任天堂が5日に発売する「スイッチ2」は、日本国内の小売業者が従来よりも多くの利益を得られるように卸売価格が設定されていると、複数の関係者が明らかにした。店頭の目立つ場所に、より長い間陳列することにつながり、商品の認知度向上や任天堂ブランドと消費者との接点拡大を促す可能性がある。

  関係者らによると、小売業者はスイッチ1台当たりの小売価格のうち約5%を利益として得る見込みで、業界水準の2%以下を大きく上回る。スイッチ2は抽選販売に申し込みが殺到するなどすでに好調なスタートを切っているが、約8年ぶりの新型機拡販に向けて、任天堂はあらゆる手を尽くしている。

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スイッチ2

Source: Nintendo Co.

  一般的に、小売業者はゲーム機本体の販売でほとんど利益を得られず、損失を出す場合もあったという。コントローラーなど周辺機器やゲームソフトを同時に購入してもらうことで利益を確保してきたが、近年は状況が一変。ソフトのダウンロード販売が広がり、周辺機器の利幅も縮小し、店舗側のうまみが減っている。特に規模の小さい店では、利幅が小さく、陳列や保管に場所を取るゲーム機の販売に不満を感じる店主も少なくない。

  任天堂は、流通各社との取引条件については回答しないと述べた。ヨドバシカメラは具体的な卸売価格は開示していないが、テレビゲーム製品は歓迎しているとコメントした。多くの顧客呼び込みや他の商品の販売が期待できるとしている。ビックカメラはコメントを控えた。

  ゲーム業界では、パッケージ版に比べて利益率が高いダウンロード版での販売に注力する流れが今後加速する見込みだ。ただ任天堂は自社ブランドやキャラクターと消費者の接点を拡大する戦略をとっており、多くの人の目につく店舗も、販売チャンネルとして重要な意味を持ち続ける。

  また任天堂は、贈り物として祖父母が孫に買って渡すといった機会を重視しており、特定のゲームタイトルをダウンロードできるギフトカードも用意している。競合他社ではプリペイドカードの取り扱いが一般的だ。

  ある小売業界の関係者は、スイッチ2は少なくともここ10年ではじめて本体単独で利益を上げられる機種になると期待を寄せている。ただ、小売業者にとっての目下の課題は足元の需要に対し不足している供給量で、各社は任天堂に対し1台でも多く卸すように求めていると関係者は話す。

  任天堂は、スイッチ2の今期販売台数を1500万台と見積もるが、アナリストは上積みの余地があるとみている。

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