PCゲームはデスクに座ってやるものという常識が崩れつつある。手ごろな価格のポータブルゲーミングPCが各社から続々と登場しているからだ。

 両手に収まるデバイスでPCゲームが動く感動や楽しさがある一方、フルスペックのゲーミングPCと比べると、スペックはどうしても限られてくる。特にゲームをたくさんインストールしたい場合、ストレージ容量は悩ましい問題だ。

 デバイスを分解することなく手軽にストレージ容量を増やすには、超高速なデータ転送に対応する外付けSSDの利用が効果的だ。

 今回はサンディスクが4月4日に発売した「SanDisk Extreme Portable SSD for PlayStation 5 Console and PC(SDSSDE62P-1T00-J25)」(以下、Extreme Portable SSD)を試す機会があったので、実際の使い勝手などをお伝えしよう。

●落としても壊れそうにない安心感がうれしい

 Extreme Portable SSDは、USB接続タイプの外付けポータブルSSDだ。商品名の通り、PlayStation 5で問題なく使えることが確認されているライセンス商品でもあり、PlayStation 5の本体デザインにマッチするライトグレーのボディーに、ブラックとブルーのラインが印象的なデザインとなっている。

 インタフェースはUSB 3.2 Gen 2(Type-C)で、データ転送は読み出し速度最大毎秒1000MBとなっている。

 サンディスクのポータブルSSDは、水やホコリに強く、衝撃にも強いデザインやスペックが人気だが、本製品もIP65の防滴/防じん性能、最大3mからの落下に耐えられる耐衝撃性能を備えており、安心してデータを持ち運べる。

 “カラビナループ”を利用してバッグのハンドルやベルトループなどに取り付けておけば、落とす心配も少ないだろう。

 サイズは実測値で52(幅)×100(奥行き)×9(高さ)mm、重さは本体のみが51.2g、付属ケーブルも込みで62.1gと軽量かつコンパクトだ。手にすっぽり収まるわけではないが、このサイズ、この軽さで1TBの大容量を安心して持ち運べるのはありがたい。

 続いてベンチマークテストの結果を紹介しよう。

●安定したデータ転送速度を発揮

 今回、Extreme Portable SSDを接続して検証したPCは次の4機種だ。

・ONEXPLAYER X1 Mini(AMD Ryzen 7 8840U、メモリ32GB、USB4)

・AYANEO SLIDE Ryzen 7840U(AMD Ryzen 7840U、メモリ32GB、USB4)

・MSI Claw A1M(Intel Core Ultra 5 135H、メモリ16GB、Thunderbolt 4)

・MacBook Pro 13-inch 2020(Intel Core i7 2.3GHz、メモリ16GB、Thunderbolt 3端子)

 Windowsの3機種では計測ツールに「CrystalDiskMark 8.0.6×64」(ひよひよ氏作)、macOSを搭載しているMacBook Proでは「Blackmagic Disk Speed Test」を利用した。

 それぞれ5回ずつ計測し、その平均値(小数点以下2位を四捨五入)と最大値を紹介する。

ONEXPLAYER X1 Mini

 平均の書き込み速度は毎秒945.7MB、読み出し速度は毎秒960.7MB、最高となった書き込み速度は毎秒947.2MB、読み出し速度は毎秒964.4MBであった。

AYANEO SLIDE Ryzen 7840U

 平均の書き込み速度は毎秒939.1MB、読み出し速度は毎秒962.2MB、最高値はそれぞれ毎秒943.6MBと毎秒963.6MBで、ONEXPLAYER X1 Miniとほとんど変わらない結果となった。

MSI Claw A1M

 平均の書き込み速度は毎秒984.4MB、読み出し速度は毎秒1049.4MB、最高値は書き込み速度で毎秒985.2MB、読み出し速度で毎秒1050.1MBとなった。1回目から5回目まで安定したパフォーマンスを発揮していたのが特徴的であった。

MacBook Pro 13-inch 2020

 Thunderbolt 3ポートに接続して計測したMacBook Pro 13-inch 2020だが、平均の書き込み速度は毎秒795.7MB、読み取り速度は毎秒907.3MBであった。最高値は書き込み速度が毎秒818.9MB、読み取り速度毎秒913.8MBだ。

●実用性は?

 ベンチマークテストの結果が良好だったからといって、必ずしも実務でスピーディーだとは限らない。そこで、Extreme Portable SSDに1.6GB、撮影時間にして16分ほどの動画をコピーするテストを行った。ドラッグ・アンド・ドロップ操作でマウスの指を離してから、メッセージボックスが閉じるまでを5回計測し、その平均を出したところ、3秒88であった。

 実際は10回ほど行ったのだが、回数を重ねるごとに遅くなり、最後は5秒88になってしまった。Extreme Portable SSDに触れるとほんのり温かかったので、熱の影響が出たかもしれない。室温が上がる夏場は気をつけたほうが良いかもしれない。

 続いて、Extreme Portable SSDにコピーしておいた1ファイル2.6MB〜3.8MB程度の写真を12枚連結してExtreme Portable SSDに保存し、その写真に編集を加えてみた。

 これだけの大きさのファイルでも読み込んだり、編集を加えたり、保存したりするのに待ち時間は2秒未満と短く、全くストレスを感じなかった。

パスワードをかけられる安心感

 これほどの大容量となると、紛失した際のリスクが高い。筆者のように、情報漏えいしたら困る機密文書を扱わない人間であれば金額的な損失だけで済むが、人によっては他人に見られてはいけない大切なデータを持ち歩いているかもしれない。

 Extreme Portable SSDには、パスワードロックを掛けて他人がドライブ上のデータにアクセスできないようにするソフト「SanDisk Security」のインストーラーがあらかじめ格納されており、利用中のPCにインストールして設定すれば、AES 256bit暗号化をファイルに施せる。

 SanDisk Securityをインストールしたら起動して、パスワードを設定しよう。「このコンピュータで自動ロック解除を有効にする」にチェックを入れておけば、普段使うPCではパスワードの入力が不要になる。

 最近はクラウドサービスを利用する機会が多いが、ネット環境に使用感が左右されるという煩わしさも感じていた。頻繁に使うファイルにおいては外付けストレージを活用することで作業効率が爆上がりするのではなかろうかという妄想を抱かせてくれる外付けポータブルSSDであった。

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