東北楽天の田中将大投手は8日、オリックス22回戦(Kスタ宮城)に先発し、7回2失点で開幕24連勝を飾った。今季の登板はこれが最後の予定で、プロ野球史上初の「無敗の最多勝投手」となる。昨年8月26日からの自身の連勝記録を28に伸ばし、開幕連勝と同一シーズン連勝とともに記録を更新した。

 20勝以上挙げた投手がシーズンを無敗で終えるのは初めて。規定投球回到達者が勝率10割を記録するのは、1936年秋の景浦将、37年秋の御園生崇男(ともにタイガース)、81年の間柴茂有(日本ハム)に続いて4人目。また通算175試合目で99勝に到達し、スタルヒン(巨人)が持つ165試合目での通算100勝の最速ペースには及ばないものの、2位の藤本英雄(巨人)の177試合を上回るペース。シーズン24勝は78年に25勝を挙げた鈴木啓示(近鉄)以来。

東北楽天-オリックス22回戦(東北楽天15勝6敗1分、18時1分、Kスタ宮城、19,433人)
オリックス 110000010=3
東北楽天  10600000×=7
(勝)田中28試合24勝1S
(敗)マエストリ24試合7勝5敗

◎好投7回2失点

 東北楽天が快勝。先発田中は7回4安打2失点(自責点1)の好投で、開幕からの連勝記録を24に伸ばした。一、二回に1点ずつを失ったが、三回以降は追加点を許さなかった。打線は1-2の三回、二死満塁から枡田が2点二塁打を放つなど打者12人の猛攻で一挙6点を奪い、試合の主導権を握った。
 オリックスは投手陣が踏ん張れなかった。

◎史上初、無敗の最多勝投手/「自分でもびっくり」

 田中が負けずにレギュラーシーズンを終えた。7回2失点(自責点1)、計83球で開幕24連勝。「誰もできると思っていなかったことができてうれしい。自分もびっくりしている」。プロ野球史上初となる無敗の最多勝投手を確実にし、笑顔を見せた。
 足を絡めた攻撃で序盤に失点した。一回、先頭安達に四球後、二盗され、続く伊藤はバント。これを一塁銀次が三塁へ悪送球し、無安打のまま先制を許した。1-1の二回は2死から連打で一、三塁を招き、重盗で勝ち越された。
 「思い通りにならない登板は多々ある。そこで気持ちを切らして投げやりになるか、前を向いて集中し続けられるか」
 持論を見事に実践したのが先制された直後、坂口の左前打で無死一、三塁を招いた場面だ。バルディリスを150キロの直球で空振り三振に仕留め、T-岡田は投飛、原拓は遊飛。追加点を許さなかった。
 「1年間ローテーションを守れたのが大きい。マウンドに立ち続けられたから、勝ちが付くチャンスがあった」と田中。それでも、すぐに「まだCSがある。終わったわけではないので(達成感など)そういった感情はない」。リーグ初優勝の原動力となった負けないエースは既に、17日のCS初戦のマウンドを見据えている。(佐藤理史)

◎打者12人の猛攻、3回一挙6得点

 イヌワシ打線が三回、打者12人の猛攻で一挙6得点。序盤からやや劣勢だった試合をひっくり返した。
 1-2のこの回、西に代わり登板したマエストリを攻略した。2死三塁で、打席には一回に失点につながる悪送球をした銀次。初球の142キロを中前にはじき返し、同点とした。「ミスを取り返す。それがプロ。3番打者の仕事ができた」と胸を張った。
 火がついた打線は止まらない。なお2死満塁で枡田が続いた。「体が反応した。振っちゃえと思った」。内角低めのボール球を捉え、右翼線への2点二塁打で勝ち越しに成功。さらに、2四球と聖沢、森山の連続適時打で7-2と突き放した。
 枡田は「田中に負けをつけさせられない。うまい具合にかみ合った」と、エースの24連勝をバックアップできたことに満足そうだった。(佐藤琢磨)

☆イヌワシ ろっかーるーむ

<佐藤義則投手コーチ(田中に)>
 「やってくれたね。(無敗で終える)約束を果たしてくれた。(失点は)足の速い走者だったのに、ちょっと無警戒だった」

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