安部さんのコーナーです。
今回は広島市中心部の工場で様々な段ボールを生み出す老舗メーカーに潜入してきました。
いきます!「ハキ」じゃなくて「ハコ」。
<VTR>
【安部友裕さん】「サグラダファミリアみたい。これ3mくらいあるだろうこれ」
【ディレクター】「何を作っていると思いますか」
【安部友裕さん】「これね、匂いがね、段ボールなんよ」
【ディレクター】「正解はこちらです」
【安部友裕さん】「段ボール。そっかこうやって段ボールが作られるんだね、ここから」
高く積みあがったのは「原紙」と呼ばれるロール状の紙。
今回は包むものに合わせ、ミリ単位の精度で応える段ボールの製造技術に迫ります。
広島市中区にある桐原容器工業所。
今から約120年前に創業し、最初の60年はおもに木の樽を、後半の60年は段ボールを製造するようになりました。最近はあっと目を引く段ボールのようなラッピングの路面電車を走らせるなど、「包む技術」で新たなことにどんどんと取り組んでいます。
大きな機械の前で桐原 真一郎 社長が出迎えてくれました。
【桐原容器工業所・桐原 真一郎 社長】
「段ボールって中に”波々”があるでしょ。”波々”を作る機械がこっちで、大きな歯車がかみ合わさるようになってそれで”波々”を加工するんです」
【安部友裕さん】「これ、いま”波々”が入っていますよね。ここはできています」
倉庫に置いてあった「原紙」の状態から凹凸のついたローラーで「波」の形に整えると、段ボールらしい姿に。「シート」から製造を手がける工場は大手以外では珍しく、特注品も柔軟に対応できるんです。
【安部友裕さん】
「なかなか壮絶な暑さの中でやっていますけどこうやって作られているんだというね・・・段ボール届きました。結構ビリビリと開けたりするんですけど、もっと大切に開けます」
【桐原 社長】「いいですよ」
驚くのはまだこれからです。実は、この段ボールの波の高さに桐原容器の特長があります。
【桐原 社長】
「こっちが段の高さでこれが4ミリなんですけどこっちはもう少し細かい3ミリの段で」
【安部友裕さん】「違いますね。違いますね」
従来、「波」の高さは「5ミリ」と「3ミリ」が一般的でしたが今から半世紀前、桐原容器はさらに細かいニーズに応えようと、その中間の「4ミリ」の段ボールを導入し、国内にいち早く浸透させました。
【桐原 社長】
「せっかくウチの中でシートを貼っている会社なので、できるだけそのものに適した材質でこの紙の構成を作るということをやっていますので」
【安部友裕さん】「波が違う段ボールがあったということすら知らなかったですね」
なぜ波の高さを使い分ける必要があるのか、桐原社長に一目で違いが分かる場所に連れて来てもらいました。
【桐原 社長】「同じ300枚でこれくらいの高さの違い」
【安部友裕さん】「1ミリでこの違いですよね」
【桐原 社長】「そうですね。300枚だからね。単純に言うと50センチくらい」
【安部友裕さん】「これは人生ですね、人生ですよ。コツコツ積み重ねることで大小違うかもしれませんがこれだけ変わってくるんだという」
「波」の高さが1ミリ変わるだけでシートの厚みが20%変わり、300枚の段ボールだと、およそ50センチの差になります。桐原容器が得意とするのがBtoBの企業向けの特殊な段ボール。3ミリより高い強度と5ミリよりも在庫スペースを広くとれるメリットを兼ね備えた4ミリの段ボールは、わずかな1ミリですが大きな差なんです。
【桐原 社長】「重たいものも入れるし、軽いかさばるものも入れるし」
【安部友裕さん】「本当、上本選手みたいなね。僕は思うんですよ。万能。あらゆるピースを1人で埋めてくれる。段ボールであらゆる・・・1人であらゆるポジションを・・・段ボールは上本選手ですね」
【桐原 社長】「そうですね・・・・上本さん」
【安部友裕さん】「言わせてしまった感があるんですけど」
桐原容器の特殊な段ボールは特に自動車部品の輸送で強みを発揮します。
関連する箱と緩衝材だけで、種類は1万近くもあるんです。そのうちの1つを組み立ててもらいました。
【安部友裕さん】「ほら、これデカい。これでかない?この軽さであの強度は段ボールは凄いな」
【桐原 社長】「だんだん車を軽くするのにバンパー自体が薄くなっているので少し(部品が)変形しやすいんですよね。箱に強度を持たせて箱の強度で中が変形しないように(時代が)変わってきています」
車のバンパーを運ぶための段ボール。
これも厚さは4ミリ。輸送中に多くの箱を積み重ねても傷と振動から守ります。
【安部友裕さん】
「固いのに順応性が高いって野球じゃありえない。柔らかく使わないといけないんで凄いな。これはまた他に色んな部品があるので色んな形に合わせて作られているんですよね。
しかも強度もあって・・・なんなん!すごいな段ボール」
手間暇をかけてシートの状態から段ボールを作る桐原容器だからこそ、大切にしたい姿勢があります。
【桐原 社長】
「同じものを包むのでもよりコストを追求されるお客さんもいるし中身の品質を守るためにしっかりとした梱包を求められる方もいるので、ニーズに応えていくのがうちの仕事だと思っています」
【安部友裕さん】「そこに順応性高く、臨機応変に対応していくということですね」