
ファイヤー・トーチを使ってたいまつの火の音を 録っている様子
自由度が高いフォーリー・ステージは
フォースウイックの個性であり強みだと感じています
BGMや声はもちろん、効果音によってさらに没入感が高まる、それこそがゲーム・サウンドの真髄だ。ここからは、効果音=フォーリーにフォーカスし、フォーリー・サウンドを手がけるフォースウイックの遠藤正之、梅津雅義、稲倉遼の3人に登場してもらおう。彼らが所有するフォーリー・ステージを訪れ、実際に音作りの様子も実演してもらった。ゲームを支えるフォーリー・サウンドの裏側に迫る。
Photo:Hiroki Obara Interview:Yusuke Imai Text:Wang Yan Rong
本物に近いサウンドを目指して突き詰める
──ズバリ、フォーリーとは何でしょうか?
遠藤 あくまで僕の解釈ですが、フォーリーとは、リアルな音を作るための手法の一つだと思っています。そもそも“フォーリー”という言葉自体、人の名前なんですよね。
梅津 語源は、アメリカ人の効果音制作者であるジャック・フォーリーさんですね。
遠藤 その方が確立したような“音作りの手法”全体が、今では“フォーリー”と呼ばれるようになったんです。ではフォーリーは何のためにやるのかというと、“より本物っぽく聴かせる”ためですね。例えば、映像で人が頭を撃たれるシーンがあったとして、実際に人の頭を撃つわけにはいきません(笑)。代わりにスイカをたたいたり、その下に木の板を敷いて割れる音を加えたりして、“スイカ+木の板=骨が折れる音”っぽく聴こえるようなサウンドを作るわけです。本物の音でなくても、それに近い印象を与えるようにアプローチしていくことがフォーリーなんだと思っています。
梅津 要は、サウンド・デザインの一部ですね。ゲームの体験が良くなると思えば、迷わず録る。ほんと、それくらい気軽なノリでやっています(笑)。
──そんなフォーリーを作るには、フォーリー・ステージの存在が欠かせませんね。
遠藤 その通りです。ゲームでは段階的に映像が仕上がっていくため、必要なタイミングで録音スタジオを借りるというのはスケジュール的に難しくて。必要なときにすぐ音を録って反映できるようなスピーディーな制作スタイルを目指して、自分たちでフォーリー・ステージを造ることにしたんです。
──造る際にこだわった点はどこですか?
遠藤 ビルの中に設置されたフォーリー・ステージをたくさん見てきましたが、構造的に良い音を録るのが難しいんです。
稲倉 浮き床構造が多くて、床自体がつられているような設計なんですよね。
遠藤 浮き床の空間で録った音は、音の響きや振動から“空いてる感じ”が出てしまう。そこで、弊社では土の上に直接、70cmのコンクリートを打って床を造ってもらいました。施工した方が“羽田空港の滑走路とほぼ同じ厚さです”って言っていました(笑)。それくらい頑丈にして、ジャンプして着地しても余計な振動が出ないようにしています。
──自分たちだけのフォーリー・ステージができたことでどのようなメリットがありましたか?
遠藤 柔軟にスケジュール対応できるようになったのは大きいですし、他社のスタジオでは難しいアプローチも可能になりました。例えば、屋内でも火を使った収録ができるなど、そうした自由度が高い環境は我々の個性であり強みです。また、“ゲームならではの音作り”に対応できることも強みだと思います。ゲームには、“カットシーン”と呼ばれるストーリーや会話のパートと、”インゲーム“と呼ばれるプレイ中のパートがあります。よくあるのが、インゲームの足音は…
続きはこちらから ※会員限定。フォーリー録音の様子を公開
会員プランのご登録はこちら
この機会に会員登録をして、フォースウイックの記事をフルでお楽しみください。会員になると、他にも限定コンテンツや特典が利用可能です。詳細は下記をクリックしてご確認ください。
