MSIのTitan 18 HX AI A2XWをレビュー、CPUだけで最大250Wに衝撃
動画系の作業でもその実力を発揮
「HandBrake」
動画をCPUでじっくりエンコードしたほうが良いか、GPUでサッとエンコードしたほうが良いかは好みの分かれるところだが、今回はHandBrakeを利用してCPUでエンコードする時間を比較した。ソース動画は再生時間約3分のMP4動画で、プリセットの「Super HQ 1080p30 Surround」および「Super HQ 2160p60 4K HEVC Surround」でエンコードする時間を計測した。
HandBrake:エンコード時間
CINEBENCH 2024ほどではないが全コアに高負荷がかかるため、コア数が少なくても電力をたくさん使える設計になっているTitan 18 HXが速い。ここでもRazer Blade 16 (2023)に対し、Titan 18 HXの処理時間は半分以下とダブルスコアー以上の結果を出している。
「Media Encoder 2025」
「Premiere Pro 2025」で編集した再生時間約5分の4K動画を、Media Encoder 2025でエンコードする時間も計測した。コーデックは「H.265」、ビットレートは40Mbpsに設定。このテストではGPUエンコードを指定しているが、エンコード中はCPUの負荷が常に30〜40%程度使われるような処理になっているため、CPUのパフォーマンスも影響する。
Media Encoder 2025:エンコード時間
HandBrakeほどのわかりやすい結果ではなかったが、Titan 18 HXの処理時間はRazer Blade 16 (2023)より明らかに高速だった。差が縮まっている理由はCPU処理の並列度が高くないせいもあるが、この差にはGPUの性能差も当然含まれている。Adobeが採用しているエンコーダーのクセと言えなくもないが、あまり新ハードの性能を活かせていないように見える。
「Premiere Pro 2025」
今度はPremiere Pro 2025の文字起こし機能で比較してみよう。とある講義を撮影した動画(約1時間40分)を読み込ませ、英語であることを明示的に指定して分析させた際の時間を比較した。AIを使用している処理ではあるが、CPUも(細々ではあるが)使われる。
Premiere Pro 2025:文字起こし処理に要した時間(3回の平均値)
Media Encoder 2025の時よりもTitan 18 HXの優秀さが際立っている。CPU負荷が先のエンコードテストよりもやや高めのため、電力をたっぷり利用できるTitan 18 HXの設計勝ちと言えなくもない。
「DaVinci Resolve Studio」
DaVinci Resolve Studioでは4Kのクリップ4枚で構成した8K動画(約3分)をH.265でエンコードする時間を計測する。ただし、Media Encoder 2025(Premiere Pro 2025)よりもGPU依存度が高いアプリのため、本稿の趣旨(Arrow Lake-HXのパフォーマンス検証)とはやや外れた検証となっている。
むしろRTX 5090 LTのパフォーマンスが効いてくるテストだ。プロファイルはMain10、プリセットはデュアルエンコーダーが活きるようにFast設定、ビットレートはCBR 80Mbpsとした。
DaVinci Resolve Studio:8K動画のエンコード時間
HandBrakeほどではないが、DaVinci Resolve StudioではTitan 18 HXがRazer Blade 16 (2023)に大差をつけた。カラー調整中心でたいした編集はしていない動画だが、8KともなるとVRAM消費量がすさまじく、VRAM 16GBのRTX 4090 LTではかなり厳しい。VRAMの空き容量が不足し、GPUの処理が滞ってしまうのだろう。
DaVinci Resolve Studio:Titan 18 HXでエンコード中のタスクマネージャーの様子。VRAM使用量は24GB中16〜17GBと大きい。メインメモリーも30GB程度使っているので、こちらも32GBのRazer Blade 16 (2023)には紀伊敷く、64GBのTitan 18 HXに有利な部分だ。CPUも25%程度は常に負荷がかかっていることも示している