まだ今シーズン1勝しかできず最下位に沈む横浜F・マリノスが首位の鹿島アントラーズを迎えたJリーグ開幕から続く伝統の試合。鹿島とともにオリジナル10の中で降格を経験していないマリノスが崖っぷちから這い上がるためには勝利だけが必要だった。選手バスの入りに激励の集会が行われることがコアサポーターにより告知され多くの人が結集しトリコロールの旗と心からのチャントでスタジアムに入る選手たちを力づけた。この日、ピッチに立った選手たちにも迷いはなく首位鹿島のアイドリングをついてゴール前に殺到し電光石火の3点を奪ってスタジアムを興奮の坩堝に化した。
その後、鈴木優磨やレオセアラを中心とした地力ある攻撃に苦しみながらも、3-1で終盤を迎え、実質7分以上あったアディショナルタイムの試練を乗り換えゲームセットの笛が鳴り響いた。キャプテンの喜田拓也はその瞬間、ピッチにひれ伏し全身で喜びを表現した。ゴール裏も歓喜に満ち溢れ、あちこちで涙を拭うサポーターの姿を見ることができた。実に長いトンネルだったが、希望はそこにあった。まだ最下位という現実には変わりがなく、残留への壁は高く立ちはだかっているが、道筋は見えた。離れかけていたマリノスファミリーの手を再び結ぶ意味で何より大事な1勝であった。私たちはまだ逆襲の出発点に立ったに過ぎないが、まだシーズンは半分以上残っている。町田、新潟と続くアウェイの戦いで、マリノスの存在意義を示すために、選手とともに前進あるのみ。前進全霊。