元外務省主席分析官で作家の佐藤優氏は11月18日夜、東京都内で開かれた日本維新の会の鈴木宗男参院議員のパーティーであいさつし、今後のウクライナ情勢について語った。講演の中に出てくるノヴォロシア、ガリツィア、マロロシアとは以下の通り。

●ノヴォロシアとは、ドンバス地域(ドネツク、ルハンスク)やクリミア、ヘルソン、ザポリージャ一帯を指す地域名称であり、「新ロシア県」という行政地区が定められていたことがある。プーチン露大統領も演説の中で「歴史的土地であるノヴォロシア」として言及した。

●ガリツィアとは、現在のウクライナ南西部を中心とした地域。 ウクライナ・ナショナリズムが強く、ノヴォロシアの人々とはアイデンティティーがかなり異なる。ガリツィア地方の人々は日常的にウクライナ語を話し、ユニエイト教会(東方典礼カトリック教会、儀式はロシア正教会に似ていて下級司祭の妻帯が認められているが、教義的にはカトリックの立場をとる)の信者が多い。第2次世界大戦中、この地域のウクライナ人でナチス・ドイツ軍に協力した人々が少なからずいる。

●マロロシアとは、現在のウクライナを指す地域の歴史的名称。キリスト教(東方正教)の用語として生まれ、今のロシア地域に当たる「大ロシア」と対比して使われたが、差別的だとして帝政ロシア末期からソ連時代にかけて「ウクライナ」に改められた。
 ロシアが軍事介入して2014年に始まったウクライナ東部の紛争をめぐり、親ロシア派幹部は7月18日、ウクライナ全土に新国家「マロロシア(小ロシア)」を建国する計画だと主張した。これに対し、後ろ盾のプーチン政権は「個人的見解」と一蹴しており、実現性は低いとみられる。(時事)

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