ちょっといつもとは趣向を変えて、蘭童曲を吹いてみました。曲は「月草の夢」です。
尺八の方には今更説明不要ですが、福田蘭童は、久留米出身の近代洋画の鬼才・青木繁の実子であり、代表作の「海の幸」に描かれた人物の一人のモデルである、恋人の福田たねのと間の子であります。
蘭童は琴古流尺八を習得しましたが、古典の演奏よりも作曲の方で一世を風靡し、その大正ロマンの雰囲気溢れる作品は「蘭童曲」と呼ばれます。NHKラジオドラマの「笛吹童子」テーマ曲も、蘭童曲の中で特に有名な楽曲です。蘭童門人の横山勝也師が盛んに演奏したり、録音を残したりしていることもあって、現代でも尺八音楽の中で1ジャンルとしての地位を確立し、美しいメロディが尺八家の心をとらえ続けているといえましょう。
私個人は、正式に竹心会系統の先生にキッチリとしたレッスンを受けた訳ではないため、自分好みな解釈で時々心の赴くままに吹いています。どうしても琴古流のクセで、アタリやスリが多めに入ってしまいますね。ちょっとした気分転換ということで。