注目の新作ゲーム『終天教団』の先行プレイレポートをお届け。実際のプレイで判明した本作の魅力や注目ポイントをご紹介!

DMM GAMES×小高和剛率いるTookyo Gamesが送る世界終焉ADV

終天教団プレイレポート_画像15

2025年9月5日より発売される『終天教団』を先んじてプレイさせていただいた。

本作はDMM GAMESと『ダンガンロンパ』シリーズなどを手がけた小高和剛率いるTookyo Gamesがタッグを組んだゲームだ。『ダンガンロンパシリーズ』『超探偵事件簿レインコード』『HUNDREDLINE-最終防衛学園-』にも携わってたスタッフに加え、開発を『マギマルと魔法使いの学園』のneiloが担当している。

世界の終焉を願う新興宗教が作り上げた国家で、まったく異なる5つのゲーム体験を楽しみながら、自分を殺した犯人を見つけるというなんともてんこ盛りなゲームだが、シナリオはTookyo Gamesらしい先が気になるミステリーアドベンチャーとして上手くまとまっていた。

1stトレーラー

2ndトレーラー

finalトレーラー

プロローグ

本作の舞台は『終天教団』という新興宗教が興した国、終天教国。記憶を失ってホテルの一室で目覚めた主人公のもとに、ヒメルとミコトルという天使が現れる。

終天教団プレイレポート_画像25

彼らは主人公を下辺零(しもべれい)と名付け、この国の教祖が殺害されたこと、それがあなたであること、完全に蘇生するためには4日後までに自らを殺害した犯人を突き止めて命を奪わなければならないこと……などを課してきた。

容疑者は、終天教団の行政機関を治める5人の最高幹部。下辺零は自らの死の真相と終天教国が隠す大きな謎に迫っていく、というストーリーだ。

終天教団プレイレポート_画像6

法務省ルート 推理アドベンチャー

筆者はまず法務省(犬神軋 いぬがみきしる)ルートを選んだ。

犬神は教祖のバラバラ死体を最初に見つけた第一発見者だ。金髪の優男で、四六時中合法ドラッグを嗜んでいる(そもそも彼が合法か違法かを決めているのだが)。なお、このルートでは犬神の声優を務める小野大輔の、イケメンキャラらしい甘ったるい演技を延々と聴くことができる。

終天教団プレイレポート_画像26

彼から教祖殺しの事件について聞き出す代わりに、ある仕事を任される。それは、大企業の会長をしていた九々里清政という人物の遺言書を開封するので、見届け人として立ち会ってほしいとのことだ。

案の定、遺言状の開封の前に殺人事件が起き、なし崩し的に下辺零は探偵として九々里家で起きた事件と、彼らを取り巻く陰謀を捜査することになるのだった。

終天教団プレイレポート_画像16

このルートは推理アドベンチャーを楽しむことができる。下辺零として容疑者たちを尋問したり、部屋を調べたりしながら、手がかりを集めて、殺人事件の犯人を捜していくのだ。

推理アドベンチャーではあるものの、難易度はそこまで高くはない。捜査すべき箇所は膨大な数ではないので、表示されたところをクリックしていけば手がかりは随時集まっていく。取りこぼしするようにはできていないため、安心して遊ぶことができた。証拠品はいつでも見返せるし、あまり関係のない証拠が謎解きのなかで提示されることもなかった。

終天教団プレイレポート_画像7
ただし、”信頼度“というパラメータがあり、推理や尋問中に的外れな選択肢を選んだり、関係ない証拠を突き付けたりすると減っていき、最終的にゲームオーバーになってしまう。特に遺産相続会議というキャラクター全員が集まって議論するフェイズで信頼度をゼロにすると、かなり戻されてしまうので小まめなセーブが必要だ。

詳しくはネタバレになるので伏せるが、事件は二転三転するし、伏線のばらまき方・回収の仕方も丁寧だ。推理小説などで見たことのあるベタな仕掛けも盛り込まれており、一本の推理ADVとして見ても充分な出来だった。

保健省ルート 極限脱出アドベンチャー

終天教団プレイレポート_画像14

続いて、保健省ルート(丑寅幽玄 うしとらゆうげん)をプレイ。

こちらは極限脱出アドベンチャーと銘打たれており、知恵を駆使して極限状態から逃げ延びることをコンセプトにしたゲーム体験になっていた。

終天教団プレイレポート_画像2

下辺零は保健省の幹部である丑寅幽玄こそ犯人だと考え(正確には神の力を使用して彼が犯人であることを察知する)彼に事情聴取をしにいくが、そこに黒ずくめの武装集団が襲い掛かってくる。

次に目覚めると、そこはどことも知れぬ空間だった。そこに連れられた21名の男女は、参加者の挙動がすべて配信されるデスゲームに参加させられるのだった……。

最初のステージは「数字当てゲーム」。スマホに表示された数字を比べ、より数字が高いほうが低いほうを殺すという内容だ。

終天教団プレイレポート_画像11

こちらのルートもかなりベタなデスゲーム体験を味わうことができた。なんとか敵を出し抜こうとする狡猾な参加者から、肝が据わっている者、いつまでも怯えている者など、まさしく『イカゲーム』や『カイジ』などで見たことのある展開だった。

画面構成も打って変わって、一人称のダンジョンRPGになる。ところどころにドアがあり、ちょっとしたパズルゲームを解くことで先に進むことができる。

終天教団プレイレポート_画像19

下辺零こそ最初は本当に殺していいのかどうかと悩んで機会を逃していたが、ルールの穴に気づいてからは八面六臂の活躍を見せる。デスゲームものの漫画が好きなプレイヤーは真っ先に遊ぶと良いだろう。

科学省ルート マルチ視点ザッピングノベル

科学省ルート(伊音テコ いおんてこ)も遊んでみた。

このルートはマルチ視点ザッピングノベルと銘打たれており、古き良きテキストアドベンチャー形式のゲームを楽しめる。

終天教団プレイレポート_画像20

科学省のトップである伊音テコこそ犯人だと決めた下辺零は、早速彼に接触する。教祖殺しについて情報を持っているという情報をちらつかせると、伊音テコは食いついてきた。

早速彼の待つ龍宮という施設に向かうと、あっさりと捕まってしまう下辺零。あまりにテキトーすぎる作戦に驚くが、自身が持つ神の力でなんとか乗り切った。

終天教団プレイレポート_画像23

そこからは龍宮内部に進行し、ザッピングノベルのパートが始まる。UIも『かまいたちの夜』などのサウンドノベルを意識したようなものに変わるため、一気に惹き込まれていく感じがした。

最初に読むことになる下辺零のルートはすぐにBAD ENDに突入してしまうので、伊音テコの視点を読んだり、各ルートの別の選択肢を選んでみたりする必要が出てくる。

終天教団プレイレポート_画像17

また、同じ主人公のルートばかりを読んでいるとSCENARIO LOCKがかかり、やはり他のルートを読み進めなければならなくなる。複数視点を並行して読んでいくことで、少しずつ全体像が掴めていくという形式だ。

龍宮という名前とは裏腹に、サバンナのような空間に投げ出され、暴れる動物たちに襲い掛かられる下辺零たち……果たして伊音テコを捕まえ、魂を奪うことはできるのか? スパイクチュンソフトの『街』や『428』のような、オーソドックスなノベルゲーム体験が味わえるルートだった。

文部省ルート 恋愛アドベンチャー(?)

文部省ルート(黒四館仄 こくしかんほのか)も遊んだ。

こちらのルートは恋愛アドベンチャー(?)だ。学園を舞台に、コテコテの恋愛シミュレーションゲームが楽しめる。(?)がついているのが意味深だが……。

終天教団プレイレポート_画像18

犯人を文部省の幹部である黒四館仄に絞った下辺零。早速彼女にアポを取るが、彼女は「情熱的な恋がしたい」と言い始め、支離滅裂な様子。下辺零が戸惑っていると、仄は彼に毒を飲ませた。

解毒剤を手に入れるためには、終天学園という学校で、黒四館を名乗る女子の中から、仄が演じている子を見つけなければならない。そのためには、これが仄だと予想した女子への告白を成功する必要がある。果たして、下辺零は恋を成就させ、解毒することができるのか? そして、自らを殺した黒四館を殺すことができるのか?

終天教団プレイレポート_画像21

恋愛対象は黒四館菊花、黒四館結愛、黒四館美衣の三人。

菊花はギターを弾く活発な女子。遊んでいるような見た目の割に意外と奥手で、恋愛の話になるとすぐ妄想が爆発してしまうタイプ。

終天教団プレイレポート_画像5

美衣はおとなしい雰囲気の文系女子。分別の着いた大人っぽい性格かと思いきや、こと恋愛になるとすぐに暴走し、倒錯的な性的願望をベラベラと喋り始める。

終天教団プレイレポート_画像22

結愛はふたつの人形を抱えた電波系少女。トーストを口にくわえ、廊下で激突するという超ベタベタなシーンから始まる。

終天教団プレイレポート_画像12

彼女たちとひとりずつ恋愛していき、仄と思しき人物を探していくゲームになる。

まずは美衣編から始まり、彼女が立派な詩を書けるようにフォローしていく。

終天教団プレイレポート_画像24

この学園では、両想いの男女が深夜に青百合の花壇の前で儀式を行うと結ばれるという伝説があり、下辺零も最後にそこで告白を行う。学園パートで得た情報をもとに、相手が抱える悩みやしがらみを解き放ってあげた上で、最後に情熱的な告白をしよう。

こちらのルートも『ときめきメモリアル』シリーズのような恋愛シミュレーションゲームの王道を突き進む体験が楽しめた。

警備省 ステルスアクションホラー

最後に警備省ルート(伏蝶まんじ ふしちょうまんじ)。

こちらはステルスアクションホラーであり、見下ろし形のかくれんぼが楽しめる。

終天教団プレイレポート_画像1

警備省の幹部である伏蝶まんじを犯人と考えた下辺零は、彼女の下に向かう。折しも、巷を騒がせた連続殺人鬼「ネフィリム」が復活し、伏蝶はそいつの起こした事件を捜査していた。

そこで異教徒(終天教団の教義に反した人々)に襲撃され、昏睡状態に陥った下辺零は、謎の雑居ビルでネフィリムに追いかけられる。なんとか辛くも逃げ延びたのち、伏蝶に助けられ、ふたりでネフィリムに敵討ちをすることになった。

終天教団プレイレポート_画像3

ゲームとしては、見下ろし型のステルスホラーだ。辺りを徘徊する着ぐるみに身を包んだ殺人鬼「ネフィリム」から逃げ延びよう。

道中でシャッターを下ろしたり、ロッカーに隠れたりしてやり過ごしつつ、カギやパスワードを探して次のエリアに進んでいくのだ。

終天教団プレイレポート_画像8

他の四人のルートに比べてアクション性が高く、筆者がもっとも好きなルートだった。

終天教団プレイレポート_画像27

結び――サイケなアートと、散りばめられた伏線が気になるミステリーADV

5つのルートはそれぞれに特色があり、どれも遊んでみてほしい作りをしていたが、本作の白眉は何と言ってもそのアートワークだ。

昭和風のレトロなデザインの中に、サイケデリックでビビッドな色彩が溶け込み、なおかつ世紀末思想がふんだんに盛り込まれた看板がこれでもかと積まれているアートワークは、なんとも目新しい。令和の時代に見るには懐かしさもあるスタイルだ。

終天教団プレイレポート_画像9

また、それぞれのルートに細かく伏線が散りばめられているのも面白い。下辺零を救おうと導いてくれるヒメルとミコトルだが、彼女たちとの会話の端々に違和感が現れてくるようになり、徐々にきな臭さが増していく。

幹部たちもそれぞれに事情を抱えており、精神的支柱だった教祖の死を心から悼んでいる。とても冷酷な殺人鬼には見えないが、果たして下辺零は誰に殺されたのか? 誰が真実を話しているのか? 大きなミステリーをフックにした、先が気になる構成になっていた。

終天教団プレイレポート_画像4

Tookyo Gamesが得意とする奇を衒った大ボリュームのミステリーアドベンチャーをぜひともチェックしてみてほしい。

『終天教団』基本情報

タイトル名
終天教団

ジャンル
マルチジャンルADV

発売日
2025年9月5日(金)予定

価格
通常版:6,980円(税込)
豪華版:13,580円(税込)
デジタルデラックス版:9,180円(税込)

対応機種
Nintendo Switch™ / DMM GAME PLAYER / Steam®

公式サイト
『終天教団』公式サイト

公式X
『終天教団』公式X

権利表記
©2025 EXNOA LLC/Neilo Inc. All rights reserved.

Write A Comment