熊本城マラソンに特別な思いで出場するランナーがいます。「再出発」と位置づける、第1回、第2回大会の優勝者・地下 翔太さんです。

2012年に始まった熊本城マラソン。その初代チャンピオンに輝いたのが球磨村役場職員で当時23歳だった地下翔太さんです。

翌年の第2回大会で優勝し、連覇を果たした公務員ランナー。

毎回上位争いを展開する地下さんの走りに我々も注目してきました。

そんな地下さんの生活は2020年7月に一変。

豪雨で球磨村の自宅と老人ホームに入所していた祖父を失いました。

【地下 翔太さん 2020年取材】
「最初の数日間は走ることも忘れるくらい。シューズも着る物も全部なくなって、というか泥に埋もれた感じでもういいかなと。そうしたら『支援物資の提供もあったから持って行ってあげるよ』と言われて、それから。走ってみようかなという気になったのは」

役場職員の地下さんは通常業務に加え、被災者支援という慣れない仕事にも奔走。

また家族で人吉市内の借家に移り住み新たな生活をスタートさせましたが…。

「早く安定した住まいを確保したい」

一家の大黒柱として落ち着いた暮らしができる我が家の再建を強く望んでいました。

あれから2年半…、球磨村の高台に念願の自宅を再建。

また豪雨後家族はさらに2人増えて、子供は4人になりました。

夜が明け始めた午前7時前、支援物資で届いたランニングシューズを履き、熊本城マラソンに向けて調整です。今大会は豪雨後初めて挑むフルマラソン、「再出発」との思いを胸に抱いています。

【地下翔太さん】
「前回の熊本城マラソンがあった直後にコロナがはやりだして、水害もあって。自分の生活が止まっている時間に、熊本城マラソンも止まっていたなと。やっと自分の生活が元に戻りつつある中で今回、久しぶりの開催なので共通する部分があると感じている。自分の中でもリスタートを切れるような、いい大会にしたい。ここから新たに始めていく、始まっていく走りができればいい」

仕事に育児に、そして災害からの復興に…、頑張るお父さんをこの2年半見てきた
息子たちは…

【次男・開翔くん】「かっこいい」
【長男・翔理くん】「優勝できるよう頑張ってほしい」

「出るからには(優勝は)狙っていく順位なので、狙いながら頑張りたい」

予想だにしなかった事態に遭いながらも走ることを諦めなかった地下さん。

「再出発」まであと10日です。

熊本城マラソンは2月19日(日)に開催。

TKUは午前8時25分から、5時間超の生放送でランナーの姿をお届けします。

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