テレビやスマホゲームは子供にとって無駄な時間なのか。スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長の星友啓さんは「脳科学の研究ではゲームが脳の働きを高める“脳トレ”になりうることがわかっている。ゲームのやり過ぎはよくないが、上手に付き合うことが大切だ」という――。
※本稿は、星友啓『なぜゲームをすると頭が良くなるのか』(PHP新書)の一部を抜粋・再編集したものです。
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「ゲーム=悪」は本当なのか
アーケード、家庭用ゲーム黎明期から数十年の時を経て、テクノロジーが大きく形を変えても、まだまだ根強い人気なのがシューティングゲーム。先駆けの「コンピューター・スペース」のように、ミサイルや銃などを用いて敵を倒すことが目的で、射撃(シューティング)の操作が中心のゲームジャンルです。
日本のゲームシーンで懐かしいところだと、ツインビー、グラディウス、ゼビウスなどなどがありますが、今でもコール オブ デューティなど大人気のものがあります。
また、シューティングゲームのように、キャラクターに対してさまざまな操作を行い、ゲームの中での出来事に反応して、ステージをクリアしたり、与えられたミッションを達成したり、対戦したりするゲームのジャンルを、より広いゲームジャンルとして「アクションゲーム」といったりもします。
シューティングゲームやアクションゲームは、科学的研究では最も長く効果検証がされてきました。そうした研究の積み重ねの中で早くから明らかになってきたのは、シューティングゲームやアクションゲームは、空間認識能力と注意力を高めてくれるということです。
集中力と記憶力が同時に鍛えられる
ゲームをすることで、意識できる視野が広がり、目の前で起こる変化をより正確に把握できるようになり、視覚情報の処理スピードがアップする。さらに、注目すべき対象に焦点を当てて、無関係の出来事に惑わされない集中力がアップする(※1)。
画面に映るキャラクターを認識して、周りの敵に気をつけながら、タイミングよくシューティングを繰り返すことで、集中を保ちながら、視覚情報に素早く反応する認知能力がアップするのです。
さらに、ゲームをやることで、ワーキングメモリー(※2)や短期記憶(※3)の能力が上がることもわかってきました。
「ワーキングメモリー」は、自分が認識したものごとを現在の意識にホールドして、整理したり、組み合わせたり、なんらかの「コマンド」を意識の中で実行する働きのことです(※4)。
「5+7」という足し算を今意識して、「5」と「7」を足し合わせることができるのは、まさにこのワーキングメモリーのおかげです。