巨人の原辰徳監督(63)が全身で「歓迎の意」を示し、新たな仲間を迎え入れた。20日に日本ハムからの電撃無償トレードによる入団会見を都内の球団事務所で行った中田翔内野手(32)と、東京ドームでのDeNA戦の練習前に対面した。キャプテン坂本と話をしていた中田に「よく来てくれたね」と、ハグで受け止めた。「32歳。そこまで大きくなってきた感謝を忘れずに、また新たにチームで大きな希望を持って来てくれたと思います。しっかりと戦いざまを見せてもらいたい。私自身もしっかりとサポートしてベストを尽くす。それだけでいいと思います」と期待した。
16日、日本ハム栗山監督から連絡を受けた。4日に同僚選手に暴力行為を行って無期限出場停止処分を受けている事実は、原監督も重く受けとめている。そのうえで「特別な、自分の中では信頼感のある人」と認め合う指揮官の思いに耳を傾けた。内容については胸の奥に大事にしまったが「栗山監督は彼のことを、いち人間として、いち野球人として大事にしていた、ということだけは伝えられています」と明かした。
当然、世間からの厳しい目はあるだろう。中田自身も野球を辞めると日本ハム側に伝えたほど、反省と後悔の念を抱いていた。だが原監督の腹は決まった。迷わずに、手を差し伸べた。
原監督 中田翔という…全てのことを共有して進んでいこうと。ジャイアンツでプレーしてもらおうというところが最初でした。決断をしたということですね。共有しようと思いました。
「中田翔」という野球人のこれまでと今を受け入れ、ともに新しい未来へと一緒に歩を進めていこう-。野球人としてだけではなく、人間「原辰徳」が持ち得る包容力と前向きさが、電撃トレードの成立へと加速させた。この日朝、キャプテン坂本には「こういう形でこうなるよ、歓迎してやってくれ」とLINEで説明。午前10時、巨人と中田が契約を結んだ。
試合前練習での打撃練習を後方から見詰めた指揮官は「やっぱり野球というものが好きだし、水を得た魚のごとく、コンディション等々も、私には良く映りました」と笑顔を見せた。この日の出場選手登録は見送ったが、スラッガー中田への期待値は大きい。
原監督 非常に強い選手でね、(後半戦のテーマに掲げる)「わっしょい(ベースボール)」の輪に加わってくれたというのは、チームにおいても非常に大きいと思いますね。チームのリーダーの(坂本)勇人が彼の1つ先輩であるということが好材料だと思いますね。同級生も含めて素晴らしい野球人、素晴らしい社会人がいますので、みんなでね、早く一員としてね、慣れてもらいたいなと思います。
衝撃の事件から16日後。両球団の“親心”による電撃移籍により、巨人中田翔の“第2章”が幕を開けた。
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