
デラーズ・フリートが独自開発した宇宙戦用の簡易モビルスーツ(MS)。“一応”モビルスーツにカテゴライズされるため、型式番号はMS-21Cが与えられている。
深刻な物資不足に悩むデラーズ・フリートの台所事情を反映したかの様な機体であり、損傷あるいは建造が間に合わなかったザクⅡF2型の胴体をベースに、頭部に高速機動に対応したオリジナルの物を取り付け、ガトル戦闘爆撃機(デザインは『センチネル0079』版)の船体をバックパックとして接続。また脚部として同じくガトルの部品を加工したプロペラントタンク一体型のスラスターモジュールを組み合わせたミキシングビルド機とも呼べる機体である。後述の機体の性質の通り、モビルスーツと言うよりはモビルアーマー寄りである事が分かる。
カタログ上のパワー・ウェイト・レシオは2.4倍と、第二世代モビルスーツよりも高いが、外観通り脚部スラスターには歩行肢としての機能は無く(つまり重力下で歩行することは出来ない)、また可動範囲の狭さからAMBAC作動肢としても殆ど機能しないため、運動性は非常に低い。それを補う為の代替措置として両肩に球形の燃料タンク兼スラスター・ポッドを設置しているが、それでも通常のMSには遠く及ばない。
ただしガトル戦闘爆撃機の推進機関が転用されたバックパックの恩恵から、直線の加速性能“だけ”は非常に高く、リック・ドムⅡにも匹敵するとまで言われている。
一応着地機能は有りMS胴体の股間部とスラスターポッド先端側に航空機の物と同じタイヤ式の着陸脚を有するが、普段はバックパックに設置された懸架用ラッチによって格納庫内に吊り下げられて収容されている。
武装は右腕のマニピュレーターから置き換えられ武器腕として装備された3連装40mmバルカン砲(シュラウドで覆われているので見かけは単装砲)と、戦艦の装甲を流用した左腕部シールド裏に固定設置されたビーム・サーベルのみ。
このビーム・サーベルはゲルググ用の発振器を流用した物で、ザク用のジェネレーターでは出力不足で扱えない事もあり、シールドの裏に専用小型ジェネレーターや冷却装置等を組み込んで作動させる物となっている。
全30機程が生産されるも、その戦闘能力もあって主に陽動作戦や偵察を主任務とする事が多く、時には数合わせの為に投入される事もあった。ただし、あくまで「対MS戦」に弱いだけで当時まだ連邦軍にそれなりの数が戦力として存在した航宙戦闘機やモビルポッド類に対しては十分な優位を取れる戦力を有していた。
急造の機体ながらもデラーズ紛争を生き延びた機体はその後も活躍しており、グリプス戦役ではアクシズにてグレーに塗装された機体が、ラプラス事変ではネオ・ジオン残党「袖付き」にてカラーリングをピンクと紫基調にし胸部にネオ・ジオン紋章のエングレービングを施された機体がそれぞれ運用されている。
なお、アナハイム・エレクトロニクスでは「茨の園」から回収ないしは新造された作業用の非武装ドラッツェを使用している模様。

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