Virtual Gaming Worlds（VGW、バーチャル・ゲーミング・ワールズ）は、カナダでのサービス提供を終了します。同社は主に3つのブランドを運営しています。Chumba Casino はスロットやテーブルゲームを提供、Global Poker は同様のスウィープステークスモデルを用いたバーチャルポーカールーム、そして LuckyLand Slots はスロットに特化したプラットフォームで、カナダでの事業は今回の全面撤退以前にすでに終了していました。
VGWの撤退スケジュール
VGWはカナダ事業から段階的に撤退します。ユーザーは2025年8月28日以降、ゴールドコインの購入ができなくなりますが、既存の残高は引き続き使用可能です。ゲームプレイのアクセスは2025年9月25日に停止され、コインの換金のみが可能となります。換金申請の最終期限は2025年10月23日で、それ以降VGWはカナダ市場でのすべての活動を終了します。
顧客向け通知でVGWは次のように述べています。
「慎重な検討の結果、当社の事業優先事項に基づき戦略的な商業判断を下しました。これにより、リソースと投資を効率的に配分し、事業の継続的な成功を支援することが可能になります。長年のサービスの後での調整となり、カナダのプレイヤーの皆様にはご失望を与えるかもしれません。この決定は軽々しく行ったものではなく、プレイヤーの皆様に変更内容を十分に理解していただき、移行をできるだけスムーズに進めることに重点を置いています。」
なぜVGWはカナダから撤退するのか
VGWのカナダ撤退は、法的または規制上の変更によるものではありません。むしろ、事業戦略の転換を反映した決定です。同社は収益の大部分を占める米国市場に注力することを選択しており、リソースをより効率的に配分できるようにしています。
VGWは、2025年6月30日終了の会計年度において、世界全体で61.3億ドルの収益を記録し、利益は4億9,160万ドルとなりました。スウィープステークス収益の約98％は米国からのもので、Chumba Casinoが同社収益の最大部分を占めています。
高まる法的・規制上の圧力
米国におけるスウィープステークスカジノへの法的・規制上の圧力は増しています。2025年には、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ミシシッピ州、ルイジアナ州などの州が禁止措置や業務停止命令を出しています。カジュアル利用向けの ゴールドコイン と現金換金用の スウィープコイン という二重通貨システムは、ギャンブル規制の抜け道と見なされ、立法者から批判が強まっています。
VGWが直面する訴訟
VGWは複数の米国州で法的措置を受けており、特にカリフォルニア州での集団訴訟が深刻な課題となっています。2025年8月20日に提起された Brown et al. 対 VGW Holdings US Inc. の訴訟では、VGWだけでなく、決済処理会社、データ会社、ゲームプロモーターも巻き込まれています。この訴訟は異例の法的手段をとっており、プレイヤーの配偶者がカリフォルニア州の損失回復法に基づき請求を行うことで、仲裁条項を回避しています。VGWに不利な判決が下されれば、カリフォルニア州での禁止措置につながり、他州でも同様の動きが生じる可能性があります。
さらに、イリノイ州、ケンタッキー州、オハイオ州、テネシー州、フロリダ州、マサチューセッツ州、モンタナ州でも訴訟が提起されています。2024年にはジョージア州の訴訟が管轄権の欠如により却下されるなど、これまで重大な法的影響を回避した事例もあります。
VGWの今後の見通し
VGWのカナダ撤退は、業界全体の傾向を反映しています。企業は、収益性の高い市場に集中する一方で、収益の少ない地域や利益の見込めない地域からは撤退する動きが見られます。規制圧力が米国でさらに強まる場合、他のオペレーターも特定地域での事業継続を再考する可能性があります。
米国において、VGWは依然として法的監視下にあり、主要市場へのアクセスを失うリスクがあります。しかし、収益の大部分を米国市場で得ていることから、同社は法的支援、規制遵守、プラットフォーム開発に注力する可能性が高いと見られます。
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