協力ゴアシューター『Killing Floor』シリーズの最新作『Killing Floor 3』が2025年7月25日に発売されました。本記事では、Game*Sparkレビューをお届けします。

Co-opゴアシューターの雄

『Killing Floor』シリーズは近未来の地球を舞台に、どブラック大企業・Horzine社が作り上げた人口生命体「Zed」(初代『KF』ではスペシメン表記)の脅威に立ち向かうホラー・Co-opシューターです。今作『3』では一気に2090年代まで時代が飛び、反乱軍「Nightfall」の一員として立ち向かいます。

基本的なゲーム性は『1』から変わらず、ウェーブ毎に現れる敵集団を皆殺しにして資金を手に入れ、ウェーブ間の買い物タイムに強い武器を調達。次のウェーブではより強い敵と戦闘……を繰り返し、ラストに出現するボスを倒せばクリア。過去作とやってることが同じといえばその通りですが、『KF』に求めているのは「それ」ですしね。この変わらぬ味が良いんです。

Zedの見た目は大幅に強化……というかよりキモグロくなりました(褒め言葉)。片手がチェーンソーになっている大型Zed・Scrakeは反対の手がフックに進化、射出してプレイヤーを捕獲してくるというイヤらしい動きが追加。でも両手とも改造されちゃってもうペットボトルも空けられないね…。

サプレッサー付けて、サイト付けて、拡張マガジン付けて…

プレイヤー側にも変化・進化した部分は大量にあります。まずは武器に関して。今作ではすべての武器にMOD(拡張パーツ)を作成・取り付けることで性能が変化するようになりました。

わかりにくいですが、画面右側に入手した素材が表示されています。

MODの制作には素材が必要です。素材はゲーム中にZedを倒したり、ステージに存在するカメラや端末を壊すことで入手できます。MODは3段階まで強化を行うことができ、例えば弾数を増やすためのドラムマガジンなどは取り付けるとリロード速度にマイナス補正がついてしまいますが、強化を重ねるとマイナス補正は減り、さらに反動軽減などのプラス補正が段階的に大きくなっていきます。繰り返し遊ぶことで素材を集め、MODを取り付け&強化し、より高い難易度に挑戦する、というサイクルで遊ぶイメージです。

前作『KF2』の配信当初(アーリーアクセス開始時点)よりパークの数自体は減っています。これはシリーズでいうところの「サポートスペシャリスト」と「デモリショニスト」が「エンジニア」という、ショットガンと爆発物を扱う新パークに統合されたことによります。また、シリーズでは消火斧やスレッジハンマーといった大型の近接武器を得意としていた「バーサーカー」は、刀や弓矢、クナイなどを使う「ニンジャ」に変更されています。(今後バーサーカーが登場するかどうかは不明、新パーク自体は追加される予定のようです。)

その他のパークはシリーズでもおなじみ、アサルトライフルで小型~中型Zedをなぎ倒すCommando、火炎放射でZedを消し炭にするFirebug、ヘッドショット重点で大型Zedを素早く処理するSharpShooter、皆を支援するFieldMedicが用意されています。

『KF2』ではLv5刻みで習得していたPerkごとのスキルは、今作ではLv2刻みで新たな能力が習得できます。また、レベルが上がるごとにスキル強化用のポイントが手に入り、スキル自体の強化も行うことができるようになりました。前作では新たなスキルを入手するまでに少なくない時間がかかっていたので、小刻みで新たなスキルが手に入り、細かく成長を実感できるのは手放しで褒められるポイントです。

処刑!処刑!自分のチェーンソーで首を切られる感覚はどうだ!

“俺TUEEE”を実感できる箇所は戦闘中にも存在します。Scrake、Fleshpoundといった大型の強敵Zedは撃破すると赤く点滅しながらしゃがみこむ場合があります、これはフィニッシュムーブのサイン。一気に近づいてZedの頭部を特殊演出で潰してやりましょう。直後に大爆発を起こし、周りの小型ZEDを巻き添えにできるのでプレイヤーの大きなボーナス行動となります(爆発によるプレイヤーへのダメージはありません)。スライディングで近づいてフィニッシュムーブをキメればもうアドレナリン大放出。

また、マルチプレイ中にHPが0になった際、即死ではなくダウン状態を経由するようになりました。これによってダウン状態のプレイヤーは他プレイヤーによって復活させてもらえるチャンスが生まれました。もちろん救いの手が来なければそのまま死亡、さらにダウン後Zedから追撃を受けてしまうとより早く死亡します。以前のように囲まれたらほぼ即死!というヒリつくようなバトルももちろん楽しいのですが、早い段階で死んでしまうと次ウェーブ開始時の復活まで他プレイヤーの動きを見ながらぼんやりする時間が長くなってしまうわけで。わずかに復活の猶予が残される今回の方式はアリだと思います。

プレイヤー救助に関しての変更点は他にもあります。以前までのシリーズでは戦闘中にHPを回復させる際、注射器を使い自分または他プレイヤーを回復することが可能でした。しかし今作では注射器は自分のみを回復させるためのアイテムに変更されています。前述のダウンシステムで他プレイヤーを起こせるようになったため、回復までできてしまうと難易度が下がりすぎる、またはメディックの役割を奪いすぎるという判断なのかもしれません。激しい戦闘で負傷した際、おもむろに他プレイヤーが近寄って注射器を打ってくれたあの瞬間が楽しかったので、ここはちょびっとだけ残念な気分。

戦闘システムに関して大きく変わった点がもうひとつあります。『KF』シリーズでは毎回ヘッドショットが重要視されています。これは敵の数を素早く減らせるということがひとつ、もうひとつは「Zedtime」とよばれる、いわゆるバレットタイム的なシステムです。Zedを倒したりすることをトリガーとし、時間の流れが遅くなり周囲のZedがノロノロ動作に。しかし自分とチームメイトだけはズドドドドと撃ちまくり一気に大量のZedをミンチにできるボーナスタイムです。

前作まではHSで敵を倒した時などに確率で発生していたこのZedtimeですが、今作では画面上部にチーム共有の専用ゲージが用意され、Zed撃破などでゲージが貯まり満タンになると発生するようになりました。Zedtimeがいつ発生するかがおおよそ把握できるようになった反面、絶対今必要ないよな…という瞬間にも容赦なくZedtimeが発動するのがわかってしまうというもどかしさも。まぁこれは確率で発動していた過去作でも「今かよ!」的なことはあったのでしょうがないですが。また、Commandoのパークに存在していたZedtime延長の能力はオミットされています。(Zedtime中に射撃レートアップなどのボーナスは存在します)

まとめると「よりわかりやすくZedtimeというシステム自体が整理された」というイメージです。ちなみにシリーズの中でも一度のZedtimeの時間は長めになっているので、プレイ中の発生時間としてはトントンといったところでしょうか。

Commandoの武器一覧。MODの有無で種類は多いですが、大きいカテゴリとしては4種類。

過去作プレイヤーからすると残念に思えてしまうポイントもいくつか存在します。まずわかりやすいところでは「まだまだ武器種が少ない」という部分。今作は現状、ひとつのパークにつき武器が4種類+サイドアームが用意されている状況です。MODによって武器の味付けを変えるというシステムが登場したことで、そこまで数多くの武器が必要ではないという判断かもしれません。また武器のバランス調整も複雑になっていることでしょうし、今までよりも武器の追加がしにくいのかも。とはいえ、これに関しては初期の『KF2』も武器種は少なかったですし、アップデートを繰り返すことで解決する部分ではあると思います。

武器MODに関しても「ん?」という部分はあります。MOD作成時、そのMODを最大強化した際に発動するボーナスアビリティがランダムで付与されます。これがなかなか曲者。それぞれのパークに合うような相性の良いアビリティを付与されたMODを揃えるためには何個も同じMODを作って厳選する必要があります。いらないMODは分解することで多少の素材は返ってきますが、どうしても素材不足に陥りがちに。

これは完全に個人的な意見ではありますが、上記のようなやりとりを『KF』シリーズに求めていなかったので「プレイ時間を増やすための施策かな」という気持ちがどうしても消せません。こういう作りにしなくたって長時間遊ぶよ!と伝えたいですね。

シンプルにマイナスポイントな部分も存在します。PC用ゲームとして生まれた『KF』シリーズですが、今作はPing値表示やチャット機能(ラジオチャットはある)、サーバーブラウザ機能は現状ありません。また、プライマリ武器を持てる数は2つに固定されています。どちらかというとコンソール機のゲームによくあるスタイルにされた事に関しては「まぁそういうものなのかな……」とも思いつつ「でもさぁ、昔はあんなに尖ったゲームだったじゃん!」とも思います。心がふたつある。

とはいえ、せっかく遊ぶならPing値の低いサーバーで遊びたいと思うのは当然だと思うのですが、Ping表示は無くサーバーを選ぶこともできないため、とりあえずプレイを押すとZedとプレイヤーが短距離ワープするような遠い地域のサーバーということも少なくありません。このあたりはプレイしたくなる・ならないに大きく関わる部分ですから、早めの対策をお願いしたいところです。

プライマリ武器が2つ固定になった事に関してはだいぶ寂しさがあります。前作までは武器それぞれに重量が設定されており、これを持つとこっちは持てなくて…と試行錯誤しながらの戦闘が楽しいものでしたし、パークによっては積載量が増え、武器を多く持てるといった特性もありました。今作、重量システムに関しては完全にオミットされています。

買い物シーンで毎回発生する細かいストレス。『KF』シリーズはZedを倒したことで得られるお金で武器を買うという流れが基本ですが、お金が足りない場合に要求したり、逆に財布が寂しいプレイヤーにお金を渡すことができます。余裕があればトレーダーポッドの前にとりあえずお金をブリ撒いておいたり、買い物してるなというプレイヤーに直接お金をブチ当てて財布にねじ込む光景はわりと当たり前のものでした。「この金で強い武器、買おうぜ!」と、これ以上ない共闘になるため、やる側やられる側ともに嬉しい瞬間です。

しかし、なぜか今作はトレーダーメニューを開いているプレイヤーに直接お金を投げてもすり抜けてしまいます。正確に渡すためにはトレーダーメニューの左側からプレイヤーを指定し、お金を送金することが必要です。ただし、渡される側がトレーダーメニューを開いていなければ直接投げつけて財布にねじ込めるんですよね。なぜこの区別を作ったのかは謎です。

また、前作までならスコアボードを開いた際にそれぞれのプレイヤーの所持金が見えたため、資金が不足しそうなプレイヤーに事前に渡しておけたのですが、今作ではスコアボードに所持金の表示はありません。細かいところで不便を感じる作りは『KF2』を何年も運営していた開発らしくない部分だなと感じました。まとめると「UIもうちょっとだけ使いやすくして!」ですね。

後半は色々と開発への要求をまくし立てましたが『Killing Floor』という遊びをもう一段階楽しいものにしようとしているという部分は伝わりますし、素直に応援できます。激しいメタルBGMを浴びながら敵の返り血も浴びる楽しさはピカイチ!

GameSpark レビュー 『Killing Floor 3』 PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S 2025年7月24日 KFシリーズ最新作!敵も味方も近未来!変わらない血の色! GOOD 圧倒的な血と暴力の遊園地 前作より成長要素を細かく実感 BAD UIのこなれてない感 サーバーブラウザが現状無い

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