アニメブームの影響? 難関私立中学入試問題に「ガンダム」「ポケモン」が登場 作問担当者が語った“深い意図”

海城中学校の理科の入試問題。大問3でポケモンが登場した

 

2月1日、180校を超える都内私立中学校の入試が一斉にスタートした。国立・私立を合わせた受験者総数は、2025年とほぼ変わらない5万2000名程度とみられている。

 

 そうしたなか、「難関校」といわれる私立中高一貫校の入試問題に、アニメキャラが登場して話題になっている。

 

「2025年度の大学入試で、東京大学に18名の合格者を出した『攻玉社中学校』(品川区)は、社会科で『人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって半世紀が過ぎた宇宙世紀0079年、地球に最も遠い宇宙都市が、地球連邦政府に対して独立戦争を挑む作品(1979年テレビ放映)を次の中から1つ選び、記号で答えなさい』という問題を出し、解答欄には『銀河鉄道999』『銀河英雄伝説』『機動戦士ガンダム』『宇宙戦艦ヤマト』『超時空要塞マクロス』『新世紀エヴァンゲリオン』など、制作年代がさまざまなアニメが並びました。

 

 保護者世代でも観たことがない時代の作品もあり、12、13歳の子どもには“難問”だったかもしれません。ただ、攻玉社は毎年、文化祭で注目を集める『ガンダム研究部』があることで有名で、ある意味、学校らしさを象徴する問題だったともいわれています。

 

 同じく東京大学に49名の合格者を出した『海城中学校』(新宿区)は、生物の進化を問う理科の問題で『ポケモンに登場するニョロモと、ニョロモが変化したニョロトノはそれぞれカエルの幼生(オタマジャクシ)と成体をモデルにしています』として、ポケモンの進化と生物の進化の違い、ニョロモとオタマジャクシの腹にみられる『渦』の名称の解答などを求めました」(社会部記者)

 

 なんともユニークな問題だが、なぜアニメなのか。出題の意図を、海城中学校の理科担当者に聞いた。

 

「ポケモンは長年、小学生に人気があり、たとえばデオキシスというキャラクターがDNA(デオキシリボ核酸)に由来するように、生物学と親和性が高いため、受験生が無理なく楽しく解けるよう工夫して、生物分野でポケモンを登場させました。生物用語をただ知っているかではなく、現象を適切に分類する力、図から特徴を拾い上げる観察力・洞察力、形態の変化と機能の変化を因果関係で結びつけて説明する力が身についているかを確かめたい、という意図で出題しました。具体的に各設問では、

 

(1) ポケモンにみられる『進化』(姿の変化)を、両生類や昆虫で見られる『変態』という概念と同じ枠組みでとらえる力、すなわち現象を分類する力

 

(2) ニョロモの腹側の渦巻き模様が、オタマジャクシのある器官(構造)に対応するという設定を通して、図から特徴を読み取り、名称や概念につなげる力

 

(3) 腸の短縮を単なる形態変化として終わらせず、機能面の変化と関連づけて考え、形の変化と機能の変化を因果で説明する力を、それぞれ見ています」

 

 その一方で、教育評論家の親野智可等(ちから)氏は「受験する子どもたちにとって、公平性の面で心配があります」と指摘する。

 

「子どもが興味を持つ題材を問題に取り入れること自体はいいことだと思いますが、そのキャラクターが登場する漫画を読んだか読まないかで、解答できる、できないが決まってしまうと、子どもたちや親御さんが納得できるだろうかとは思います。

 

 海城中学校の問題は、ポケモンのキャクターを知らなくても『理科の応用問題』として、(子どもたちが)考える余地がありますが、攻玉社中学校の問題は、作品そのものを知らないと答えが導き出せないと思います」

 

 海城中学校では、作問にあたっては「不公平が生じないように」と注意したそうだ。

 

「(入試問題の)作問会議では『ポケモンを知らない受験生への配慮が必要』という意見も出ました。そのため、図と文章だけで解ける設計にし、ポケモンそのものの知識差が点数差につながらないよう、注意しています。現時点では試験終了から間がないため、受験生の声を直接、十分に聞けているわけではありません。ただ、この問題をきっかけに、身近なゲームやアニメの世界を科学的な切り口で見直すとどんな見え方になるのか、そうしたおもしろさも感じてもらえればと思っています」(前出・海城中学校の理科担当者)

 

 これらの問題の正答率がどの程度だったのか、気になるところだ。

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