えなこさんが、海を割る──旧約聖書でお馴染みの“モーセの海割り”さながらの光景が、「コミックマーケット107」の会場で広がっていました。

12月30日、コスプレイヤー・えなこさんが、6年ぶりに、コミケにコスプレ参加する。そのために構築されたのは、まさに2019年に話題を呼んだ「えなこリング」でも「えなこウォール」でも「えなこクレーター」でもなく……えなこロード! 英語で言ったら「The Road of the ENAKO!!!」。

えなこさんが来る前の“The Road of the ENAKO”

大人数からの撮影を可能にすべくつくられた状況ですが、コスプレイヤーとして活躍の場を広げ、自ら道を示し続けるえなこさんにぴったりかもしれません。ロード。令和は“道”のようです。

えなこさんがモーセの海割りのように、自ら通る道を拓いた──そう錯覚してしまうような奇跡から一夜と言わず二晩明けてもなお、あの光景が夢だったのか現実だったのか。理解が追いつかない状況ですが、とにもかくにも当日の様子を振り返っていきましょう。

【写真】えなこさんの堂々たるコスプレ姿!えなこ、コスプレエリア縮小で参加を控えていた

6年ぶりのコスプレ参加。そう聞いて疑問に感じた人も多いはず。実際えなこさんは、これまでもサークルとしての参加はもちろん、企業ブースにコスプレイヤーとして参加してコミケを盛り上げてきました。

でも、コスプレエリアへの参加という意味では、2019年以降その姿が見られない状態に。理由は本人もXで言及していた通り、コミケではコロナ禍以降コスプレ可能なエリアが縮小したからです。

2019年8月「コミックマーケット96」の防災公園で撮影したえなこさん/写真:Diora

中でも、「えなこウォール」などを生み出してきた東京ビッグサイト近くの防災公園(東京臨海広域防災公園)が対象エリアから外れました。そこで発生する、人気コスプレイヤーの超巨大な囲み撮影(コスプレイヤー1人に対して数十人〜数百人規模のカメラマンが周囲を取り囲んで撮影する)は、コミケを象徴する光景の一つでした。

今回、えなこさんはXで参加の経緯を説明しています。「コロナ禍以降、コスプレ広場が縮小したこともあり他のコスプレイヤーさんにご迷惑をおかけしないようコスプレ参加は控えていましたが今回はコミケの取材もある為、準備会のご協力のもとコスプレします」(外部リンク)。

えなこさんが披露した『2.5次元の誘惑』のキャラクター・753♡(イコラ)のコスプレ

イベント運営のコミックマーケット準備会協力のもと、東4ホールの外(トラックヤード)で、『2.5次元の誘惑』のキャラクター・753♡(イコラ)のコスプレを披露すると予告したえなこさん。定刻の15時が近づいた頃、会場を取材していた筆者も現地へと向かいました。

50m以上の長い列…ならぬ細長いコスプレ撮影空間

「もしかしたら間に合わないかもしれない」──10分前には到着できるように移動を開始したのに、東ホールへ近づくにつれて、気持ちばかりが焦ってしまいます。

目的地は東……東4ホールだ!

KAI-YOUでは以前、というか、まさに6年前の2019年12月30日の「コミックマーケット97」でえなこさんの囲み撮影に遭遇。しかし、当時の取材班が奮闘するも、あえなく失敗に終わっていたという歴史があります。

6年前の記憶がフラッシュバックしつつも現着。予定通り10分前に到着しました。しかし、すでに大量の人だかりが。一瞬「人気サークルの待機列かな〜」なんて呑気な考えがよぎりました、それがえなこさんを待つ人々であること理解するまでに、そう時間はかかりませんでした。

50m以上はあったでしょうか? 東4ホール外に伸びた長い長い行列。その行列は細い長方形のような形に四方を囲んでいて、中央には細長い空間ができていました。

準備会のスタッフも集まって何やら話し合っている様子。限られたスペースでえなこさんをどう迎えるのか。えなこさんの所属事務所・PPエンタープライズの代表であるよきゅーんさんも加わって、綿密な打ち合わせが展開されているようでした。

えなこさんのコスプレ撮影作戦会議

えなこ、生物のようにうごめく空間の隙間から登場

そうこうしているうちに、時刻は開始予定だった15時をまわりはじめます。その間、細長い空間は幅が広がったり縮まったり、準備会スタッフの指示に合わせて変化。

一時的にめちゃくちゃ幅が広がってた

最終的に最初と同じくらいの幅になった

それは生き物の呼吸さながら──もはや群衆と群衆がつくり出した空間が、えなこさん登場への期待と興奮を抑えきれない一体の生物のようでした。

15時15分。一帯を西日が照らし出した頃、その瞬間はやってきました。イコラに扮したえなこさんが、群衆の間にできた細い通路からその姿を現したのです。

えなこさん颯爽登場!

そこからは永遠のようで、あっという間のような時間。ポーズを決めながら、群衆によってできた細長い空間を悠々と移動するえなこさん。登場した時に巻き起こった拍手と歓声は、次の瞬間に大量のカメラのシャッター音に変わりました。

ポーズを決めるえなこさん

ポージングのクオリティが高い

こ、これが、王の、帰還…!

“えなこロード”を一周したえなこさんはその後、集まったファンに感謝しながら退場。最後は笑顔で駆け抜けていきました。もうなんか魔法で飛んでるみたいな浮遊感がありましたね。

全方位的にポーズを決めまくるのすごい

えなこさんの通る道が光で照らされていました

えなこさんありがとうございました! また次のコミケで!

コミケ初参加のファン「高校生の頃からずっと好きだった」

時間にして15〜20分程度だったでしょうか? 防災公園での巨大囲み撮影から6年、50周年という節目のコミケで生まれた“えなこロード”撮影。

集まったファンは、まさに歴史的な瞬間に立ち会ったと言っても過言ではなく、その感動や喜びもひとしおだったようです。一生懸命にスマートフォンのカメラで撮影していた24歳男性に話を聞きました。

えなこさ〜〜〜〜〜ん!!!!!

「高校生の頃からずっと好きだったので、今日本人を実際に見ることができて本当に嬉しかったです。地元は九州なんですけど、最近仕事で東京に引っ越してきて。だからコミケは初参加です。右も左もわからない状態だし、午後入場なのグッズは諦めたけど、好きなコスプレイヤーさんの写真だけは撮りたいと思って」

そう話す彼のスマホには、えなこさんの写真がびっしり。初参加のコミケながら満足気な様子でした。

撮れ高は十分だったようです

まるで“王の帰還”のような、コスプレイヤー・えなこさんの長〜〜〜〜〜い道の囲み撮影。あの日、あの時、あの瞬間だけは、世界中のどんなセレブが登場するレッドカーペットよりもカメラのシャッターが押され、視線を独り占めにした──そう感じてしまうような時間でした。

そして2026年、節目を経たコミケはまた次の時代へ。今回みたいに偶発性の高い奇跡のような瞬間がまた見れることを楽しみにしています!

onda

ポップポータルメディア「KAI-YOU.net」編集長。1985年生まれ。東京工芸大学アニメーション学科卒業後、エンタメのマーケティング・コンサル会社で業界誌やフリーマガジンの編集/記者として従事。2017年からKAI-YOU inc.、2020年1月から現職。アニメや声優といった領域を中心に、取材・編集・執筆を行っている。KAI-YOUフットサル主催。

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