高いスペックが求められる重量級のゲームでも、デスクトップPCやゲームコンソール(家庭用ゲーム機)に負けないくらいの高画質でプレイできるゲーミングノートPCの選択肢が増えている。

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 ゲーミングノートPCといえば、“分厚くて重い”というイメージが先行しているが、最近は高性能でありながらも薄型ボディーであったり、携帯ゲーム機のようなサイズ感を実現したポータブルゲーミングPCであったりと、旅先にもいつものゲーム環境を持ち出すことが容易なモデルも珍しくない。

 今春、新たに発売されたASUS JAPANのゲーミング2in1タブレットPC「ROG Flow Z13(2025)」(37万9800円から)も、従来のゲーミングノートPCと比べて大幅に性能が向上した1台だ。

 PC USERでは既にパフォーマンス面を中心としたレビューをお送りしているが、今回は実際にその性能やタブレット型であるメリットを生かした使い方について紹介しよう。

●ゲーミングPCだって家庭用ゲーム機みたいにTVにつなげていい

 ROG Flow Z13は、「モンスターハンターワイルズ」や「サイバーパンク2077」など、重量級のゲームタイトルもかなり快適に遊ぶことができる。

 こうした重量級の人気ゲームタイトルは、以前であれば家庭用ゲーム機でしか遊べないものが多かったが、昨今はSteamを中心にPC向けにもリリースされることが珍しくない。実際、筆者も数年前までは家庭用ゲーム機派だったが、最近はPCでゲームをプレイする機会が多いくらいだ。

 ゲーミングPCを選ぶ理由は人それぞれだが、「PCでしか遊べないゲームを楽しみたい」だけでなく、どうせゲーミングPCを買うなら「PCにゲーム環境をまとめてしまおう」と考えている人も多いのではないだろうか。

 ただ、これまでゲームを大きなTVにつないで遊んでいた場合、ゲーミングノートPCで遊ぶには画面の小ささが気になってしまう。

 解決策としては、ゲーミングノートPCを置く机に大型のディスプレイを置くことが考えられるが、そもそも設置場所の制限などもあり、大きなデスクトップPCやディスプレイを避け、ゲーミングノートPCを選んでいると思う。解決策としては妥当ではないだろう。

 そこで組み合わせたいのが、今まで家庭用ゲーム機をつないでいたTVに、ゲーミングノートPCをつなぐ方法だ。ゲーミングノートPCの多くはHDMI出力端子が設けられているため、HDMIケーブル1本でTVに映像出力できる。

 今回試したROG Flow Z13(2025)にもHDMI出力があり、実際にTVにつないでみたが、特に面倒な設定などはなく、ケーブルをつなげばそのままTV画面にPC画面を表示できた。

 TVの解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)、または4K(3840×2160ピクセル)が主流だが、ROG Flow Z13(2025)のパフォーマンス的にフルHDを選ぶのがいいだろう。

 これがデスクトップ型のゲーミングPCでやろうとすると、TVにつなぐためにたくさんのケーブルを取り外したり、重たい本体を運び移動したりする必要がある。しかし、ゲーミングノートPCであれば、普段のデスクからTVにつなぎ替えるのも、こうした手間もほとんどない。

 また、ROG Flow Z13(2025)だからこそ、この使い方が向いていると感じたのが「2in1タブレットであること」だ。

 TVにつないだ際、普通のゲーミングノートPCではその本体を置いて場所を考えなければならない。

 大型の排気口がヒンジ側にあるようなモデルも多いため、閉じた状態で縦にして置くと排熱がうまくできないなど、十分なパフォーマンスを発揮できないどころか、故障の原因になりかねない。

 だが、ROG Flow Z13(2025)のような2in1タブレットであれば、省スペースに縦にした状態で設置ができる。

 本体のキックスタンドを使ってもいいし、タブレットスタンドやブックエンドなどを使ってもいいだろう。サイズ感もTV用のローボードのスペースに十分収められるため、TVの周囲に上手に片付けられることの多い家庭用ゲーム機と同じような扱いができる。

 それなりに投資は必要になってしまうが、例えばローボードにゲームコンソールとして使うとき用のACアダプターや、何か周辺機器もふさぎたい場合はUSB4に対応したハブなどを仕込むなどすれば、さらにスマートに使うことができそうだ。

●場所を選ばず、ゲーム環境を構築しやすい

 レビュー時間の都合で実際に試すことはできなかったが、ROG Flow Z13(2025)を眺めていて気付いたことがある。それは「フットプリントの小ささ」だ。

 キックスタンドとキーボードカバーを取り付けるタイプの2in1タブレットPCは、ノートPCとして使おうとするとキックスタンドの分、奥行きが必要になり、フットプリントがどうしても大きくなってしまう。

 そのため膝上に乗せて使ったり、小さなテーブルの上で使うには奥行が足らず不安定になったり、キーボードカバーのタイプ感やトラックパッドのクリック感が悪くなるなど、モバイル機器として決して使い勝手が良くない場面が少なくない。

 だが、ゲームをするだけならどうだろうか。もちろん遊ぶゲームによってはキーボードやマウスが必要になってくるのだが、ゲームパッドで遊ぶゲームであれば、キーボードカバーをつなぐ必要もない。

 そうなると「キーボードカバー分の奥行き」を気にする必要がなく、2in1タブレットPCのタブレット本体部分と、キックスタンド分の奥行だけあれば安定して設置できる。

 ここ半年〜1年で、筆者はほぼ毎月、新幹線で片道2時間以上の移動を行っている。この移動時間にノートPCを開いて作業を行うこともあれば、スマートフォンで適当なゲームで時間をつぶしていることも珍しくない。

 この移動時間で積んでいるゲームを消化しようかと考え、ポータブルゲーミングPCの購入も検討しているのだが、ROG Flow Z13(2025)であれば新幹線の小さな机でも、キーボードカバーを外せば安定して開くことができる。後は手元にゲームパッドを用意すればそのままゲームを遊ぶことができる。

 もちろんノートPCとしての性能は重たいゲームを動かせるだけあって、普段使いのアプリケーションの動作に不満が出ることはない。むしろ筆者が普段使っているモバイルノートPCよりも快適だ。

 重量は約1.59kgと、最近のモバイルノートPCと比べると500mlペットボトル1本分ほど重たくなるが、本体サイズとして極端に大きくなるわけではないため、カバンを買い替える必要もなく、背負ってしまえばそこまで重さが気になることもない。

 どれだけゲームで遊びたいかにもよるが、PCに求める性能も、ゲームの遊びやすさの幅広さも、ROG Flow Z13(2025)はどちらも求めた場合の最適解ではないだろうか。

●高性能はゲーム以外でも活躍する

 ゲーミングPCの高性能なスペックは、ゲーム以外の場面でも活躍する。実際、ゲームをほとんどしない人でも、その性能の高さを求めた結果、ゲーミングPCにたどり着いたという人は多いだろう。

 筆者の使い方において、PCに性能を求めるのは「レンズ交換式カメラで撮影した画像の編集」と「vlogカメラで撮影した動画の編集」を行うときだ。

 どちらも1ファイルあたり数百MBから数GBのデータ容量で、写真であれば多いときは一回の撮影で1000枚以上、動画も数時間分のデータを取り込んで、そこから必要なものを選別して編集を行っている。

 現状、モバイルノートPCではデータを取り込んで選別するまでは行えるが、これを本格的に編集しようと思うと結構荷が重い。

 写真であればどうにかなるのだが、動画に関しては読み込ませるデータや使いたいプラグインなどによっては、ファンがうなっている割には作業が進まず、編集は家に帰ってから行おうと諦めることの方が多い。

 だが、ROG Flow Z13であれば自宅のデスクトップ同等とまではいかないにしても、4K動画の編集もストレスなく行うことができた。

 搭載されている「Ryzen AI MAX 390」に内蔵されたGPU「Radeon 8050S Graphics」のパワーもあり、編集後のエンコードも高速だ。

 他にもGPU支援で編集作業が軽快に行えるシーンは多く、試用期間中はついつい外に持ち出して、屋外で編集作業にいそしんでしまう日が数日あったくらいには快適だった。

●ゲーム用に見えて、実はオールマイティーな1台

 ROG Flow Z13(2025)はゲーミングPCだ。試用期間中はどこまで遊べるか、パフォーマンステストの記事にあった以外のゲームもいろいろと動かしてみて、ついつい積みゲーの消化がはかどってしまうくらいにはゲームを快適に遊べるPCであるのは間違いない。

 その上で「ゲームコンソールを置き換えることもできる」「ノートPCを置き換えることもできる」、場合によっては「デスクトップPCを置き換えることもできる」と、ゲームもゲーム以外も、PCというデバイスの中ではオールマイティーにこなせる1台だった。

 これは余談になるが、筆者は昔から「ノートPCの1台に全てをまとめたい」と考えている。最近はクラウドストレージも大容量に、PC本体のストレージも大容量のSSDの選択肢も増え、外付けHDDなどを使わずにデータを集約できるようにもなった。

 ただ、どうしてもノートPCとデスクトップPCの間には埋めようのない性能の差があり、ゲームやクリエイティブな作業を行おうと考えたとき、この差はさらに大きくなる。

 しかし今回試用したROG Flow Z13(2025)は、この差がとにかく小さい。少なくとも筆者の使い方であればノートPCとデスクトップPCの間にあった差はだいぶ埋めることができそうであり、ゲームコンソールの代わりも十分に果たせそうで、かなり物欲が刺激された1台だった。

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