わが子の「ゲームやめない問題」に疲弊していませんか?
「宿題は?」「いい加減にしなさい!」そう𠮟っても、一向にゲームをやめないわが子に、思わず声を荒げてしまう。そして、ゲーム機を取り上げようものなら、血相を変えて抵抗され、さらに激しい親子ゲンカに発展——。
実は、このような「ゲームやめない問題」に直面しているご家庭は少なくありません。特に、やらなければいけないことを後回しにしてゲームに熱中してしまう子どもに、どう対応すればいいのか頭を抱えている親御さんは多いのではないでしょうか。
そこで今回は、児童精神科医の原田謙(ゆずる)さんが、25 年以上の臨床で培ってきた、キレる子どもへの対応・支援法を、マンガを交えて解説した書籍『キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』(講談社)を一部抜粋してご紹介。
小学生男子のリアルな事例をもとに、子どもが自分から動きたくなるルールの作り方と声かけの工夫を分かりやすく解説します。
【事例】ゲームをやめさせようとすると、激しく抵抗する子

𠮟られても、ゲームをやめない
小学3年生・Fくんはゲームが大好きで、勉強をするのは嫌いです。「宿題を終わらせてからゲームをやりなさい」と言われているのですが、親が出かけていたりすると、Fくんはつい宿題をサボって、ゲームをやってしまうことがあります。
本人の話を聞いてみると、「親が帰宅する前にゲームをやめて、宿題をやるつもりだった」と言うのですが、実際にはゲームに夢中になってしまい、親に𠮟られています。
注意されたら、その日はゲームを中断して宿題に取り組みます。Fくんも、宿題を先にやるべきだとわかってはいるのです。しかし何日かたつと油断するのか、また同じトラブルを起こしてしまいます。
何度も同じ問題が繰り返されるなかで、ある日ついに親の堪忍袋の緒が切れました。その日もFくんは宿題を後回しにして、ゲームで遊んでいました。そして親に見つかり、注意されました。しかし、友達とオンラインで対戦プレイをしていたので、注意されてもゲームをすぐには中断できませんでした。一区切りついたらやめるつもりでしたが、親はその様子を見てFくんが反省していないと思い、ゲーム機を取り上げました。するとFくんもキレて血相を変え、抵抗したのです。ゲーム機を取り返そうとして親に飛びかかり、「返せ」と叫びました。親はその姿を見て、びっくりしてしまいました。
「やらなければいけないこと」をやらない
親が子どもを𠮟りつける、それに子どもが反発するという行動を、2つのパターンに分けることができます。
子どもが「やってはいけないこと」をやるパターンと、「やらなければいけないこと」をやらないパターンです。
宿題をサボるのは、「やらなければいけないこと」をやらないパターンの行動です。そのような行動に対して、親は問題の原因になっていること(Fくんの例でいえばゲーム)を取り除いて、宿題をやらせようとしがちです。「そんなことをしていないで、勉強しなさい」と小言を言う人もいます。ゲーム機を取り上げたり、インターネット接続を遮断し
たりする人もいます。
しかし、子どもから強制的に楽しみを奪うのは適切な対応とはいえません。ゲーム機を取り上げると子どもが反抗的になり、暴れることさえあります。ゲームがその子にとって大切なことならば、その気持ちを受け止めながら対応することをおすすめします。
「やらなければいけないこと」の例
子どもが以下のような行動を取らない場合に、ただ𠮟りつけるだけでは状況はなかなか改善しません。本人の考えも聞きながら、対応しましょう。
【Check!】
□ 勉強・宿題
□ 歯みがき・着替えなどの生活習慣
□ 「ありがとう」「ごめんなさい」などの受け答え
□ 翌日の持ち物の準備
□ 掃除や片付け
ゲーム機を取り上げても問題は解決しない。ルールの見直しを行ったほうがよい
本人の考えも聞きながら、ルールを決める
子どもが宿題をサボってゲームをやることが何度も続いてしまっている場合には、本人と話し合って、ルールを決めるとよいでしょう。例えば「帰宅したら自分の部屋で宿題をやる」「宿題が終わったらリビングでゲームをする」といった形で、具体的なルールを設定します。話し合うなかで、本人が「友達と時間を合わせて遊ぶために、宿題の前にゲームをやりたい日もある」といった主張をすることもあります。基本的には宿題を済ませてから遊ぶほうがよいのですが、子どもの事情に合わせてルールを調整するというのも一つの方法です。本人の考えも聞きながら、ルールを整えましょう。
【ポイント】ルール&各種スキルを活用する
子どもが落ち着いてすごせるようにサポートしましょう
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ルールって、具体的にどう決めればいい?
