「ゲームは脳に悪い」はもう古い?
「ゲームは子どもに悪影響」と思い込んでいませんか? 実は、最新の脳科学研究によって、ゲームには記憶力、集中力、問題解決力、そして創造性を高める効果があることが明らかになってきました。
そこで今回は、適度なゲーム利用が学力やメンタルにどのように好影響を与えるのかを脳科学や心理学の視点から徹底解説。最新のエビデンスをもとに子どもとゲームとの上手な付き合い方を提案する書籍『なぜゲームをすると頭が良くなるのか』(PHP研究所)を一部抜粋してご紹介。
これまで語られてきた“ゲームの悪影響”は、本当に根拠があるのでしょうか? 常識がひっくり返る新事実に迫ります。
ゲームで海馬が大きくなって、活性化する
ゲームが集中を促し、反射神経や手先の器用さをアップさせる。
イーロン・マスク氏も示唆するこうした直感は、本書で解説していくように、科学的にも実証されてきました。
ここで、ゲームをすることでアップすることが科学的に知られている認知能力をいくつかリストアップしておきましょう
。※1
・空間認識能力や注意力が高まる。
・視覚による情報の処理が早くなる。
・ワーキングメモリーがアップして、短期記憶や注意力が増す。
・タスクの切り替えがうまくなり、マルチタスクの能力が上がる。
・問題解決能力がアップする。
・クリエイティビティが上がる。
それだけではありません。最近の脳科学の進歩によって、ゲームをプレーすることで認知能力がアップする脳のメカニズムも解明されてきました。
つまり、ゲームをプレーすることで、脳自体が変化し、脳の機能がアップする。
私たちの認知能力は、脳のさまざまな部位や機能によるものですが、ゲームをすることで、実際に脳が変化して、それにより、認知能力が上がるということがわかってきているのです。
たとえば、ゲームをすることで、短期記憶の役割を果たす海馬の灰白質(かいはくしつ)が増大したり、ワーキングメモリーを支える前頭葉[背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)]が拡大、活性化することが報告されています。もちろん、手先などの筋肉を動かす小脳も同様に拡大、活性化することも知られています。※2


※1 Granic I, Lobel A, Engels RC (2014) “The benefits of playing video games.” American Psychologist, 69(1):66-78.
※2 Brilliant TD, Nouchi R, Kawashima R (2019) “Does Video Gaming Have Impacts on the Brain: Evidence from a Systematic Review.” Brain Science, 9(10):251.
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「ゲームは悪影響」の科学的検証
