ここからは検証結果の紹介となるが、B760 GAMING X GEN5がハイエンド級のパーツを安定動作させることができるのか、Core i7-14700Kを使用する際に先述したPL1=125W設定がおすすめとなるのか、CPUベンチマークテストの「Cinebench 2024」と、高負荷なゲームとして知られる「サイバーパンク2077」で確認してみた。

Cinebench 2024「CPU (Multi Core)」

 CPUのマルチスレッド性能を計測するCinebench 2024の「CPU (Multi Core)」テストを実行した場合のモニタリングデータが以下のグラフ。

PL1=125W設定時のモニタリングデータ(Cinebench 2024)PL1=PL2=253W設定時のモニタリングデータ(Cinebench 2024)

 PL1=125W設定では、テスト開始後から1分弱ほどPL2のリミット値である253Wに近い電力を消費して動作したあと、PL1の125Wに制限された消費電力で終始安定した動作を維持し、1,603ptsのベンチマークスコアを獲得。CPU温度は平均64.9℃(最大97℃)、VRMのMOS温度も平均55.9℃(最大61℃)と、十分に低い温度をキープできている。

 一方、マザーボード標準のPL1=PL2=253W設定では、テスト中盤までは温度上限の100℃と電力リミットの253Wに触れながらも高クロック動作を維持できているが、テスト終盤になるとVRMのMOS温度が100℃に達することでサーマルスロットリングが発動、CPUのクロックや消費電力が大幅に低下する様子を確認できる。それでもなお、スコア自体はPL1=125W設定を上回る1,780ptsを記録した。

Cinebench 2024「CPU (Multi Core)」Cinebench 2024「CPU (Single Core)」

 上記のグラフはスコア部分のみを抜粋したグラフだが、先述の通りMulti CoreではPL1=PL2=253W設定が優位なスコアを記録する一方、Cinebench 2024のSingle Coreでは全く同じスコアを記録しており差がついていない。これは1コアのみで処理を行うSingle CoreではCPU消費電力が125Wより低いことが影響している。

 Multi Coreのスコア差を大きいととるか影響は小さいととるかは用途次第になる。CPUの全コアに負荷がかかり続ける用途であれば、発熱や効率の面で不利にはなるものの、サーマルスロットリングが発生することを前提にPL1=253W設定で使用するのもありだ。

 ただ、大多数用途ではCinebench 2024のように常に100%の負荷が全コアにかかり続けるようなケースはまれなので、クリエイター向けの処理でもここまで全コアに負荷がかかるケースは多くなく、実用上はPL1=125W設定で使用しても明確な差が出ないケースが散見される。後述するが、特にゲームなどは誤差に収まることが多く、発熱や消費電力の面でのメリットも大きい。

 ゲーム用途であれば扱いやすいPL1=125W設定、多コニ最適化された用途や、一部のクリエイター用途などではPL1=253W設定と、より環境にあった設定を選択して使用してもらいたい。

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077において、グラフィックプリセットを「レイトレーシング:オーバードライブ」、超解像を「DLSS」、フレーム生成をDLSSのマルチフレーム生成(4x)に設定し、4K/2160p解像度で30分連続プレイした場合のモニタリングデータが以下のグラフ。

PL1=125W設定時のモニタリングデータ(サイバーパンク2077)PL1=PL2=253W設定時のモニタリングデータ(サイバーパンク2077)

 PL1=125W設定とPL1=PL2=253W設定のVRM温度はいずれも60℃台をキープしており、VRMの過昇温によるサーマルスロットリングは発動していない。

 PL1=PL2=253W設定時のCPU消費電力は平均144.8Wとなっており、PL1=125W設定時はリミット値に達したことによるスロットリングでCPUクロックや消費電力がやや低下しているものの、このテスト中に計測された平均フレームレートについては、PL1=125W設定が192.2fps、PL1=PL2=253W設定が193.0fpsと誤差レベルの僅差となっている。

サイバーパンク2077

 上記はフレームレートだけに絞り、各解像度で電力リミットの影響がどれほどあるかを確認したグラフだ。ほぼ誤差といった状況なので、ゲーム用途であればPL1=125W設定は悪くない値であることがわかる。

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