スタジオ1のコントロール・ルーム

スタジオ1のコントロール・ルームは7.1.4chのスピーカー・レイアウトとなっており、L/C/RにはPMC Twotwo.8、トップ・レイヤーとミドル・レイヤーにはTwotwo.6、LFCはTwotwo Sub 2を使用。YAMAHA NS-10M Studioはステレオ用だ。チェック用スピーカーとして、SONY SRS-Z1PCやAPPLE iPhoneがスタンバイ。デスク右側にはUNIVERSAL AUDIO 4-170DやAMS NEVE 10473OPXといったプリアンプを設置

老舗メーカーのサウンド・プロダクションを支える
イマーシブ・オーディオ対応の多用途スタジオ

シューティング、RPG、格闘、アイドルなど幅広いゲーム・ソフトを開発するバンダイナムコスタジオ。同社がゲーム・サウンド制作のために所有する箱崎リバーゲートスタジオは、効果音の収録や歌録り、MAなどに対応する上、早くからイマーシブ・オーディオもサポートしてきた。サウンド・ディレクターの渡辺量と船田純一、ミュージック・ディレクターの北谷光浩、大澤めいに、スタジオの設備や現在のゲーム・サウンド制作について話を聞いた。

Text:Daisuke Ito(Caminari INC) Photo:Chika Suzuki

使いやすさ重視のスタジオ

 箱崎リバーゲートスタジオは2015年より稼働しており、レコーディング・スタジオやフォーリー・スタジオの機能を備える。ゲーム・サウンドは音楽の制作だけでなく、効果音や音声の収録、MAなど、さまざまな要素で構成され、それぞれを個別のスタッフが担当することも多い。そのため、同スタジオは機材の習熟度に関わらず誰にとっても使いやすく、多くの工程に対応できるように設計されている。また、イマーシブ・オーディオへの対応も早く、2020年にはスタジオ1をイマーシブ環境へアップデート。ゲーム業界は早くからイマーシブ表現に取り組んでいるが、その活用方法について渡辺氏はこう見ている。

 「例えば5.1chでは前方音場への負荷が大きくなりますが、イマーシブだと音を上方へ移せるため、各チャンネルへの負荷を分散させることができます。私たちは以前からAUDIO KINETIC Wwiseなどのオーディオ・ミドルウェアを使い、360°の空間演出を想定した曲や効果音の配置を行っているので、それをようやくお客様にもより深く体感してもらえる環境が整ってきたと感じています」

スタジオ1の天井部分

スタジオ1の天井部分の写真。トップ・レイヤー・スピーカーのPMC Twotwo.6が、真上から垂直の角度でマウントされているのが印象的。音場補正にはDiracが使用されている

 箱崎リバーゲートスタジオには3つの録音ブースと、2つのコントロール・ルームがあり、スタジオ1がイマーシブ仕様、スタジオ2は5.1chやステレオに対応する。用途について、大澤氏が説明してくれた。

 「スタジオ1は声優さんの歌唱や台詞収録、MAなどに使うほか、ブースのスペースも広いので、担当している『学園アイドルマスター』では…

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