ゼノトゥーンの新ブランド「AniBit」の第1弾である「PIXEL DASH:Toast of Destiny」の魅力を掘り下げる。
ゼノトゥーンによる「アニメをちょっとかじる」をコンセプトにした新ブランド「AniBit」の第1弾として、2025年10月31日にPC(Steam)向けにリリースされたタイトル「PIXEL DASH:Toast of Destiny」。ここでは本作のレビューをお届けするとともに、プロデューサーの川上紗耶氏へのインタビューをお届けする。

かわいい見た目の高難度アクションゲーム!
「PIXEL DASH:Toast of Destiny」は運命の出会いに憧れるごく普通の女子高生・遙華ランを操作してステージのゴールを目指すランアクションゲーム。操作はジャンプとダッシュのみで、誰でもプレイできるシンプルなものになっている。

一方でゲームバランスが抜群で、“覚えて乗り越える”楽しさが詰まった作品だ。飛んでくる障害物や設置された落とし穴はダッシュやジャンプでかわすことができるが、タイミングが少しでもずれるとミスにつながるようなシビアなバランスになっている。ジャンプに関しては二段ジャンプが可能だが、不用意に二段ジャンプをしてしまうと次に仕掛けられている障害物をかわすことができずやり直しとなってしまう。

同じ障害物であっても、ダッシュでかわすのか、ジャンプでかわすのか、それとも二段ジャンプでかわすのか、はたまたなにも操作しないのが正解ないのか、シチュエーションによって変わってくるのが特徴。先の読めない展開が楽しめる。

反射神経を駆使してかわすことができる障害物がある一方で初見殺しのようなトラップも多く用意されており、昔ながらの覚えて乗り越える楽しさを思い出させてくれる作りだ。筆者はアクションゲームが得意ではないが、途中にチェックポイントが用意されているので、「チェックポイントまで頑張ろう」という気持ちにさせてくれる。アクションが得意な人であればすべてのボーナスアイテムを取って高得点を目指すプレイができるし、筆者のようなアクションがニガテな人であれば少しずつクリアを目指してプレイできるようになっている。

ステージは通学路からはじまり、修学旅行先の京都や夜景がキレイなスポットまで多彩。和風な京都のステージであれば力士や忍者が登場したり、夜景のステージではコウモリやスケーターが登場したりとバラエティにあふれている。

また、物語の随所に挿入されるアニメーションも見どころ。ヒロインの遙華ランをかわいらしく描いているので必見だ。難度は高いものの、操作自体は誰でもプレイしやすいカジュアルなゲームになっているのでぜひチェックしてみて欲しい。

川上紗耶氏インタビュー
――ゼノトゥーンという会社についてお聞かせください。アニメプロダクションやライブ配信システム、メタバースなど多彩なサービスを展開されていますが、どのような会社なのか読者に簡単にご説明いただけますでしょうか。
川上氏:ゼノトゥーンは「アニメで世界をハックする」をミッションに掲げる、SNSファースト・クリエイターファーストの分散型アニメスタジオです。WEB3・AI・XRなどのテクノロジーを活用し、アニメの資金調達・制作・流通の民主化に挑戦しています。
――ゼノトゥーンには第1スタジオ(安田現象スタジオ)、第2スタジオ(2D作画スタジオ)、第3スタジオ(クリエイタースタジオ)という3つのアニメスタジオがありますが、それぞれどのようなスタジオなのでしょうか?
川上:第1スタジオは、主に劇場長編アニメの制作を行う3Dスタジオです。昨年1月には第1作目「メイクアガール」を全国劇場公開し、現在は第2作目の制作に取り掛かっています。
第2スタジオは、主にTVアニメの制作を行う2Dスタジオです。昨年は「ダンダダン」や「帝乃三姉妹は案外、チョロい。」などのグロス制作を行い、今年からは元請け制作も行います。
第3スタジオは、ショートアニメの制作を行う分散型クリエイタースタジオです。主にアーティストのMVや企業様のCM・PVなどを、世界中のクリエイターと一緒に制作していくマルチスタジオネットワークを構築しています。
――AniBitについて。今回の「Pixel Dash: Toast of Destiny」を発表したAniBitはゼノトゥーンのなかでどのような立ち位置なのでしょうか?
川上:AniBitは、ゼノトゥーンの中で新規事業のひとつとして立ち上がりました。ショートアニメ自体は近年SNSで多くの作品が生まれており、短尺でアニメを楽しむことができるので、現代社会と非常にマッチしたアニメ形式のひとつだと考えています。一方、SNSの特性上情報の流動性が高いことから、ショートアニメは消費されやすく、マネタイズが難しいという課題があります。
そこでショートアニメと相性の良いゲームと掛け合わせ、ゲームの中でアニメを楽しめる作品をつくることでショートアニメのIP化ができないか、という考えから生まれた事業です。
――AniBitにはどのようなメンバーが在籍しているのでしょうか?
川上:AniBitは作品ごとにスタッフィングを行うため固定ではありませんが、「Pixel Dash: Toast of Destiny」では、アニメ制作をTVアニメの作画を手掛けてきた作画クリエイター、ショートアニメの制作を行ってきたクリエイター、MVやPVを中心に撮影処理を行ってきたクリエイターなどが担当しました。ゲーム開発はクローバーラボさんにご担当いただき、共同開発した作品になっています。
――川上さんの経歴を教えてください。現在、AniBitではどのようなことをされているのでしょうか?
川上:これまでゲームやVTuber、音楽など、幅広くエンターテインメントに携わり、主にプロモーションを担当してきました。現在はゼノトゥーンでアニメ作品のプロデューサーを務めており、AniBitのプロデュースも担当しています。
――川上さんが子どものころにハマっていたアニメやゲームについてお聞かせください。
川上:子どものころ、最初にハマったゲームはスーパーファミコンの「ドンキーコング」と「ツインビー」でした。ゲームに不慣れな子どものプレイでも、何度もリトライするうちに敵の攻撃パターンが分かってきてクリアできたり、一見すると難しいステージでもアイテムやギミックの使い方次第で簡単になったり、ドキドキしながらプレイしていたことを覚えています。
アニメでは「おジャ魔女どれみ」や「カードキャプターさくら」など、いわゆる女の子向け作品が大好きでした。明るくて可愛いキャラクターが、時に自分と同じように悩み、落ち込み、それでも前を向いて戦う姿に、「自分もこんな女の子になりたい!」と憧れる気持ちがありました。
――「Pixel Dash: Toast of Destiny」についてどのような経緯で生まれた企画なのでしょうか?
川上:ショートアニメのIP化を目指すにあたって、まずは一目で見てどんな作品か分かるものにしたいと考えたのが始まりです。世界的に共通認識が持たれている「あるある」な典型パターンやお決まりの展開など、ミーム化されているものを模索していった結果、「女子高生が食パンをくわえて走る」をテーマに決めて企画がスタートしました。

海外のアニメファンの中でも、「遅刻しそうな女子高生が食パンをくわえて走り、曲がり角で運命の人とぶつかる」展開は、日本の少女漫画やアニメのミームとしてもよく知られています。また、ゲーム性としてもランゲームと相性が良いテーマであることから、「Pixel Dash: Toast of Destiny」が生まれました。
実は、本編につながる物語を原作として既に作っているのですが、「Pixel Dash: Toast of Destiny」では「女子高生が食パンをくわえて走る」という分かりやすいテーマを中心に据え、ゲーム自体に集中できるようにしています。
――「Pixel Dash: Toast of Destiny」を制作するにあたり、参考にしたゲームやアニメなどがあれば教えてください。
川上:明確に参考にした作品はありませんが、ファミコンやスーパーファミコン時代のゲームや、90年代のアニメなど、今の30代以上のプレイヤーにとっては懐かしく、10代20代のプレイヤーにとっては新鮮に思える作品をイメージしています。
――本作はヒロインの遙華ランのかわいさが魅力ですが、デザインのポイントを教えてください。没になったデザインもありますか?
川上:ランのデザインは、一番最初に決まりました。デザインの中で特に大事にしていたのは「典型的な女子高生」らしさです。年代や流行に左右されず、「日本の女子高生」と言われたときにまず思い浮かべるような王道の見た目にしたいと思っていたので、没案もなく最初から方向性がほぼ決まっていました。
また、ランは運命の人と出会うためならばどこでも食パンをくわえて走りまくる元気な子なので、全体的に活発な印象になるようにデザインを固めていきました。

――ドット絵テイストのイラストを採用した理由をお聞かせください。
川上:日本アニメの昔ながらのミームがテーマならば、ゲームも昔ながらの懐かしい作風にしたいというのが大きな理由です。全体的にレトロゲームの懐かしさを大事にしていく方向性として、ドット絵テイストのデザインを採用しました。
――本作には多彩なステージが登場しますが、それぞれどのようなテーマで生まれたステージなのでしょうか?
川上:ステージ1は、遅刻しそうなランが修学旅行の集合場所へ向かうまでの慣れ親しんだ通学路です。ここでは「昔ながらの懐かしさ」をテーマとして、「ドラえもん」や「サザエさん」に出てくるような懐かしい町並みをイメージしました。

ステージ2は、ランが修学旅行先である京都に到着して、いよいよ運命の人と出会うまでのステージです。外国人観光客も多く、歴史的建造物も多い京都が舞台となるので、「日本文化」をテーマとしました。背景の日本らしさにくわえ、ゆらゆら揺れて落ちてくる提灯や忍者など、障害物にも分かりやすく日本文化を取り入れています。

ステージ3は、修学旅行先で出会った運命の人、池輝(いけてる)ガイくんとのデートへ向かうまでが舞台です。「夜景の見えるデートスポット」がテーマで、ようやく出会えた運命の人とのデートに向かうランの心情を表すような、キラキラしていて賑やかなステージにしました。可愛らしいフォトスポットやカフェなどの華やかな様子はもちろん、釣られた大きな魚や巨大怪獣などゴールに近付くにつれてさらに賑やかになっていく様子は、ランの高まる気持ちともリンクしているように思えます。

――ゲーム部分について、ゲームバランスや操作性などでこだわった点や苦労した点があれば教えてください。
川上:「もう少しでクリアできそう!」と思えるバランスにこだわりました。最初は今以上に難易度も高く、私自身クリアまで50回以上リトライしました。クリアできないとアニメの続きが見られないですし、体験としても面白さを感じづらいので、難易度の調整はクローバーラボさんとも相談を重ねました。
また、各ステージにチェックポイントを設け、リトライ時に最初からやり直す必要がないようにしました。結果的に前回つまづいた場所までのリトライ時間が短縮され、何度も体に覚えさせやすくなったと思います。
――随所に導入されるアニメーションのこだわりポイントは?
川上:ステージ2をクリアした後までは、ショートアニメとしてぱっと見て伝わりづらい表現を極力なくすことを重視し、当初のコンテから大幅に演出を変えています。ステージ1・2とクリアしてきた達成感や爽快感を損なうことなくアニメを見られるよう、メンバーから自由にアイデアを出してもらい、テンポの良いコミカルな演出を増やしました。
一方、ステージ3クリア後からは展開ががらりと変わります。それまでの印象と一変して、映像も音響も不穏さが際立つようにしました。
――最後に読者にひとことお願いします。
川上:「Pixel Dash: Toast of Destiny」は、予測不能なギミックと多彩な障害物が立ちはだかる”超高難易度”なラン&ジャンプアクションです。「次こそは!」とコントローラーを握りしめて熱中した、あの頃の懐かしい感覚をぜひ体験してください。
また、食パンを10枚集めるとランのその後に繋がるエピソードを見ることができます。実は原作となる物語へ続くヒントを忍ばせているので、いつか答え合わせができる機会までぜひ色々と予想してみてください。
今作はAniBitのコンセプトである「アニメをちょっとかじる」を体現したタイトルです。ショートアニメとゲームがシームレスに繋がることで生まれる、新たな没入感を楽しんでいただけたら幸いです。
1981年生まれ。東京都出身。2000年よりゲーム雑誌のアルバイトを経て、フリーライターとしての活動を開始する。アドベンチャーゲームやロールプレイングゲームなどのジャンルを好み、オールタイムベストは「東京魔人學園剣風帖」。ほかに思い入れのあるゲームは「かまいたちの夜」「月姫」「CROSS†CHANNEL」「ひぐらしのなく頃に」「ダンガンロンパ」「カオスチャイルド」「ライフ イズ ストレンジ」「レイジングループ」など。
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