Obsidian Entertainmentは10月30日に発売を予定しているプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用RPG「The Outer Worlds 2」においてデジタルプレビューを実施、プレビュープログラムをメディア向けに公開した。

 デジタルプレビューでは「The Outer Worlds 2」の序盤をプレイできた。キャラクタービルド、本作の基本的な世界観、NPCとの会話による関係性の変化や、プレーヤーキャラクターのスキル、選択によって変わる展開など、多彩な要素を体験できた。

 「The Outer Worlds 2」は様々な勢力が世界の覇権を争う大宇宙を舞台としている。プレーヤーの冒険と選択が世界に影響を与え、ストーリーの展開、NPCとの関係も大きく変えていく。プレビュー版でもゲームの展開の多彩さを体験できた。各要素を紹介していきたい。

【『The Outer Worlds 2』 – 公式ゲームプレイトレーラー】

プレーヤーの行動で世界が変わるSFRPG

 「The Outer Worlds 2」は「Fallout: New Vegas」などを手掛けるObsidian EntertainmentのSFRPGシリーズの2作目となる。前作「The Outer Worlds」では様々な勢力が思惑を秘めているコロニー「ハルシオン」を舞台に、プレーヤーキャラクターが様々なキャラクターと出会う中でドラマが展開した。会話の選択肢、プレーヤーキャラクターの行動でダイナミックに物語が変化していく、どんなキャラクターを仲間にし、どの勢力に加担していくかで物語が変わる。多彩な展開が楽しい作品だった。

 その続篇である「The Outer Worlds 2」は、前作の舞台であったコロニー「ハルシオン」から離れ、「アルカディア」という新しいコロニーが物語の舞台となる。このコロニーも様々な勢力が対立や協力関係を築いており、全く新しい物語が始まる。本シリーズの大きな魅力は様々な勢力、それぞれの思惑を持ったキャラクター達と、プレーヤーが関係を持つ中で、ダイナミックに物語が変化していくところにある。世界や人々とどう関係を持っていくかを楽しむ作品だ。ちなみに前作をプレイしてなくても問題なく楽しむことができる。

本作は1人称視点のSFRPG。戦闘はFPS感覚で戦える。ステルスやジャンブで地形を超えたり、隠し通路を探すといった要素もある。難易度を下げることでアクションが苦手なユーザーも物語を楽しめる「The Outer Worlds 2」は会話が楽しい。プレーヤーが選んだ選択、相手に対する態度は記憶され、その後の展開に大きく関わってくる。分岐する物語はプレーヤーをゲームにのめり込ませる

 本シリーズの魅力は「スペースオペラ」をしっかり楽しめるところだろう。ワープドライブで様々な惑星に移動でき、そこには独自の進化を遂げた生き物や、プレーヤーキャラクターが属する勢力とは違う価値観を持った勢力があり、彼らと関わっていくことで協力関係を築いたり、敵対する。宇宙をまたにかけた大冒険、というテーマが楽しい。時には所属する勢力が変わるようなこともある。色々な思惑を持つ勢力と関わりながら自分の生き方を模索する、というのは「Fallout: New Vegas」にも通じる要素だ。

 さらに冒険は細かい要素でも分岐する。今回のプレビュー版では2つのルートが用意されており、展開が大きく異なった。他にもキャラクターのスキルや特性で会話の選択肢が増えたり、隠し通路を進めたりする。世界観と共に、ルートの多彩さも本作の大きな特徴となりそうだ。

 ゲームシステムは1人称視点で、FPS感覚で戦える。ステルスも重要であり、戦闘を有利にするTTD(タクティカル タイム ディメンション)といったシステムもある。難易度は調整できるのでゲームに自信がある人は高難易度で歯ごたえのある戦いを楽しめるし、難易度を下げてストーリーに集中するといった遊び方も可能だ。

かなりマッチョなイメージの「地球評議会」。プレーヤーキャラクターはこの地球評議会のエージェントだ

 本作ではプレーヤーキャラクターは「地球評議会」に所属している。冒頭、プロパガンダっぽい地球評議会のプロモーション映像が映し出される。企業やコロニー内の政府を監視し、時には武力を持って介入する勢力のようだ。この地球評議会の“エージェント”としてゲームはスタートする。キャラクターを作成し、ゲームをスタートさせよう。

特性や経歴を設定することで、ゲーム内の選択肢も変わってくる

 プレーヤーキャラクターは男女の性別、さらに年齢や外見など細かい要素も設定できる。次に決めるのが「経歴」だ。プレーヤーキャラクターが地球連合に所属する前にどんな人生を歩んでいたかを設定する。何らかで過去の所属からはじき出されてしまった「アウトロー」、前科を帳消しにするため参加している「元犯罪者」、何らかのエキスパートだった「教授」など様々な経歴がある。これらの経歴は、ゲーム内の会話で大きく関係してくる。教授だったら相手の間違いを学術的に指摘したり、アウトローだったら惑星に対する知識を披露したりできるのだ。

プリセットからキャラクタータイプを選ぶ。男女どちらも選べる容姿を細かく設定することも可能だ元犯罪者や教授など様々な経歴が用意されている

 「特性」はスキルやゲームプレイに深く関わってくる。「頑丈」を持っていればダッシュで相手に体当たりができるし、「優秀」はスタート時にスキルをさらに1つ多く選択できる。「温厚」ならば店での値引きがされる一方でアウトローとして認められにくくなる。特性は1つだけでなく、2つ選択することも可能だ。2つ選択した場合は、「マイナス特性」を選択しなくてはいけなくなる。スキルが成長しなくなるなど、マイナス特性はプレイが厳しくなりそうだ。

戦闘やスキルが有利になる「特性」2つ特性を得た場合は、不利になる「マイナス特性」を選択しなくてはいけなくなる

 「スキル」は通常2つ、「優秀」の特性を持っていれば3つスタート時に選択できる。機械を修理する「エンジニアリング」、射撃ダメージが大きくなる「銃」、仲間が強くなる「リーダーシップ」など様々なスキルが用意されている。今回は体験できなかったが、レベルアップによるスキル取得もあるようだ。スキルは持っていると戦いを回避したり、有利なものを得たり、ゲームの展開そのものが変わっていく。スキル構成で同じルートでも難易度が変わる場合もあるということは、今回のプレビューでもしっかり確認できた。

 最後はキャラクターの名前を設定しメイキング完了だ。いよいよ陰謀渦巻く大宇宙に旅立つこととなる。

スキルは2つ選択。レベルアップでスキルの強化や、新しいスキルの取得ができる選択が変化をもたらす、ルートで展開が変わる

 「The Outer Worlds 2」ではプレーヤーは地球評議会のエージェントとして”非公式ミッション”を請け負うこととなる。その任務は「ワープドライブ」の調査。ワープドライブは今やすべての勢力が利用し、大宇宙を旅するのに必須のシステムだが、実はこのドライブには秘密が隠されており、しかも製造はアルカディア星系の「護国帝政府」が独占している。

 現在宇宙では「亀裂」と呼ばれる特異点が発生する現象が起きており、この亀裂の発生にワープドライブが関係しているという。地球評議会はワープドライブを製造する護国帝政府のワープドライブ製造工場に潜入工作員を派遣。プレーヤーキャラクターが率いるチームは工作員と接触し、秘密を調査するために向かうこととなった。

現地に潜入している工作員に協力するのが最初の任務だ

 プレビューではワープドライブ製造工場に向かう宇宙船内からスタートする。いきなり自室のドアが壊れていて入れなかったりと、ちょっとしたチュートリアル要素もある。自室に入るにはスキルを使ってドアを直すか、別ルートを探し出して侵入する必要がある。「The Outer Worlds 2」はこのように問題解決にはいくつかの解決法が用意されている、ということをわかりやすく提示しているのだ。

 自室で「認証情報」というキーカードを入手することで敵地に潜入しているエージェント「デ・フリース」と通信が可能となる。しかしなぜか彼女は最初からけんか腰で、チームメンバーの「パスカル」の言葉に激高するなどどうも情緒不安定だ。

スキルがあればドアを開けられるスキルでドアを開けられなくても、ルートを見つけて部屋に入れる

 本作ではプレーヤーの選んだ選択がキャラクター達の関係を変化させていく。デ・フリースとパスカルが言い争うときにどちらに味方するか? ルーキーである「ナイルズ」はデ・フリースと友人だったようだが、今の彼女の反応に戸惑っている。そんな彼の不安にどう対処するか? また、地球評議会の正しさに盲従しているような「サンドヴァル」にどのような答えを返すか? これらの結果でNPC達はプレーヤーキャラクターに対する評価を蓄積させていく。今後どのような変化に繋がっていくのか、興味が惹かれる。

 いささか不安なミーティングの後、チームはデ・フリースが潜入している工場衛星に向かう。現在この工場衛星は護国帝政府の大きなイベントを控え、警備が薄くなっているという。彼らに察知されずに着陸できたチームは、プレーヤーキャラクターと、ナイルズ、パスカルの3人で工場に向かう。

ルーキーのナイルズ。会話は相手を思いやるものから、敵対的なものまで色々用意されており、この選択が関係を変化させていくスキルを持っていると会話の選択肢が増える皮肉屋のヘレンサンドヴァルはかなりガチガチの地球評議会派だ

 工場ではいくつかのルートがあり、ステルスによる潜入や正面からの戦闘を行って進んでいくのだが、ルートによって展開が異なる。大きく変わるのは「セキュリティ管理室」へ向かうか、「中央司令所」に向かうかの選択。ここの選択での展開の違いは「The Outer Worlds 2」のゲーム性を象徴していると言えるだろう。

工場への侵入には2つのルートが用意されている

 セキュリティ管理室のルートは基本はステルスアクションとなる。しゃがみ移動で相手に気づかれずに移動し、背後に回って近接武器で暗殺する。このルートの目的は敵ロボットプログラムの停止。ロボットを停止させることで、その後のルートも安全に進むことができる。

【セキュリティルームへ】

セキュリティルームへ向かう道はステルスアクションとなる。相手に発見されず、ルートを進んでいく

 中央司令室に向かうルートはバリバリの戦闘ルートとなる。敵が待ち受けるルートを正面切って突っ切っていくルートで、素早い射撃能力が求められる。「The Outer Worlds 2」はRPGだが戦闘はFPSとなる。相手に照準を合わせて射撃をしていく。ヘッドショットを狙えば大ダメージを与えることが可能だ。

中央司令室へのルートは敵と正面から戦っていくルートとなる

 戦闘ではTTD(タクティカル タイム ディメンション)という特殊装備が使える。時間が一定時間ゆっくりになり、有利な状況で相手にダメージを与えることができる。序盤であるためか敵のダメージは大きく、物陰に隠れて射撃するなど有利な状況を作るように意識したいところだ。なお、ゲームには難易度設定もあり、難易度を上げてよりエキサイティングなゲームプレイを楽しむことも可能だ。

時間経過がゆっくりとなり戦いが有利になるTTD(タクティカル タイム ディメンション)

 ゲーム性だけでなく護国帝政府の描写も面白かった。この国は”減点式”で人々を判定しており、住人はとにかくトラブルを起きることを恐れている。ミスを繰り返すと住人は「メンタルリフレッシュ」を受ける。これはかなり恐ろしいもののようだ。一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、判断力が鈍るようだ。

 本作らしいブラックジョークとして、住人を審査するロボット「審判人」が、恐らくメンタルリフレッシュの副作用で装置を誤作動させ、死んでしまった住人に減点を出し続ける、というシーンがある。他にも減点を恐れて仲間を助けるどころか、自分自身での判断を放棄している住人もいた。こういったそれぞれの勢力の独特の価値観、というのも「The Outer Worlds 2」の楽しい部分だろう。

 今回プレビュー版を遊んでみて「もっともっと遊びたい!」と強く思った。一癖も二癖もありそうな仲間達は関係を結んでいくことでもっと多彩なドラマが展開するということがわかる。また、地球評議会の独善的すぎる姿勢も鼻につくし、自国民を徹底的に縛り付ける護国帝政府に立ち向かいたいという気持ちも強くなった。キャラクターや勢力のわかりやすいイメージ、これがプレイをしていくことでどう変わるか、その辺かこそが大きな楽しみだ。プレーヤーとしてこの世界を思う存分引っかき回したい。

 「The Outer Worlds 2」はちょっとブラックなユーモアがあり、レトロフューチャーな世界をで探索できる。自由度の高いキャラクタービルドと、様々に分岐していく展開が楽しめるゲームであることが確認できた。もっともっとこの世界で遊びたい。発売を心待ちにしたい

Write A Comment