阪神・荒木が父に見せた「しばしの夢」 7年前からクビを覚悟していた33歳が示した「感謝」の思い(スポニチアネックス)
阪神・荒木
<記者フリートーク 阪神担当・遠藤 礼> 昼過ぎ、スマホが短く震えた。今では珍しいショートメールは「荒木郁也の父です…」という文面から始まった。11年前、ドラフト5位で指名された阪神・荒木の連載記事を担当することになり、ご両親に話をうかがった。都内のホテルにある喫茶店で父・達也さんと母・正枝さんは、何時間もかけて、産声をあげた時からタイガースに指名されるまでの息子の22年間を語ってくれた。別れ際「郁也をよろしくお願いします」という達也さんと握手をした。活躍した時の記事をこの2人に届けたい…勝手な使命感を背負って背番号58を追いかけてきた。 あれから11年が経った。終わってみればスポニチで「荒木郁也」の名が紙面を飾ったことは、ほとんどなかった。15年5月28日の楽天戦でプロ初の3安打6出塁と躍動したのがハイライト。ただ、その前年の9月に荒木は母・正枝さんに電話で伝えていた。「今年でクビになるかもしれないから、鳴尾浜に来てほしい。ユニホーム姿を目に焼き付けて」。数日後、本当に両親は2軍戦を見に来てくれた。その時の達也さんの顔が荒木は忘れられなかった。「親父の顔がとにかくひど
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