25日のプロ野球新人選手選択会議(ドラフト会議)で、新興の東日本国際大(福島県いわき市)の粟津凱士(かいと)投手が西武の4位指名を受けた。平成7年開学の同大学からのドラフト指名は初めて。「涙が出た」。考古学者の吉村作治学長も喜びに包まれた。  午後6時半すぎ、名前が読み上げられると、同大会見場には「おおっ」という声が響いた。午後7時半に会見場に姿を見せた粟津投手は、笑顔で「プロの世界に入っても自分の力をつけ、一軍で活躍できる選手になりたい」と語った。  指名を待つ間、「手に汗をかくくらい緊張した」といい、指名を受けたことについて「『うれしい』の一言」と語った。指名を受けた瞬間には、周りと握手を交わしたという。  「高校を卒業するときは、野球をやめて就職しようと考えていた」と明かす。東日本国際大に進学予定だった同僚が引退することになり、代わって入学。そこから道が開けた。  粟津投手は山形市出身。同市の山本学園高校を卒業後、東日本国際大へ。180センチ、80キロ。最速147キロの直球に2種類のシンカーを駆使する本格派右腕。  西武については「レベルの高いチーム。(尊敬する)潮崎哲也投手がいたのでうれしい。潮崎さんを超える投手になりたい」。   同大野球部のダブルエースとして、ともにプロ志望届を出した船迫大雅(ふなばさま・ひろまさ)投手は指名を逃した。明暗を分けたが、「決まった瞬間『おめでとう』と言われた。船迫がいての自分であり、船迫の分まで頑張りたい」。  「山形や福島の方々に応援していただける選手になりたい」。プロ入りを前に「任された場面をしっかり押さえられる投手になりたい」と目標を掲げた。  初のプロ野球選手誕生に同大硬式野球部の仁藤雅之監督は「(粟津は)入学時は体も細くプロを想像できる選手ではなかった。初のプロ選手、息長く続け、後輩の目標になってほしい」と話し、吉村学長は「中継を見ながら、涙が出た」と感極まった様子だった。

WACOCA: People, Life, Style.