難することも可能だという。

 リモートワークやゲーマーの人は、仕事部屋、プレイルームなどの自室にいる時間が長いと思うので、長時間いる場所にこそ防災バッグを備えて欲しいとのことだ。

ゲーム業界外からの参入でeスポーツのさらなる盛り上がりとなるか?

 今回、取材をしてみて、ゲーミングデバイス、eスポーツアイテム・グッズが、ゲーム専門メーカー以外からも出てきたことに、eスポーツの拡がりを実感した。一般のメーカーがeスポーツ関連アイテムを手掛けることで、デザインやバリエーションが広がる他、専門メーカーが参入することでさらなる品質向上、より利便性の高いアイテムが提供される期待がある。

 メーカーも、eスポーツ向けという新しいジャンル、販路拡大を目指して試行錯誤をしているのが伺えた。周辺アイテムが充実することで、更なるeスポーツの認知、盛り上がりも促進されることも期待したい。

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