2015年5月28日に発売された任天堂のWii U用対戦シューティングゲーム「スプラトゥーン」が本日で発売10周年を迎えた。
2015年当時、久々の任天堂の新規IPとして登場した「スプラトゥーン」も遂に10周年。今では多くのプレーヤーを抱え、任天堂の看板タイトルの一つとして挙げられるほどになった。
本稿では10周年を記念してこれまでの「スプラトゥーン」シリーズ3作を振り返っていく。いよいよ発売されるNintendo Switch 2での「スプラ」新作に期待しながら、歴代「スプラ」の特徴や筆者の思い出を紹介していこう。
【Splatoon E3 2014 出展映像】
全てはここから始まった! 初代「スプラトゥーン(Wii U)」
まずはシリーズの原点である初代「スプラトゥーン」だ。Wii U用対戦シューティングゲームとして2015年5月28日に発売され、本日2025年5月28日で10周年を迎えた。2015年当時、筆者はまだ中学生で、夏休みに友人と代わりばんこにプレイした思い出があり、あれからもう10年なのか……と時の流れの速さを感じる。
ヒトの姿に変身できるイカ「インクリング」やインクを塗った面積で勝敗を競う「ナワバリバトル」、不定期で開催されるお祭り「フェス」など、“これぞスプラ”という要素は本作の時点で完成されており、最新作「スプラトゥーン3」まで引き継がれている。
【Splatoon(スプラトゥーン) 紹介映像】
イカがモチーフのキャラクター「インクリング」は初代「スプラ」から健在。選べる髪型などは変わっているが、基本的なデザインはこの頃から完成されている
やはり「スプラトゥーン」の特徴といえば、対人戦が苦手な人でも楽しめる対戦シューティングであること。基本モードの一つ「ナワバリバトル」は4対4のチーム戦だが、相手を倒した回数ではなく、ステージに塗ったインクの面積で勝敗を競うため、ひたすらステージを塗ったり、相手のインクに上塗りしていくだけでもチームに貢献できる。これが当時としては画期的で、子どもや初めて対戦シューティングをプレイする人でも楽しむことができた。
実際、それまであまり対戦シューティングに触れてこなかった筆者も「スプラトゥーン」のナワバリバトルで沼に引き込まれ、そこから対人戦も徐々に克服。「ガチエリア」や「ガチヤグラ」といったエキサイトなバトルを楽しめる「ガチマッチ」へと進んでいった。
「スプラトゥーン」といえばやはりナワバリバトル。対人戦が苦手でも楽しめる新感覚シューティングゲームだった
初代「スプラトゥーン」は、Wii Uの“遅れてやってきたキラータイトル”となり、Wii U本体の販売台数が1,356万台なのに対し、本作の販売本数は495万本。Wii Uユーザーの約2.7人に一人が購入していた計算となる。だが、発売当時はすでに新たなゲーム専用機「NX(現在のNintendo Switch)」の存在が公表されていたため、大きな波を作るまでには至らなかった。
その後Nintendo Switchが登場し、最新作「スプラトゥーン3」が発売されてからもしばらく初代「スプラトゥーン」のサーバーは稼働していた。だが、2024年4月のWii Uのオンラインサービス終了にあわせて、対戦プレイやニュースの配信といったインターネット通信機能を終了。現在はオフラインで楽しめる「ヒーローモード」のみプレイ可能なっている。
もう初代「スプラトゥーン」のブキやステージで対戦プレイを楽しむことはできない。だが「ヒーローモード」では「スプラ2」や「スプラ3」に繋がる始まりの物語が描かれているため、興味のある方はぜひ手に取ってプレイしてみてほしい。
「ヒーローモード」は現在でもプレイできるので、ちょっぴり懐かしい初代「スプラトゥーン」の雰囲気を楽しんでみてほしいサーモンラン追加! DLCも登場した「スプラトゥーン2(Switch)」
続いては2017年7月21日に発売されたシリーズ2作目「スプラトゥーン2」だ。初代「スプラトゥーン」から約2年2カ月という短いスパンで発売された本作は、プラットフォームをWii UからNintendo Switchへ移行しただけでなく、新モード「サーモンラン」や新しいステージ、ブキ、ギアが追加されている。
【スプラトゥーン2 紹介映像】
前作から短いスパンで発売された「スプラトゥーン2」。本作で「スプラ」デビューしたという人も多いだろう
「スプラ2」最大の目玉はやはり新モード「サーモンラン」だ。「サーモンラン」は4人チームで「シャケ」と戦う協力対戦モード(PvE)。一回り大きな「オオモノシャケ」を倒すとドロップする「金イクラ」を制限時間内に一定数集めることでクリアとなる。
筆者はシャケを倒すときの爽快感に病みつきになり「サーモンラン」にどハマり。ナワバリバトルやガチマッチには目もくれず、友人たちとサーモンランに明け暮れる日々を送っていた。
【スプラトゥーン2 新要素「サーモンラン」発見報告映像】
「スプラ2」からの新モード「サーモンラン」。4人チームで「シャケ」と戦う協力対戦モードだ
また2018年6月にはシリーズ初の有料追加DLC「オクト・エキスパンション」が発売。こちらはタコをモチーフにした「オクトリング」が主人公の一人専用モードで、ヒーローモードと同じくさまざまなステージに挑戦することとなる。だが、ステージは80以上用意されており、難易度もかなり上昇しているため、筆者のように心を折られかけたプレーヤーも多いだろう。
【スプラトゥーン2 オクト・エキスパンション トレーラー】
「スプラ」シリーズ初のDLCとなった「スプラトゥーン2 オクト・エキスパンション」
さらに2018年9月にはサブスクリプションサービス「Nintendo Switch Online」が本格始動。オンラインプレイを主軸とした「スプラトゥーン2」は、加入しないとほとんどのモードをプレイできないため、当時高校生だった筆者と友人たちは「料金次第でスプラを辞めることになるかも……」とプチ騒動になった。
幸いにも個人プランは12カ月2,400円と比較的リーズナブルな価格だったこともあり、お年玉を切り崩したり、アルバイトで稼いだお金で各自「Nintendo Switch Online」に加入したことでプチ騒動は収まった。
2018年9月に「Nintendo Switch Online」がスタート。当時高校生だった筆者の周りでプチ騒動が起きた
「スプラトゥーン2」はNintendo Switchが大人気ハードになったことや2020年にコロナ禍へ突入したこともあり、2022年3月期時点で販売本数1,330万本を突破。シリーズ2作目にして1,000万本越えを果たし「スプラトゥーン」シリーズの人気を確固たるものにした。
現在は「スプラトゥーン3」がシリーズの主軸となっているが、「スプラトゥーン2」のサーバーも稼働しておりオンラインプレイが可能。「タチウオパーキング」や「モズク農園」など「スプラ2」にしかないステージも多数あるため、まだまだ現役で楽しめるタイトルだ。
シリーズ2作目にして1,000万本越えを果たし、「スプラトゥーン」シリーズの人気を確固たるものにした“スプラ体験”をブラッシュアップ! 最新作「スプラトゥーン3(Switch)」
最後は2022年9月に発売されたシリーズ最新作「スプラトゥーン3」だ。本作は初代、2で培われてきた“スプラトゥーン体験”のブラッシュアップが行なわれており、季節毎に新しいステージやブキ、ギアを追加する“シーズン制”が導入された。
【スプラトゥーン3 紹介映像】
シリーズ最新作の「スプラトゥーン3」。これまでの「スプラ」体験をブラッシュアップし、新しい「スプラ」時代を作った
まず最大の変化は“バトルが空中からスタートする”ようになったこと。「スプラ2」までは地上のスポーン地点からスタートしていたが、「スプラ3」では空中にあるスポナーからステージへ降り立ち、バトルが始まるようになった。これによって4人がある程度バラけてスポーンできるようになったため、戦略の幅が大きく広がっている。
加えて新たなアクションとして、素早い方向転換が可能な「イカロール」や壁を素早く登る「イカノボリ」が登場。誰でも簡単にプレイできる親しみやすさを残しつつ、過去作の経験者も楽しめる新要素がバトルに加わった。特に「イカロール」は対人戦で大きな効果を発揮するため、研鑽を積んだ方も多いだろう。
空中のスポナーからバトルがスタート。チームメンバーがある程度バラけてスポーンできるようになった
「イカロール」や「イカノボリ」といった新しいテクニックも登場した
またお祭りイベントの「フェス」には、3つのチームにわかれて戦う「トリカラバトル」が登場。ステージに3色のインクが飛び交うかなりカオスなバトルで、フェスの“お祭り感”を楽しむことができる。
さらに発売から2年間に渡って季節毎に無料アップデートが行なわれ、さまざまなステージやブキ、ギアを追加。毎回、次のアップデートでどのようなブキやステージが追加されるのか予想合戦が繰り広げられ話題を呼んでいた。
「スプラ3」のフェスで登場した「トリカラバトル」
2022年秋から2024年夏にかけて行なわれた無料アップデート。シーズン毎にステージやブキ、ギアが追加された
本作は2023年2月28日に有料追加DLC「スプラトゥーン3 エキスパンション・パス」が発売。初代「スプラトゥーン」のホームタウンへ行けるようになる第1弾「ハイカラシティ」と“秩序の塔”へ挑む一人専用モードの第2弾「サイド・オーダー」が配信された。
「スプラトゥーン3」の無料アップデート期間は既に終了しているが、現在もリバイバルフェスや各種イベントが開催されている。最新のイベント情報は「スプラトゥーン」公式Xにて確認できるので要チェックだ。
「スプラ3」でもDLCが発売。第1弾はホームタウンを「ハイカラシティ」に切り替えることができる
第2弾「サイド・オーダー」は“秩序の塔”へ挑む一人専用モードだいよいよ発売を迎えるSwitch2。まだ見ぬ「スプラ4」に期待!
ここまで「スプラトゥーン」の10周年を記念してシリーズ3作品を振り返ってきた。任天堂による久しぶりの完全新規IPとして登場した「スプラトゥーン」だが、対戦シューティング初心者でも親しみやすいゲーム性やイカをモチーフにした「インクリング」の人気によって、現在は多くのプレーヤーに愛されるシリーズとなった。
いよいよ6月5日には新世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」が発売されるが、本稿執筆時点で「スプラトゥーン」シリーズの新作はアナウンスされていない。Switch2では4K解像度への対応や最大フレームレートが120fpsへ向上しているだけでなく、チームプレイと相性のいい新機能「ゲームチャット」やカメラ機能もある。それらを「スプラ」にどのように落とし込むのか、今は「スプラトゥーン3」をプレイしながらまだ見ぬ「スプラトゥーン4」に期待したい。
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